スタジオ便り

スタジオから日々のあれこれお届けします

何事も程よく助ける

子ども達が発達していくには、乗り越えるべき「壁」「負荷」や「ストレス」と呼ばれるものが必要になってきます。


スパーク運動療育では、子ども達が発達するうえで必要な負荷を「ポジティブストレス」と呼んだりもします。


子どもたちが何かに取り組んだり、気持ちを切り替えたりする際に、大人が助けすぎることも、助けなさすぎることも、子どもの成長にとってはマイナスだと考えられます。


また、子どもは「自分1人の力だけで出来ること」ばかりに取り組んでいても、なかなか成長することができません。


助けすぎ、助けなさすぎ

既に子どもが一人で出来る力を持っているのに、大人が助けすぎると「過保護」になります。

一方、まだ一人で出来ないにも関わらず、大人が全く助けないと「放置」になります。


例えば、「玄関で靴を履く」という行為。


既にその子には靴を一人で履く力があるのに、親が履かせる→過保護

(子どもがパニック等の特別な場合を除きます)


まだ一人では靴を履くことができないのに、手伝わない→放置


というふうになります。


子どもが成長していくためには以下の2つが必要です。


「自分1人の力でできることは自分でやる」

「サポートがあればできるかもしれないことを、大人に手伝ってもらいながら行う」


出来ることだけしていてもなかなか成長しない

「自分1人の力でできること」だけをしていても、その場で足踏みをしている状態であり、なかなか成長できません。


「サポートがあればできるかもしれないことを、大人に手伝ってもらいながら行う」

これが非常に大切になります。


自分1人の力で出来ることよりもレベルの高い成果を経験することで、成長率が高まります。


先程の靴の例に戻ると、


「自分の力を使って靴を履いた」という、「自分1人では出せない高い成果を経験すること」ができます。


発達の最近接領域

「大人のサポートがあればできるかもしれない」というレベルのことを

発達の最近接領域と言います。


レフ・ヴィゴツキーという心理学者が提唱したもので、この領域でのチャレンジを重ねることで大きな成長が見込めます。


1人1人に合わせた大人のサポート

発達の最近接領域は、「〇歳だから、これくらい一人で出来るだろう」ではなく、

「今、この子はこれくらいできるから」といった考えで、1人1人に合ったサポートを必要とします。


「3歳だからスプーンぐらい使えるだろう」と放置してしまうのではなく、


「今この子は手伝えばなんとかスプーンを使える」という考え方で、必要な分だけサポートします。



スパーク運動療育における「ポジティブストレス」

スパーク運動療育で設定している「ポジティブストレス」という発達に必要な負荷ですが、これも1人1人の子に応じて内容を決め、どの程度療育スタッフが助けるべきかを見極めています。


スパーク運動療育では、子ども達の「感情」を非常に大切にしていますので、

感情の発達に必要な「ポジティブストレス」を療育の中で与えています。


例としては、

・切り替え

・物事への挑戦

・お友達とのやり取りで生じるトラブルへの対処

などなど。


「この子はある程度自分一人の力で感情を調整できる」と見極めれば、療育スタッフは子どもの心を助けすぎません。


一方、「まだまだこの子には感情を調整するためのサポートが必要」と判断すれば、療育スタッフがサポートする量を増やします。


このように、ポジティブストレスに対する子どもの能力を見極め、療育士のサポートを少しずつ減らしていくことで、発達の最近接領域を保ち、成長に必要な負荷を与えています。

海馬と偏桃体:楽しい経験をたくさん積もう

文字や言葉を憶えたり、道具の使い方を憶えたり、スポーツやその他運動の技能を習得したり、


それだけではなく、人と関わる楽しさ、遊んだ思い出を記憶したり。


子ども達は大人になるまでに様々なことを経験し、自分のものにしていきます。


こういった「学習」や「記憶」に深く関わっているのが脳にある海馬と偏桃体という器官です。


脳に長期的な記憶としてしっかりと定着していくにはこの2つが活発に機能していくことが必要になります。


活発に機能するための条件は「楽しいこと」です。


海馬って?

海馬は記憶に関わる器官です。

海馬は運動、勉強、日常生活で必要な能力、それら全ての学習と記憶に関わっています。


海馬に記憶が蓄積されているわけではないのですが、海馬を通して他の悩部位が活動することで記憶として定着していきます。

逆に、海馬の活動が少ないまま物事に取り組んでも、記憶として定着がしにくいと言われています。


楽しい気持ちが大切

では、海馬が活発にはたらくには何が必要なのでしょうか。


海馬の隣には偏桃体という器官があります。

偏桃体は楽しい、嬉しい、ワクワク、愛着、怖い、不安、嫌悪感といった情動を司る器官です。

偏桃体と海馬は互いに影響しあっており、偏桃体が活発に働くことで海馬も活動的になります。


つまり、「楽しい!」「ワクワクする!」といった強くポジティブな気持ちで活動することで、記憶も定着しやすくなります。


取り組んだ活動が、楽しい思い出として残っていれば、「もう一回やりたい」と思えます。

将来的に何かする場合でも、過去に楽しい記憶があればチャレンジしやすくなります。


子ども達は遊びの中で様々な体の動かし方、コミュニケーション、道具の使い方などを経験していきます。

この経験が楽しく、ワクワクするものであれば、良い記憶として定着し、今後の人生において大きな糧となります。


ネガティブな経験も記憶する

記憶はポジティブな経験だけではありません。

偏桃体はネガティブな感情にも関係しています。

強い恐怖や不安を感じると、その出来事の記憶も海馬を通じて記憶されます。


活動の中に、こういったネガティブな感情が強く伴うと、「もうそれはしたくない!!」となってしまいます。


まずは楽しくたくさん遊ぶことで様々な経験を積み、

何か習得して欲しいことがある場合も、始めはあまり強制せず、楽しい気持ちになれる環境を整えてあげることが大切です。


じゃれつき遊びの大切さ

スパーク西京極でもよく行う遊びに、「じゃれつき遊び」があります。

大人の上に乗ったり、くすぐりあいっこをしたり、男の子であれば戦いごっこのような感じで(安全な)取っ組み合いをしたり、抱っこでグルグル回したりします。


一見無秩序に遊んでいるだけに見えるじゃれつき遊びですが、子どもの発達にとって凄く効果的なことがわかってきています。


特別な道具やおもちゃが無くても、安全なスペースと元気な大人が1人いればできる遊びです。

ぜひご家庭のリビングでもやってみてください。


じゃれつき遊びはスキンシップ

子ども達は親との愛着形成をベースに成長していきます。

じゃれつき遊びでは積極的なスキンシップを取る為、愛情ホルモンのオキシトシン分泌が活発になり、愛着形成が進みます。

オキシトシンは以前にも言及しましたが、ストレスの緩和や将来の人間関係構築に深く関係しているとされています。→こちらから


じゃれつき遊びで体の動きを学ぶ

じゃれつき遊びを沢山することは、子ども達が自らの体の動かし方を学んでいくうえでも効果的です。


じゃれつき遊びでは、大人の体という”不規則な形をした物体”に登ったり、ぶら下がったり、掴まったりします。

押し合い、引き合い、ジャンプといった基礎的な運動も沢山経験することができます。

どのように力を入れれば良いのか、自然と覚えていくことができます。


また、大人の体に乗ったり、大人に抱っこでグルグルと回されることで「不安定」を沢山経験することができます。

落ちない様にバランスを取ろうとすることで、バランス能力やスピードを感じる能力を司る、前庭感覚が刺激されます。


こういった体の使い方は、運動機能に直結しています。


激しく遊ぶ必要がある年齢

子ども達の脳が発達する順序について、『脳を鍛える「じゃれつき遊び」』という本で紹介されています。

この本のモデルとなっている「さつき幼稚園」は、「スパークさつき」も運営されており、積極的なじゃれつき遊びを通じて子ども達の発達を促されています。

HP:スパークさつき


子ども達の脳は「興奮」と「抑制」のバランスを取りながら発達していきます。


幼児期は「興奮」も「抑制」もまだ未熟な「そわそわ」状態。


そこから小学校低学年~中学年にかけて「興奮」が発達し始めます。

このころから、子どもらしい活発な感じになっていきます。

ちょっと抑えが効かないくらいです。


小学校高学年や中学生になってくると「抑制」の働きが発達し始め、興奮と抑制のバランスを取れる様になってきます。

このころから切り替えが上手くできるようになっていきます。


この順序をしっかりと踏まずに成長してしまうと、大きくなってもそわそわとした状態が続き、ADHDに似た状態になってしまうようです。


未就学の子どもたちは、「興奮」の働きをぐんぐんと伸ばしてあげるのが必要な時期です。

そのために手軽に高い効果を発揮できるのがじゃれつき遊びです。

つまり、じゃれつき遊びはそこそこ激しいので、大人にとっては結構ハードかも知れません、、、笑


参考:脳を鍛える「じゃれつき遊び」 正木健雄 他 小学館 2004年


じゃれつき遊びの例

スパーク西京極でも、よく採用しているじゃれつき遊びの例を挙げておきます。


・大人のぼり(四つ這いや立ったまま)

・だっこぐるぐる(様々な抱っこの方法、向き)

・肩車(ゆっくり傾いたりする。前、後ろ、左、右で進む方向を子どもに指示させれば伝える練習にもなる)

・大人の腕にぶら下がり

・たたかいごっこ(痛いパンチやキックはきちんと伝える)

・お相撲

・お馬さん(四つ這いの大人に乗って進む)

・手押し相撲

・脚つかまり(大人の足に掴まる。大人が歩いても離れないようにする)

・くすぐりあい


できそうなものから取り組んでいただければと思います!



感覚過敏・鈍麻と遊び

視覚や聴覚など、感覚が非常に敏感で生活に支障が出てしまうことを感覚過敏と言います。

反対に、刺激に対して非常に鈍感で、不便さを抱えてしまうことを感覚鈍麻と言います。


ADHDや自閉症スペクトラム(ASD)など、発達に不安のある子たちの中には過敏や鈍麻などの、感覚に対する特性を持つ場合も少なくありません。

明確な原因は分かっていませんが、感覚遊びを通して多少であれど緩和していったり、集中している時は過敏さが出にくかったりすることが分かっています。


感覚過敏

人の感覚は五感(聴覚、視覚、触覚、味覚、嗅覚)と体性感覚、前庭感覚からなります。


感覚過敏の例)

視覚:蛍光灯の光がまぶしすぎて耐えられない。

聴覚:空気のシューっという音や大きな音など、特定の音に耐えられない。

触覚:人に触れられるのが嫌。


もちろん、蛍光灯の光、黒板をひっかく音など不快な音はたくさんあります。

でもそれでパニックになったりすることはありません。


しかし、感覚過敏と言われる子たちはそれが耐えられない、我慢できないレベルでしんどいのです。


感覚鈍麻

いつの間にか痣が出来ている。

激しくぶつけたり、こけたりしたのに痛いと感じない。


他にも、暑さ寒さを感じにくく、衣服や水分補給などによる体温調節が疎かになってしまうこともあります。


参考:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191031/k10012157451000.html



感覚特性には様々な行動を伴う

感覚に特性がある場合、子どもによって様々な行動を伴います。

特定の感覚を求め、何度も同じ行動を繰り返すのが一つです。

・何度もその場でくるくると回る

・ジャンプを繰り返す

・バランスボールに繰り返し体を押し付ける

・トイレを何度も流して音を楽しむ


感覚を自分で刺激し、感覚を満たそうとします。


他にも、嫌な感覚(過敏)がある場合の行動として

・特定の音に耳をふさぐ(音量だけでなく音の種類も関係)

・特定の服を着たがらない

・匂いや触感が嫌で特定の食べ物がどうしても食べられない。


感覚を刺激する遊びをする

感覚特性に対しては、無理のない範囲で感覚遊びをすることも効果的です。

前庭感覚や体性感覚を刺激する、遊具でのバランス遊びや、触覚を刺激する為にじゃれつき遊び、感触遊び(スライム、インク、粘土、水遊び)などがあります。

嫌がる感触を無理に押し付ける必要はありません。


タスクモードへの切り替え

人間は脳を場面に応じてタスクモードとデフォルトモードに切り替えながら生活しています。

集中して課題に取り組んでいるときがタスクモード。

ぼんやりと空想をしたり、ルーティンをこなしているときはデフォルトモードです。


感覚特性はデフォルトモードの時に出やすいとの考えもあります。

発達に不安のある子たちはデフォルトモードからタスクモードに切り替えるのが少し苦手な場合があります。


好きな遊びや夢中になれることを通じ、タスクモードへの切り替えを促すことも感覚特性を考えるうえでは効果が期待できます。

発達障害児へのホルモン分泌のメリットと普段気を付けたいこと

スパーク運動療育では、脳科学に基づいたアプローチで子ども達の発達を促しています。


その1つに体から分泌される「ホルモン」への働きかけがあります。

ホルモンは感情のコントロールや脳神経の成長に関わっています。


自閉症スペクトラム(アスペルガーを含む)やADHDなど、発達障害と言われる子たちはホルモンの分泌や受け取りに苦手がある場合も少なくありません。


スパーク運動療育では、療育士と一緒に積極的に体を動かし、言語、非言語のやりとりを沢山することで以下のようなホルモンの分泌を促しています。


・ドーパミン

・セロトニン

・オキシトシン


今回はこれらのホルモンについての紹介と、運動・やりとりによる効果、普段の生活で気を付けたい習慣についてご紹介します。


ドーパミンのメリット

ドーパミン意欲や快楽のホルモンです。

褒めてもらえた、達成した、できるようになった、肯定してもらえたといった体験を積んだ時に分泌されます。

そして、「もっと頑張ろう!」「もう一回やろう!」といった意欲につながります。


ADHDの子たちはドーパミンの受容体(受け皿)に弱さがあり、ドーパミンによる恩恵を受け取りにくい(かなり強い刺激が必要)という見解もあります。

(受容体や分泌の機能は、繰り返し使うことで発達していきます)


発達障害を持つ子たちにとって、日常生活や集団生活において「難しいこと」は沢山あるかもしれません。

それでも「できないこと」ばかりに目を向けるのではなく、「チャレンジした気持ち」や「少しでも進歩したこと」を認め、たくさん褒めてあげることでドーパミンが分泌され、「がんばる気持ち」が育まれていきます。


スパーク運動療育では、子ども達を認め(肯定し、子どもと同じことをする)、たくさん褒めることでドーパミンの分泌を促しています。


ドーパミンで気を付けたいこと

ドーパミンは褒められたり、達成したとき以外にも分泌されます。

代表例はゲーム、スマホや甘いお菓子(お砂糖)などです。


これらは非常に刺激が強く、ドーパミン分泌をかなり強く刺激してしまいます。

ゲームやスマホから離れることが出来ない、お菓子を食べすぎてしまうといったことに陥ります。


これらの強い刺激は、「もっともっと」といった気持ちを呼びます。

それが無いと落ち着かなかったり、更に量や刺激を求めたりします(満足できなくなる)。


ゲームやお菓子が必ずしも悪いというわけではありませんが、過度な場合はドーパミン以外のホルモンや健康に影響を及ぼしてしまうことがありますので、時間や量を決める関わり方が必要になります。


セロトニンのメリット

運動をする、リラックスできる音楽を聴く、ゆっくりと呼吸をするなどでセロトニンが分泌されます。

セロトニンは落ち着きのホルモンで、情緒を安定させてくれます。

不足していると、イライラや極度の不安、情緒の不安定さに繋がります。


また、睡眠の質にも関係しているので発達段階の子ども達にとっても非常に大切です。


運動をしているときは、セロトニンとアドレナリンのバランスが整い、情緒や思考が安定しやすくなります。

特に軽めの有酸素運動が効果的です。

追いかけっこ、遊具で遊ぶ、ジャンプをする、踊る、など子ども達が日常的に遊んでいる内容で構いません。

血流とも相まって、10~20分程度で落ち着きの効果が期待できます。


セロトニンで気を付けたいこと

セロトニンは普段の生活習慣に大きく関わっています。

食事、睡眠、運動とは特に関わりが深いです。


運動に関しては述べたので、食事と睡眠に触れておきます。


セロトニンに関わらず、ホルモンを作るには「材料」が必要です。

まずは、まんべんなく色々な食品を食べることが大切になります。


また、セロトニンの8~9割は脳ではなく腸から分泌されています。

発達障害を持つ子たちは胃腸に不安を抱えている場合が多いですので、セロトニン分泌にも不安を抱えやすいです

揚げ物やスナック菓子、清涼飲料水、お惣菜などは胃腸を乱しやすいので、量を決めて控えめにしてみるのも効果的です。


発達段階の子たちにとって睡眠はすごく重要です。

寝る直前までテレビやスマホの光を見てしまうと、セロトニン分泌が阻害され、睡眠の質が低下し、日中にイライラしやすくなってしまいます。

日中も画面を見る時間が長すぎると、心身の不調が出やすくなります。

先程のドーパミンと合わせて気を付けたいところです。


オキシトシンのメリット・気を付けたいこと

オキシトシンは愛情ホルモンです。

子ども達は親をはじめとした周囲の大人たちに優しく声を掛けられ、抱きしめられることでオキシトシンを分泌させます。

オキシトシンはストレスの緩和や愛着形成に関係しています。


オキシトシンはハグなどで接触している時間や関わりの時間の長さに比例してたくさん分泌されます。

オキシトシンをしっかり分泌して成長した子は、将来的に他者との関係性(恋愛や家族、友人)を維持しやすくなります。

一方、幼少期のオキシトシン分泌に不足があると将来的に愛着障害を引き起こしやすくなるとも言われています。

発達障害と愛着障害の両方を持つと、症状が重くなりやすいという説もあります。


抱きしめる、優しく関わるという時間を可能な限り増やしていただければなと思います。


スパーク西京極でも、療育士たちはたくさん子どもたちを沢山抱きしめ、オキシトシン分泌を促しています。


【発達に欠かせない”目の力”】姿勢や運動機能を良くする眼球運動遊び

発達に不安がある子たちは自らの体をコントロールすることが苦手な場合が多く、目の運動も例外ではありません。

目の運動に苦手があると、姿勢やバランスの保持のみならず、記憶力、空間認識能力、周辺視野など様々な所につまずきが出てきます。


今回はスパークでも大切にしている「眼球運動」について詳しく書いていこうと思います。


視力とは違う、「目の力」

発達障害と言われる子たちは、筋肉の緊張が低かったり、筋力発揮のコントロールが難しかったりします。

それは手足や体幹の筋肉に限った話ではありません。

目や口といった顔のパーツを動かす筋肉にも当てはまります。


今回のテーマである、

視力とはまた違った「目の力」とは「目の筋肉による眼球の運動(以下:眼球運動)」によって獲得されます。

つまり、筋肉のコントロールが苦手だと眼球運動にも支障が出ます。


視力は眼球そのものが持つ能力を評価しています。

眼球運動の能力は、目を動かす筋肉の機能に左右されます。


首を動かす筋肉と目を動かす筋肉は別々に動くことができる

私たちが対象物を見る時、主に3パターンあります。


1.首をひねったり曲げたりして、顔も目も目的の方向に向ける。


2.顔は固定したまま、目だけで目的の方向を見る。


3.目を正面に向けたまま、首だけをひねって顔は別の方向を向く。

(正面を見たまま、顔を左に向けるなど)


1の場合は、首の筋肉、目の筋肉の両方を同時に使っています。

2の場合は首の筋肉は動かさず(固定するという使い方)、目の筋肉だけを動かしています。

3の場合は、目の筋肉と首の筋肉の両方を使っていますが、方向は反対です。


これが難しい子たちがいます。

首の筋肉と目の筋肉の共同と分離が苦手です。


療育中も鬼ごっごをしているとすごくわかりやすいです。

鬼を横目で追うということができません。

顔ごとその方向を向きます。

逃げる時は逃げる方、追いかける時は追いかける方向だけに顔も目も、子どもによっては体も向いています。


眼球運動には以下のような種類があります。


①VOR(前庭動眼反射)

頭部が動いた場合、それとは反対方向に眼球運動が生じることです。

そうすることで空間に対する眼球の向きを一定に保つことができます。

今このブログをご覧になっている画面を見たまま、顔を上下左右に動かしてみて下さい。

この時の眼球運動です。

VORには前庭感覚の発達も関係しています。

前庭感覚については、こちらから


②PEM(追従性眼球運動)

頭部が動かないように固定して、動く物体を目だけで追う運動です。

パソコンで見ていらっしゃる方なら、マウスをランダムに動かしてみてください。

頭を動かさずとも、マウスのカーソルを目だけで追うことができます。

この時の眼球運動です。


③SEM(サッケード)

見たい対象に高速で眼球を動かす運動です。

今読んでいるこの文章で

改行をするたびに

次の

段落に素早く視点を

移しています。

この時の

眼球運動を

サッケードと呼びます。

あえて、

改行を多めに書いてみました。


いずれの眼球運動も生きていくうえで必要な能力で、これが出来ないために様々な悩みに繋がります。


眼球運動の能力が未熟なために起こる可能性のある困りごと

・周辺視野の狭さや空間認識能力の低下で物にぶつかりやすくなる

・正中位の認識が難しく、真っ直ぐ座ることやバランスを取ることが難しい(真っ直ぐが分かりにくい)

・字や絵の認識が苦手

・黒板の字を書き写すのが苦手

・集中力や記憶力に影響が出る

・目と体の運動の協調が難しい

・視界から外れたボールのキャッチなどが難しい(目で追えなかったり、頭部が傾きすぎてこけたり)


スパーク西京極でも取り入れている目の力を育てる遊び!

スパーク運動療育®においても「眼球運動」は重要な運動として位置づけられています。

スパーク西京極では以下のような眼球運動遊びを取り入れています。


風船遊び

発達年齢に応じた内容で行います。

風船を飛ばしてキャッチしたり、お互いにポンポンと弾いてラリーをしたり。

ルール遊びができる時は、風船バレー対決をしたり。

子ども達に人気なのは、ジョイントマットで大きな風を起こして、不規則に動く風船を追いかける遊びです。


遊びのコツは、正面からくる風船に慣れてきたら、様々な方向に風船を飛ばしてあげることです。

視界の中だけでなく、視界の外にも飛ばします。


ボール遊び

シンプルなキャッチボール、転がしあいっこ、ボール避けなど。

子どもが投げる運動も別の意味で大切ですが、向かってくるボールを目で追う遊びで目の力が鍛えられます。

遊びのコツは風船と同じで正面からくるボールに慣れてきたら、上下左右様々な方向、軌道でボールを投げてあげます。

キャッチや避けることが難しい場合は、スピードを落としてあげたり、軌道を教えてあげると良いです。


ラミネートタッチ

手に持ったラミネート(好きなキャラクターのぬいぐるみなどでも可能)を様々な方向に振って、子どもにそれをタッチしてもらう遊びです。

コツは前後左右斜め上下、様々なスピード、近さ、奥行きで行います。


おまけ:赤ちゃんの頃から出来る遊び

赤ちゃんのころからおもちゃや大人の指を目で追わせるのは効果的です。

この時も前後左右斜め上下、様々な方向にまんべんなく行います。


最後に

姿勢が悪い、運動が不器用など様々なお悩みを聞くことがあります。

必ずしも一つの機能の改善だけで解決する問題ではなく、複数の要素が絡み合っています。

眼球運動もその要素の1つです。


子ども達は遊びを通じて様々な方法で体を使い、生きていくうえで必要な機能を1つ1つ獲得していきます。

眼球運動を含め子ども達の発達をサポートすべく、スパーク西京極でも遊び(運動とやりとり)をメインにした療育を行っています。


ぜひご家庭でも眼球運動遊びを取り入れてみてください!


遊びで筋感覚を刺激しよう

筋感覚という言葉を聞いたことがありますか?


筋感覚とは「自分の体のどこがどのように動いているか」を感じる能力です。

筋感覚は視覚や聴覚などの五感と同じくらい脳で精密にコントロールされています。


正しい姿勢を保ったり、自分の腕や脚、頭がどの位置にあるのかを感じたりするときに筋感覚が重要になります。

発達に特性や遅れのある子どもたちは、人や物にぶつかりやすかったり、良い姿勢を保てなかったり、運動にぎこちなさがあることも少なくありません。


こういった難しさを生む理由の1つに筋感覚の弱さが考えられます。


ではどうすれば子どもたちの筋感覚を鍛えることができるのでしょうか。


筋感覚も他の感覚同様に体(筋肉)からの脳への刺激と、脳からの指令で成り立っています。

筋肉をたくさん使う、すなわち運動をするなかで筋感覚が刺激され、鍛えられていきます。


ところが、子どもたちに運動を強制しても、自ら集中して体に意識を向けることはありません。

そこで必要なのが、楽しく遊ぶ中で体をたくさん使うということ。

「楽しい」という感情から積極的に遊びを展開し、体を意識すること、たくさん刺激が入ることで筋感覚が鍛えられて行きます。


特に筋肉に強い刺激が入る運動や、バランスを取る運動、くぐったりまたいだりといった物を避ける遊びが効果的です。

押したり引いたり、走ったり、跳んだり、ぐらぐらする場所を歩いたり。

お家や公園で可能な遊びはもちろん筋感覚を鍛えることに繋がってきます。


強制的に運動をさせるのではなく、機会をたくさん与えてあげることが大切です。

できるだけ外に出て遊ぶ機会、親と体を使って遊ぶ機会(登る、抱っこで回すetc)を可能な範囲でたくさん作ってあげて下さい。

強制はせず、体を動かすことが嫌いにならないように気をつけてあげて下さい。


スパーク西京極では、子どもたちにとって体を動かす良い機会になれるよう、スタッフたちが楽しく関わって遊びを展開しています。


「姿勢が悪い=体幹を鍛える」というだけでもなく、、、。

「体幹が弱く、姿勢が維持できない」というお悩みがある場合、どういった遊びをしていけば良いのでしょうか。

姿勢を維持することは、どんな運動をする時にも大切です。


じっと座っているだけでなく、ふらつかずに歩く、走る、こけないようにする、遊ぶ。

姿勢を保つことは日常生活では欠かせません。


自分の体の状態を知る

「姿勢が維持するのが苦手」という子に対して「体幹を強くすること」だけをすれば良いというものでもありません。

もちろん体幹を強くすることは大切ですが、

それとプラスして感覚を刺激する遊びも取り入れたいところです。


というのも、姿勢を維持するには今の自分の状態を感じる力が必要だからです。

「今自分の姿勢が崩れている」

「腰が曲がっている」

「首が前に出ている」

「膝に力が入っている」

「立っている地面は柔らかい、硬い」など


こういったことを感じてから、それに応じて体をコントロールしていきます。

「これくらい力を入れると体が真っ直ぐになる」

「ここに力を入れると真っ直ぐになる」


ところが、体幹が弱いと、思った通りに姿勢を維持することができません。

このときに「体幹の強さ」が必要になります。


また、もし体幹が強くても、感じる力が未熟であれば体のコントロールは出来ません。

今の自分の状態を感じることができなければ、どこにどれだけ力を入れて良いのか、どんな状態にすれば良いのかわからないからです。


感覚を刺激する遊び

子どもたちの体にたくさんの感覚刺激を入れていくことで、感じる力は強くなっていきます。


【必要な感覚】

体性感覚・・皮膚や筋肉、関節の動きを感じ取り、触れているもの、触れられているものと自分の状態を知ります。

前庭感覚・・バランスを取るときに必要な感覚。

視覚・・物との距離感や視野の広さ。

筋感覚・・筋肉の収縮や緊張の具合を知る感覚。


【遊びの種類】

強い力を出す遊び・・走る、ジャンプ、ボールを投げる蹴る、ぶら下がる、手押し車など。

バランスを取る遊び・・不安定な遊具に乗る、大人の背中に乗る、バランスボールなど。

目で追う遊び・・ボール遊び、追いかけっこなど。

触れる遊び・・粘土やスライム遊び、抱っこ、水遊び、くすぐり遊びなど。

様々な地面を体験・・砂場や芝生、川、ビーチなど。可能な場合は裸足で。


まとめてしまうと、「たくさんの種類の遊びをやりこむ」ということです。

特に強い力を出す遊びやバランスを取る遊びはそれ自体が体幹を強化する遊びでもあります。


体幹が弱いと言われる子たちには、体幹を強化する遊びだけでなく、感覚を刺激する遊びもたくさん経験させてあげて下さい。


「真っ直ぐしなさい!」、、でも「真っ直ぐが分からない」。

「体を真っ直ぐにしなさい!」と言われても、


今自分の体がどれだけ曲がっているのか、

どの程度力を入れれば真っ直ぐを保てるのか、

そもそも真っ直ぐってどんな状態?


それが分からないことには、姿勢を真っ直ぐにできません。

それを知るための土台が感覚です。

強制はせずに、楽しいと思える遊びで感覚をたくさん刺激してあげて下さい。

集中力が無い?集中しすぎてしまう?

「集中力が全くない」「集中して話を聞くことが出来ない」と言ったお悩みを聞くことがよくあります。

その一方で、普段は集中できないけれど、ある特定の物事には集中しすぎてしまうというお悩みを聞くこともあります。


こういった特性はADHDや自閉症スペクトラムと言われる子たちによく見られるようで、療育でもその姿を垣間見ることができます。

スパーク運動療育では主に子どもたちの感情へ働きかけるアプローチで発達の支援をしています。

集中力も「感情」と非常に関係が深く、遊びを通じた様々な経験から鍛えることができます。


集中力が続かない

集中力が続かない原因は様々です。

ストレスが高い、気持ちのコントロールが苦手、気が散りやすい、感覚特性があって視覚や聴覚に過敏がある等です。

いずれの場合も、スパークでは「感情」を発達させてあげることで集中力も少しずつついてくると考えています。

例えば集中して何かに取り組むには、「集中しよう!」と言う気持ちが必要です。


「楽しい」「嬉しい」といった感情が高まれば、「集中しよう」という気持ちも起こりやすくなります。

スパークでは遊びを通じて、療育士達がそういった感情に働きかけ、遊びに集中するといった経験を子どもたちに沢山積んでもらっています。


・遊びを通じて集中する経験を積む

・集中しているときは感覚特性が緩和される

・知らず知らずのうちに気持ちをコントロールする練習になっている


こういった積み重ねで少しずつ集中する力がついてきます。


集中しすぎてしまう

普段は集中力がなかなか発揮されないけれど、ある特定の物事に集中すると、集中しすぎてしまうという場合があります。

これは、ADHDやアスペルガーの人によく見られる過集中という状態です。

例えば、ブロックで遊び始めると、すごい集中力で何時間も休まず、ご飯もトイレも忘れて取り組んでしまうなど。


過集中は「高い集中力が発揮できる」という点では長所になりますが、食事やトイレまで忘れてしまったり、体調が悪くなるまで取り組んでしまったりと、コントロールが効かないと日常生活に支障が出ることもあるそうです。


集中力のコントロールが難しい状態なので、例えば1時間おきに「お茶を飲もう」「トイレに行こう」等など定期的に気づきを促す声掛けや区切りの声掛けをしてあげると良いようです。

スパークでも、定期的に「休憩しよう」「お茶飲もう」など、一息つく声掛けを行っています。

遊びの中で一息つくことも経験の中で学んでいきます。


コントロールする術を学びながら、長所を伸ばしていってあげたいですね。

抱っこ遊びで心と体を育てる

特性にもよりますが、抱っこが好きな子は多いです。

実は「抱っこ」は乳幼児期の子どもの心と体に非常に大切なことです。


1.心を落ち着け、愛着を形成する

2.前庭感覚、体性感覚、視覚を刺激して運動機能向上に関連


抱っこの心への効果

悲しい時、痛いとき、子どもたちはよく抱っこを求めます。

そして抱っこをすることで落ち着きを取り戻します。

これは、抱っこをすることで分泌されるホルモンが関係していると言われています。


幸せホルモンのセロトニン、愛情ホルモンのオキシトシンが分泌されることで気分を落ち着ける効果があります。

子どもたちは様々な困難に直面しても、抱っこで心を落ち着け、乗り越えていきます。


また、発育発達は親子の愛着形成をベースとしています。

抱っこを通じたオキシトシン分泌は発育発達の根っこになります。


抱っこの体への効果

抱っこをすることは体にも良い影響を及ぼします。

いわゆる「運動神経」「ボディイメージ」といった運動能力に関係する機能に「体性感覚」「前庭感覚」「視覚」があります。


体性感覚は「自分の体を触れられている」「物が体に触れている」「触っている」といった感覚です。

抱っこでギューっとしてあげることで、強い刺激が入り、体性感覚が鍛えられていきます。


前庭感覚は「体が左右に動いている」「上下に動いている」「スピードが速い、遅い」「バランスを取る」といった機能です。

抱っこで子どもを振る向きやスピードに関係します。


もう一つ、視覚も鍛えることができます。

ここでいう視覚は視力のことではなく、物との距離感や視野の広さのことです。

抱っこをしている時の視線をどれだけ動かしてあげられるかが関係します。


発達に不安のある子たちは

・ボディイメージが弱く、よく人や物にぶつかる

・運動がぎこちない

といった特徴があります。


こういった運動機能の根底にあるのが、体性感覚、前庭感覚、視覚です。

それぞれの感覚を刺激していくことで、脳の新しい神経回路が作られて発達が進みます。


抱っこをすることがこれらを鍛えることができるのですが、、、、

ちょっとしたコツがあります。


それが抱っこ遊びです。


運動機能を高める抱っこ遊びのコツ

ただ抱っこをするだけでなく、そこから遊びに繋げます。

運動機能を高くするための抱っこ遊びのコツは、4つ。


1.いろんな強さで体性感覚を刺激(優しいギューから強いギューまで)

2.子どもをいろんな方向へ持ち上げて前庭感覚と視覚を刺激(上下左右、斜め上、斜め下、左右回転)

3.子どもの向きを変えて前庭感覚と視覚を刺激(親の方を向く、親と反対を向く)

4.組み合わせる


*いずれも安全を考慮したうえで実施してください

*首の座っていない乳児には大きな刺激を与えない様に注意してください。


抱っこ遊びでこれらの感覚を刺激してあげることで、新しく脳の神経回路を作ることに繋がります。


泣いている時などに無理して行う必要はありません。

泣きたいとき、つらいときは落ち着くまで優しく抱っこしてあげて下さい。


愛着形成をしながら、運動機能にも必要な刺激の入る抱っこ遊び、ぜひやってみて下さい。


スパーク西京極では、、、

スパーク西京極でも抱っこはたくさん行っています。

子どもたちを褒める時、共感して寄り添う時はもちろん、抱っこ遊びもしています。

スタッフとの関係性構築や、感覚を刺激する遊びとして抱っこは大変効果的だと感じています。