スタジオ便り

スタジオから日々のあれこれお届けします

自然環境下で体を動かす効果

ホームページのインフォメーションでもお伝えしておりますが、「フィールドスパーク(屋外での集団療育)」を6月に実施いたします。

詳細はこちら→https://daiki.kyoto/nishikyogoku/blog/article/「★フィールドスパーク_at_アクアリーナ★」のお知らせ


先着順となりますので、お電話、メールで早めのご予約をお願いいたします。

定員に達しましたので、募集は終了いたしました。



というわけで、今回は自然環境下の運動について書いて行こうと思います。


*フィールドスパークの会場は大自然というわけではありませんが、、、、笑


運動とは生きること

 「運動」 と言うとプラスアルファなことのように聞こえますが、本来は きる=運動をすること」 です。

世の中は便利に進化していますが、残念ながら人間の設定は20万年前から基本的には変化していません。


今はスーパーに行けば食料を得ることができます。

しかし、本来は自分で狩りや採集をしなければいけません。

それに適した状態に私たちは生まれてきます。


「どうすればもっと上手に簡単にできるだろう?」

「どうやって動かせば良いのだろう?」

体の動かし方について、脳で考えることで人類は発展してきました。


つまり、脳と運動は切っても切れない関係にあります。

だからこそ、運動をすることで脳が発達します。


自然そのものから受ける恩恵

運動の前に、自然についてもお話ししておく必要があります。

あすぴーが見つけた四葉です(笑)

良いことあったみたいです。


人間は自然の一部なので、発達していくためにも、健康に過ごしていくためにも、自然から受ける十分な刺激を必要とします。

動植物に触れる機会もそうですし、気温や風、地面の感触を味わうこともそうです。

屋内では味わえないレベルで五感が刺激され、脳を広範囲に使うことになります。


最近では自然環境が私たちの五感に及ぼす影響が科学的にも証明されてきています。

一部紹介します。


耳では認識できない自然環境音が脳に影響

自然環境下では、耳では認識できないレベルの高周波音が出ています。

この高周波音は動物の鳴き声、木々のざわめきや流水、風が吹くことで発生するとされています。

自然環境下でこの高周波音を聞くと、骨伝導を通じて脳のα波が活発になり、リラックス効果があるとされています(*1)。


この効果は、ハイパーソニック・エフェクトとして知られています。


発達に特性のある子たちは不安やストレスが高いことも多いので、外にいるだけでもそれを軽減する効果が期待できます。


認識できない自然の匂いにも多大なメリット

木々や植物は多くの植物由来化学物質(フィトケミカル)を放出しています。

フィトケミカルの一種であるフィトンチッドは匂いとして認識することはできませんが、嗅覚を通じて脳に大きな影響を与えます(*2)。


フィトンチッドはストレスホルモンを減少させる効果があるので、痛みや不安を軽減させます。

それだけでなく、ナチュラルキラー細胞という免疫力に関わる細胞を強化してくれることもわかっています。


このように私たちは気が付かないうちに、五感を通じて自然から多大な恩恵を受けています。


日光を浴びれる!

外と言えば日光ですよね!

日光を浴びることで生成されるビタミンDは骨や筋肉の発達、だけでなく免疫力の強化にもつながります。

日光を浴びる量が少ない場合の健康被害については、たくさんの報告があります。


現在は新型コロナウイルスのこともあり、大きな声では言えませんが、やはり外に出て日光を浴びることは重要です。


外で遊ぶとこんなに脳が使われる?!

運動そのものの効果についてはブログや療育の際に説明している通りです。

その運動を、ただいるだけでも効果のある自然環境下(屋外)で行うとなると、メリットが何倍にもなることは簡単に想像がつきますね。


しかも、屋内と違って外では脳をより広範囲に使って体を動かします。


例えば、鬼ごっこをする時を想像してみてください。

その日の気温、木々や風の音、日差しなどを感じながら鬼を気にして走ります。

鬼から逃げながらも、地面の傾斜やランダムなデコボコに対応しなければいけません。

時には虫が飛んでくることもあるかもしれません。


これだけでも、外で遊ぶことがどれほど感覚を刺激し、脳を広範囲に使うか想像していただけるかと思います。

脳はたくさん使うことで発達します。

自然はそれを優しく、時には厳しくサポートしてくれます。



というわけで、フィールドスパークのお申込み、お待ちしております!

アナウンスしてまだ1日なのですが、たくさんのお問い合わせを頂いており、残り枠が僅かとなっています!

定員に達しましたので、募集を終了いたしました。

詳細はこちらから→https://daiki.kyoto/nishikyogoku/blog/article/「★フィールドスパーク_at_アクアリーナ★」のお知らせ


こんな感じの場所です。


【この記事の参考文献】

*1 「自然環境の発する音(超高周波数音)が人に与える影響」 石田光男 ほか 2010

*2 「GO WILD 野生の体を取り戻せ」 ジョン・レイティ&リチャード・マニング著 訳:野中香方子 NHK出版 2014

外出自粛と子ども達のストレス

新型コロナウイルスによる自粛で、子どもたちにとってもストレスフルな日々が続いています。


普段行っていた園や遊び場に行けない。

ずっと家にいるという単調で刺激の少ない毎日。


特に発達に不安のある子ども達はその影響を受けやすいと言われています。

ストレスがたまってくると、いわゆる問題行動として表れたり、情緒面に不調をきたすことがあります。

以前、全国各地のスパークの先生方とオンライン勉強会をした際にも、そういった事を心配する声が上がっていました。


ストレスによる問題のみならず、他者と関わる機会と外からの刺激の減少は子どもたちの発達スピードに影響が出ることも考えられます。


そうは言っても自粛期間中なので、どうして良いか分からない状況だと思います。

そんな時こそスパーク的な関わり方がおすすめです。

(*療育士たちほどハイテンションで大げさでなくても大丈夫です。)


いつもよりほんの少しだけ、可能な範囲で良いので、お子さまと一緒に遊ぶ時間を増やしてみるのはいかがでしょうか。

その中で褒めたり、認めたり、感情を共有したりするすることで子どもたちのストレスは下がりやすくなります。


外に行くことができず、思いっきり体を動かして遊ぶのは難しいと思います。

なのでストレスを完全になくすのは大変難しいことかもしれません。

ですが、少しでもお家での関わり方の意識が、ストレスを下げることにつながればなと思います。

動くと落ち着く?ADHDと遺伝子の話

特性として多動や衝動性を持っている子たちは、運動をしたほうが落ち着きやすいということが分かってきています。


ADHDと言われる子たち、もしくはその傾向がある子たちは脳内でドーパミンを処理する機能に特性があるようです。

ドーパミンは幸福感や快感、意欲の高まりに関わるホルモンです。

褒められることや、報酬をもらうこと、他者に認められること、発見をすること、刺激的な経験をすること、そして運動をすることによってドーパミンが分泌されるということが知られています。


ADHD傾向にある子たちはDRD4と呼ばれる、ドーパミン受容体の生成に関わる遺伝子変異が定型発達の子たちよりも多いと言われています。

そのため常に刺激に満たされにくい状態になりやすいということが示されつつあります。

DRD4は新奇性追求遺伝子とも呼ばれており、ADHDではなくともスカイダイビングやバンジージャンプなどの強烈な刺激、スリルを好む人にも多く発現しているそうです。


DRD4は人間が進化していくうえで、新しい場所や物を開拓していくときに必要だったと考えられています。

それもあって現代でも一定数DRD4を多く持った子たちが多様性として生まれてきます。


こういった背景もあり、多動性や衝動性といった特性を持った子どもたちは

刺激的な環境下で思いっきり体を動かした後の方が落ちつきやすいということが考えられています。

当スタジオでも基本的に療育の序盤は走り回ったり、激しく動いたりすることが多いです。

部屋もたくさんの刺激であふれています。


体を動かすことで血流が良くなって脳に酸素と栄養が回り、脳を広範囲に使いやすくなります。

それだけでなく、ADHD傾向にある子たちにとっては、動くことや療育室に来ること自体が刺激を満たして落ち着きをもたらす効果があると考えられます。


毎日体を動かしてばかりはいられないですが、療育に来て下さった時にはたくさん運動してもらえたらなと思います。

また、新型コロナウイルスによる自粛続きで子ども達にとってもストレスの溜まる日々が続いていますが、スパークに来て体を動かし、少しでもそれが緩和されたらなと思います。



参考文献

「脳の個性を才能に変える 子どもの発達障害との向き合い方」 トーマス・アームストロング 中尾ゆかり 訳 NHK出版 2013年

スパークでの関わり方「共動・共感」

スパーク運動療育では「共動・共感」という言葉を子どもとの関わりの基本にしています。

「共感」は検索すれば出てきますが、「共動」は出てきません。


「共動」はスパーク独自の言葉です。

私も初めてスパークを知った時、「共動」ってなんだろうって検索したけど出てこなかったのを覚えています(笑)


共感は他者の気持ちを理解し共有することですが、スパークでは気持ちに加えて体の動きでも表現することを大切にしています。

人それぞれですが、嬉しい時に飛び跳ねたり、ガッツポーズが出たりします。

悲しい時は肩を落としたり。

人の感情には動きがつきものです。

なので、「共感」だけでなく「共動」という言葉を用いて、心と体を沢山使って表現するような子どもとの関わり方をしています。


具体的にどんな関わり方をするかですが、まずは褒めることです。

褒めると言っても、先生が生徒を褒めるような声掛け、身振り手振りではなく、子どもと同目線で関わることを大切にしています。


褒めるシーンは主に3つです。

1.ありのままを褒める

2.頑張っている過程を応援、励ます

3.達成を喜び合う


ありのままを褒めるのは、来所時に療育士達が子どもの服装を褒めたり、来てくれたことに感謝を示したりといった感じです。

他にも、子どもたちが見つけた遊びに対して「そんなん見つけたの!?すごい!」と反応するようなシーンです。


頑張っている過程を応援するのは、何か遊びにチャレンジしている時に「がんばれー!」という声掛け、身振り手振りをすることです。

チャレンジが成功すれば、「喜び合う」ように褒めます。

結果的に「すごいー!」とか言っているのですが、言い方が上からにならないようにしています。


共動についても、子どもの遊びを一緒になってやってみること、気持ちを体で表現することを大切にしています。


こういった共動・共感の関わりをすることで、子どもたちの感情にはたらきかけ、コミュニケーションにつながる信頼関係のベースを構築しています。

また、発達に特性のある子たちはストレスに曝される機会が多いため、ありのままを認める共感の声かけが重要になります。

信頼関係が構築され、ストレスが和らいだ状態でやり取りをすることで考える力、表現する力が身につきます。

他者に認められることや、やり取りができた経験は自己肯定感の高まりにつながります。


このサイクルの中で子どもたちは感情を発達させ、社会性を育んでいきます。


スパークで考える遊びの7段階

スパークでは発達心理学に基づいて遊びを7段階に分けて考えています。


遊びの段階は子どもたちの発達の段階とリンクしており、療育で提供する遊びの内容もこの段階に沿ったものとなっています。


スパークでは「遊びの進化レベル」と呼んだりもしています。

お子様の普段の様子や療育時の様子と重ね合わせて読んでいただければと思います。


①注意の段階

まず最初は他者やその遊びに対して注意が向くかどうかです。

療育の時であれば療育士が遊んでいる感覚情報(視覚:療育士の動き、聴覚:声や音 etc)に対して注意が向く様子があるかどうかです。


②興味の段階

感覚情報として入ってきた情報に対して「なんだろう?」と興味を示すのが次の段階です。

注意を向けるだけではなく、「なんだろう?」と考えるため1つ段階が上がっています。


③行動の段階

「なんだろう?」と興味を示した感覚情報に対して、「自分も行ってみよう、やってみよう」と行動に移す段階です。

興味を行動に移したということで1つ段階が上がっていると考えます。


④意味の段階

行動に対して意味が見いだせてくるとまた一つ段階が上がります。

行動と意味の違いをボール遊びを例に紹介します。


行動:療育士がボールを投げている様子に興味を持ち、子どももボールを投げて遊ぶ。

意味:目標に向かってボールを投げる。 療育士の方へ投げたり、的を狙って投げたりする。


ただその場で投げるという遊びは行動の段階ですが、そこに「狙う」という意味が追加されると遊びの段階が上がります。

なんとなく理解いただけましたでしょうか?


⑤複雑化の段階

意味の段階から複雑化の段階は少しハードルが上がります。

「複雑化」の段階では、遊びから受ける感覚情報やルール、情報量が増えます。

意味の段階である「的を狙ってボールを投げる遊び」に、以下のような変化が加わると複雑化になります。


・的の場所が変わる

・いろいろな的を狙う

・指定された的を狙う

・指定されたボールを探して、的に当てる

など


明らかに遊びが高度化していることが分かります。

療育士からこういった変化を提案するときに、子どもにはストレスがかかる場合があります。

なぜなら「変化」を伴うことと、「他者とのやりとり」が不可欠になるからです。

ですが、これも発達に必要な乗り越えるべきストレスであり、療育士のサポートを受けながら子どもたちは成長していきます。


複雑化の段階がしっかりしてくると子ども自らルールを提案したり、遊びに変化を持たせて膨らませていく様子が見られます。

そのようなときには、さらに高度なやり取りが療育士との間でなされ、子どもたちは関係性の発達を伸ばしていきます。


⑥律動的の段階

複雑化した遊びを自ら提案し、その中でリズミカルな動きができる様になってきたり、遊びの中で起こる変化に対して素早く反応できることで律動的な段階に進化します。

例えば、的になる療育士の数や距離が素早く様々に変化するのにも対応し、展開に付いて行くことが出来るとこの段階になります。


⑦共動・共感の段階

療育士や同じ時間帯にシェアしている子と役割交代をすることができ、自らルールなどを指定することも出来るような段階です。

遊びをただ単に自分のペースに持ち込むのではなく、相手のことも考えながらという段階になります。

この段階まで来ると、そのさらに上の段階だと考える「ごっこ遊び」「チームゲーム」などに取り組みやすくなります。


この遊びの段階が高いから良くて、低いからダメというものではありません。

もちろん最終的に⑦の段階まで到達し、さらに複雑な遊び、人間関係の構築ができる事に越したことはありません。

ですが、まずは1人1人の子どもたちが今の場所から着実に成長していくことが大切です。

遊びの進化レベルはその目安になるものです。

運動をすると脳細胞が増える

スパーク運動療育西京極スタジオでは、「運動」と「積極的な関わり」の2本を主軸とした療育を行なっています。


「運動」と聞くと、「何か特定の技能が出来るようになる場所」というふうに認識されがちですが、決してそれだけが目的ではありません。

もちろん、スパークでの遊びを通じた運動で体を沢山動かしてもらうことは「体の使い方」や「不器用さ」の改善にもつながります。


しかし、それ以外にも大切な「運動をする意味」があります。

それが脳の発達です

もちろん体を制御するのは脳なので、先に述べた「体の使い方」や「不器用さ」、「特定の技能」も関わってはきます。

ですが、スパークで目指すのはもっと根源的で広義な脳の発達がメインになります。


脳の発達とは、体の使い方以外にも感情、社会性など様々な面での発達を意味します。


そして、これらの発達すべてに対して運動が効果的であると科学的にも現場レベルでも証明されています。

例えば、授業を落ち着いて聞いてもらうには、朝に読書で落ち着きの時間を作るより運動をした方が効果が高いなど。


意外かもしれませんが、ちゃんと根拠があります。

少し難しい話かもしれませんが、出来るだけ簡単にご紹介します。


出来れば、運動をしている時(ランニングやスイミング、子どもなら鬼ごっこ等)を想像しながら読んでみてください。


①脳のコンディションが良くなる

運動をすると何気に頭が冴えると思いますが、これにはちゃんと根拠があります。


運動をすると心拍数が上がります。

心拍数が上がると言うことは、血液循環が高まるということです。

血液循環が高まることで、脳にエネルギー(酸素とブドウ糖)が回りやすくなります。

すると、脳のコンディションが良くなり、認知・学習・記憶などの機能が高まることが分かっています。


また、運動をすることで脳由来神経栄養因子(BDNF)などの脳細胞を成長させる物質が分泌されます。

脳細胞の成長とは、脳神経のつながりが強化されること、脳細胞の数自体が増えることを指します。


つまり、運動は体のウォーミングアップと成長だけでなく、脳にもウォーミングアップと成長の効果をもたらすということです。


ちなみに、心拍数はドキドキやワクワクと言った感情でも上がります。

スパークでは子どもたちの楽しいという気持ち=ワクワクの感情を引き出します。

もしかするとそれ自体も脳を良いコンディションに保つ秘訣かもしれませんね。


②運動をすると気分が落ち着く

運動をしてイライラが解消されたり、気分がスッキリしたという経験があると思います。

これにもちゃんと理由があります。


運動をするとセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどの神経伝達物質が放出されます。

こういった神経伝達物質は感情や情動、気分と呼ばれるもののコントロールを担っています。


運動をすることで、これらのバランスが良くなり、気分が落ち着くと言われています。

気分が落ち着けば感情の調整や思考もしやすくなります。

しかも血液循環が良くなって脳は最高の状態です。

スパークではその状態で療育を行なっています。


③脳が最高の状態で様々な遊びをする

脳が最高の状態になった中で、スパークでは様々な遊びと大人の積極的な関わりをしています。


ルールのある遊びであったり、体をコントロールする遊び、体を協調させる遊び、指先を使う遊びなど、内容は多岐にわたります。

考えて体を動かす事で脳は発達します。


大人が積極的に関わる療育スタイルは非常に効果の高いものだということが科学的に判明しています。

スパークはそこに運動の効果を上乗せしており、さらなる効果が期待できます。

脳を使いやすい状態にした中で人と関わるというイメージでしょうか。

そして、他者との関わり(やりとり)の中で脳を使うことで、もちろん脳は更なる発達をしていきます。

スパーク運動療育の特別顧問であるハーバード大学医学部精神医学准教授・臨床医であるジョン・レイティ博士の著書「脳を鍛えるには運動しかないー最新科学でわかった脳細胞の増やし方」という本があります。

この本の中にさらに詳しいことが書かれていますので、ご興味のある方はぜひ!

自己中心性と脱中心化

子どもたちが発達していく過程で、自己中心性と脱中心化というキーワードがあります。


①自己中心性

幼児期の子どもに見られる認識は自己中心性の傾向が強いとされています。

自己中心性とは、物事が自分にとってどう見えるかという視点から外界を認識するということです。

常に認識の軸がいつも自分にあります。


幼児期の子どもの多くは、「自分と相手では見ている位置が違うから、見える景色も違う」といった認識はまだ難しいです。

例えば「自分がお気にいりのおもちゃでも、相手にとってはお気に入りじゃないかもしれない」といった認識はまだ難しい。

基本的には相手も自分も「同じ」と認識しています。


この自己中心的な段階は全ての子が通る道であり、何ら不自然なことではありません。

ただし、人間社会は人と人との相互関係で成立している複雑なものです。

ある程度で自己中心的な認識から抜け出し、「脱中心化」することが求められます。


②脱中心化

相手と自分では見えている世界や考え方などが異なると理解し、自己中心的な認識から抜け出すことを脱中心化と言います。

個人差があれど、おおよそ7歳程度で脱中心化が始まると言われています

丁度小学校1年生くらいからです。


この脱中心化を促すのは、人と人とのやり取りを通じた人間関係によるものです。

そして、自己中心性の段階が十分に満たされてから、次のステップとして脱中心化が訪れます。


③関わりの中で発達する

子どもたちは大人や周りの子どもたちとの関わりの中で発達します。

脱中心化もその1つです。

年齢的にも未就学の頃からたくさんの関わりをすることが大切になります。


ところが、発達に特性がある子どもたちは他者との関係を気づくことに困難や不安がありがちです。

そこでスパークでは遊びを通じて、療育士が子どもの楽しい気持ちを引出し、共感し、発達に必要な関わりの場を提供しています。

【脳科学の紹介】発達期のセロトニンが自閉症に関係?

自閉症をはじめとする発達障害に関する研究はまだまだ発展途上です。

それでも日々新しいことが分かりつつあります。


スパーク運動療育西京極スタジオでは、運動や人との関わりを通じて子どもたちの「脳」の発達を促すことを目的としています。


そこで今回は日本の理化学研究所(通称:理研)が2017年に発表した自閉症と脳に関する研究をご紹介します。


研究のテーマは、

【発達期のセロトニンが自閉症に重要-脳内セロトニンを回復させることで症状が改善-】

というものです。


元の研究紹介リンク→https://www.riken.jp/press/2017/20170622_1/


*研究は自閉症モデルのマウスを使ったものであり、人への応用は今後に期待です。

それでも運動を中心としたスパークの取り組みが自閉症児の脳にポジティブな影響を及ぼす可能性を感じるものでした。


①まずセロトニンとは?

セロトニンは脳や神経の働きに必要な、神経伝達物質のひとつです。セロトニン神経は脳のあらゆるところに存在し、神経と脳の発達の重要な物質として知られています。

セロトニンは社会性行動、攻撃性行動や性行動とも関係性が示唆されていて、少なすぎも多すぎも良くないとされています。


セロトニンは食事から摂取したトリプトファン(アミノ酸の一種。アミノ酸が集まるとタンパク質。)から脳内で作られます。

身近な食べ物はお肉、お魚、卵など。


また、お外で遊んで日光を浴びることや、運動をすることで体内でのセロトニン量が増えると言うことが知られています。

睡眠に重要な役割を持つメラトニンの前駆体(セロトニンはメラトニンの前段階)ですから、安定した睡眠習慣にも関係しています。


②自閉症モデルのマウスはセロトニン量が少ない

この研究で、自閉症モデルのマウスは生後間もない時期から脳内セロトニン量が減少していました。

人間の自閉症者でもセロトニン量が減少していることは以前から言われています。


そこで、自閉症モデルマウスのセロトニン量を増やすためにSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)を生後3日から離乳まで投与しました。

その結果、マウスの脳内セロトニン量が増加し、自閉症マウスに特有の症状も改善しました。


③運動はセロトニンを増やし、脳の発達を助ける

この研究ではセロトニンの量を増やすために、SSRIという薬剤が使われました。

しかし、投薬だけがセロトニンを増やす手段ではありません。


運動をすることも一つの手段であり、大きな効果が期待できる方法です。

先ほども述べましたが、セロトニンはしっかりした食事を摂ること、運動をすることで増え、夜にはメラトニンに変化して良質な睡眠をもたらします。

そう考えると子どもたちにしてあげられることは意外と単純かもしれません(それが結構難しいのですが、、、)。


「しっかり食べて、しっかり遊ぶ、そして眠る。」


この良好なサイクルを作っていくことで、セロトニンが増え、自閉症の特性を少しでも緩和していくことにつながるかもしれません。

スパーク運動療育西京極スタジオでは、運動とやりとりを通じて子どもたちの脳の発達を促しています。

上のサイクルの一つ、「しっかり遊ぶ」へのアプローチです。


Exercise is Medicin =適度な運動は薬 という言葉もあるくらい、運動には高い効果が期待されています。

スパークの療育は一見遊んでいるだけに映るかもしれません。

しかし、体を動かして人と関わるというシンプルなことが子どもたちにとって最も重要なことなのかもしれません。

<この記事の参考文献>

・発達期のセロトニンが自閉症に重要-脳内セロトニンを回復させることで症状が改善- 理化学研究所

https://www.riken.jp/press/2017/20170622_1/



子どもは関わり合いの中で発達する

生まれてから大人になるまでの発達には人との関わりが欠かせません。

他者と関係性を築くことで子どもたちは世界観を広げて発達していきます。


生まれたての赤ちゃんは母親や父親をはじめとした身近な大人との関わりが中心。

幼児期からは家族や友達、先生など様々な人との関わりを通じて発達していきます。


発達についての考え方は様々です。

その中に「認識」と「関係」の二軸で発達をとらえるという方法があります。


人間が生きていくためには①世界がどんなものか知る、②世界にはたらきかけていく、という2つの取り組みが必要です。

その取り組みの中で人は発達し、より高度で複雑な社会性を身に付けていきます。

赤ちゃんがいきなり大人の社会で生きていくのは不可能で、そこに至るまでには「認識の発達」と「関係の発達」が必要になります。


認識とは、目や耳から入った情報に意味を見出し概念的に捉えることです。

「目の前に物がある」と知覚することは認知ですが、「それはコップであり、水を飲むものだ」ととらえることが認識です。


「認識の発達」は「関係の発達」を支えています。

人間関係や社会の構造は複雑で多層的です。

人間の社会的な行動に含まれる様々な意味や約束をとらえるには認識の力が必要です。

見たまま、聞こえたままの意味だけではなく、その場の状況や人間関係、声のトーンや表情などさまざまな事を認識して本来の意味をとらえることで、社会との関係性を構築することが出来ます。


一方、「関係の発達」は「認識の発達」を支えています。

人間にとっての世界は、人間同士の社会的な関わりの世界です。

人と関わる中で物事の意味やルールを知り、認識を広げていきます。

認識を発達させるには、単独では不可能で、人と関わる必要があります。


ところが発達に特性のある子どもたちは、何らかの理由で「関係の発達」に困難が生じることがあります。

他者と感覚に違いがあったり、表現が違ったり、発達のスピードに差があったり。

「関係の発達」が進まないと、「認識の発達」も伸ばしにくくなります。


そこでスパーク運動療育西京極スタジオでは、療育士が子どもに積極的に関わることを大切にしています。

子どもたち一人一人のありのままを認め、子どもが楽しいと思える関わり方で、気持ちを引っ張ります。

そうすることで人と関わりたいという気持ちを引出し、人と関わる経験を積むことで「関係の発達」を促しています。


<参考文献>

「子どものための精神医学」 滝川一廣 医学書院 2017

子どもがパニック状態になったときは?

成長段階にある子どもたちは、湧きあがった感情(情動)に対して自分で折り合いをつける事が出来ず、パニック状態になることがあります。

そんな時、大人はどうしても怒ってしまったり、無理やり言うことを聞かせようとしてしまったり。

時間もなければ心の余裕もないのに、気長に丁寧に関わっていられないという方も多いはず。

仕事もあるし、家事もある、兄弟だっている。

なのに言うことを聞いてくれない。


しかし、毎回毎回上手く接することができなくても大丈夫なようです。

子どもがパニックになるような出来事が起こったうち、そのうち30%くらいの頻度で丁寧な関わりが出来ればある程度の効果が期待できるそうです。

30%なので、パニック10回につき3回くらいを最初の目標にされてみてはいかがでしょうか。


今回は自己調整(セルフレギュレーション)という考えに基づいた関わり方を示しておきます。


①パニックになっている(感情が爆発している)子どもに共感する(痛かったね、嫌だったね、やりたかったね、ハグをする など)

→子どもはストレスで脳のキャパがいっぱい。ストレスを減らして理性的なキャパを増やす。

②落ち着きを取り戻したら、理性的な話をする(やりたいけど今は行かないといけないよ 何が嫌だったの? など)

③切り替えを促すような話をする


こういった関わり方は子どもがなかなか遊びをやめない時にも効果的です。

①無理やり遊びをやめさせるのではなく、一緒になって遊び、楽しんでみる

②自分の事を認めてくれた、満足したと子どもが思えば話を聞くモードになりやすい

③一通り楽しんでから「今日はもう帰ろうか」「帰って○○しようか」など切り替えの言葉をかける。


しかしこういった関わりには時間とエネルギーがかかります。

なので毎回のようにできなくても仕方ありません。

先にも述べましたが、まずは30%からだそうです。


パニックの大きさや、その子の発達段階などによっても必要になる時間とエネルギーは変わってきます。

それでも、繰り返すことで獲得していくスキルなので可能な範囲で気長に接することが大事になってきます。

湧きあがる感情に対して自分で折り合いをつける力を育むには、その過程を根気よくサポートする必要があります。


スパーク西京極は基本的に楽しい場でありますが、子ども同士が接する中でストレスが生まれるシーンもあります。

そんな時は逆にチャンスでもあります。

子どもが自分で気持ちを切り替え、適切にその場へ対処していく術を学ぶ機会になるからです。

療育士がサポートをしながらストレスやパニックに対処していきます。