スタジオから日々のあれこれお届けします
スパーク西京極ではスタジオに来てもらうとすぐに、「靴下脱ごうか!」とスタッフが声をかけます。
毎度の事なので、お父さんお母さんも「靴下脱ぎや~」と真っ先に子どもに声掛けしていただくことも増えました。
では、なぜ靴下を脱いで裸足で遊ぶのか。
それは子どもの発達に必要な、ちゃんとした理由があります。
ご存知でしょうか?
子どもたちには
「滑ってこけちゃうからね~」と言っていますが、、、。
まぁ、それも理由の一つですが、もっと大切なことがあります。
足の機能と感覚のためです。
人間の骨格は本来、裸足で歩くのに最適な構造をしています。
ところが近年、裸足で活動する機会がめっきり減ってきました。
さらに、最近は靴のソールの機能が上がりすぎて足へのサポートが無駄に手厚くなってきました。
するとどうなるか。
自分の筋肉で足をフルに使うこと、地面の刺激を感じることが減ります。
それが続くと、偏平足やO脚、X脚など足回りのトラブルを生みます。
偏平足は土踏まずがつぶれて足裏が全部地面についている状態です。
衝撃吸収能力が弱くなるので、どたどた歩きが分かりやすい特徴です。
これらはすべて全身の運動機能の低下にも関係します。
とは言っても4歳くらいまではほとんどの子が偏平足です。土踏まずは6歳くらいから完成してきます。焦らずに。
でも使わないと発達していかないので、裸足で遊んでもらいます。
裸足でしっかり踏ん張る、地面をつかむことで足回りの筋肉をしっかりと使います。
靴下を履いていては足の指が自由でないため、この機能を最大限使えません。
地面の凸凹などの状況を感じる触覚が鈍いと足は上手に使えません。
なので、裸足になることでその感覚をしっかりと刺激する目的もあります。
靴下をはいている状態は靴をはいている状態よりは良いですが、布が一枚ある分、感覚は鈍くなります。
足の使い方が下手、感覚が鈍いと、膝、股関節、体幹も上手く使えず姿勢の維持にも影響が出ます。
そして姿勢ができていないのはあらゆる運動機能に影響します。
スタジオでは遊びの中で様々な物を踏んだり登ったりするので、足裏からしっかり刺激を入れ、足の指を自由にした状態で足の機能をいっぱい使ってもらいたいと思います。
週1~3回、時間にして数時間の小さなことかもしれませんが、将来的な偏平足の予防、体幹をうまく使えるようになること、運動機能の向上などにつながればと思います。
わたくしブログ担当、子どもがマットなどによじ登っているとき、足の指がパーッと開いて地面をつかんでいると「よしよし」と心の中で思っています。
スタジオに来て下さる子ども達の中には、よくこける・ぶつかるといった不安を持つ子どもたちがいます。
よくこける・ぶつかる原因として主に考えられているのが、、、、
1.体幹が弱い
2.固有感覚・平衡感覚が弱いことから来るボディーイメージの弱さ
3・注意欠陥
子どもによっては3つとも抱えている場合もあります。
というのも、上記の3つともつながっているので、どれか原因かを明らかにするのはなかなか難しいと思います。
人間の体は1つ1つの機能がばらばらに働いているわけではありません。
全部つながっています。
そこには心や精神、感情と呼ばれる事柄もつながっています。
注意が向いていなければ感覚にスイッチは入りにくいですし、注意や感覚のスイッチが入っていなければ体幹の機能もONになりにくいです。
3つとも十分に機能する能力があっても「気持ち」「感情」が無ければ最大限機能しません。
「心身ともに」とはよく言ったものです。
それでも我々大人としては明確な答えがあったほうが、なんだかほっとするし、取り組みもしやすいですよね。
というわけで、前章で書いたことを前提として、こける原因を考えていきます。
まずは1つ1つの要素のおさらいです。
体幹が弱いと言っても、2種類あります。
①そもそも筋力が低くて、姿勢の変化に耐えれない
②必要に応じて力を入れ、体を安定させるという使い方・機能的な弱さ
平衡感覚は「重力や加速度を感じるセンサー」です。
体の傾き具合やそのスピードを感知し、バランス・姿勢を保つために必要です。
固有感覚は、自分の筋肉の張り具合や骨の位置関係、関節がどれくらい動いているのかなどを感知するシステムです。
固有感覚は平衡感覚と連動し、姿勢を安定させることに貢献しています。
そして平衡感覚、固有感覚、触覚の3つを使って、自分の体のサイズや輪郭、パーソナルスペースを認識する「ボディーイメージ」が形成されます。
よくぶつかるというのはボディーイメージの弱さからくることが考えられています。
しかし、基本的なボディーイメージは6歳ころに形成されるようなので、未就学のお子様では今後の伸びしろを残しています。
注意欠陥は特性としてもよく知られています。
足元や前方に注意が行かず、こけたりぶつかったりしやすくなるとされています。
こちらも最初に述べたことを前提にお読みください。
もし注意欠陥でもないのによくこける、ぶつかるのであれば、体幹や感覚の弱さが考えられます。
もしくは、その活動に興味が無く集中できない=気が入っていないというのもあります。
気分や感情も関係しています。
(余談ですが、、、
本当に体幹が弱い場合もありますが、長時間椅子に座ってられないのは、活動や先生の話が著しくつまらないというのも無きにしも非ずです。なんでも体幹のせいにはできません。大人はつまらない講演会で席を立てます。でも子どもたちは、学校や園ではそうはいきませんから、、、。)
では、体幹や感覚に弱さが無いのにこけたりぶつかったりするのであれば、それは注意を向けるのが苦手なのかもしれません。
その場合どうやって体幹や感覚に弱さが無いのと推察するのか。
それは、子どもが好きな遊び、集中している遊びをしているときの様子を観察してみてください。
その時は咄嗟のバランスも良くとるし、人や物にもぶつかりにくい、こけないのであれば体幹が弱いとは言い難いかもしれません。
楽しくたくさん体を動かして遊んでもらいます。
これに尽きます。
感覚や機能と言うものは、これでもかってくらい何度も何度も使うことで鍛えられます。
大人が思っているよりも、しつこく長くです。
スパークでは感情を育てることを第一に考えています。
「もっとやってみよう」「今これに集中しよう」「できるまで頑張ってみよう」といった感情に療育士がはたらきかけていきます。
感情はすべての根っこです。
遊びの中で感情が高まれば、体の機能や感覚を最大限使う、発達させる土台ができます。
その状態でたくさん一緒に遊びましょう!
感覚や機能を、これでもかってくらい何度も何度も使うコンディションが整います。
一応スパークでは他者と関わる楽しさ、社会性などを発達させることが先です。
その中で今日紹介したような体の機能が発達すれば幸いです。
最近は同じ時間に療育室をシェアすることがほとんどになりました。
スパーク西京極では最大で3人のお子様まで、同じ時間枠で療育が可能です。
療育室は2つあるので、扉を締め切ったり開けっ放しで自由に行き来ができるようにしたりしています。
締め切る場合は、小部屋に1人(個別療育)、大部屋に2人(集団療育)でそれぞれ療育を行います。
部屋の分け方は、その日の療育の狙いや、お子様同士の発達段階の違い、特性の違いなど様々なことを考慮して決めています。
先日の療育の様子です。
目の前で思いっきり遊ぶ2人と、、、
奥の小部屋で遊んでいる子も、様子が気になってひょっこり顔を出してくれていますね(笑)
スタジオでの遊び紹介、今回は「寄り添い」です。
寄り添いは遊びというより、子どもたちとの向き合い方と思って頂いた方が分かりやすいかもしれません。
スタジオにはたくさんの遊び道具、壁のテープアート、ラミネートなど、子どもたちが興味を示すものであふれかえっています。
何かの遊びをしているときでも視界に入ったものに心奪われ、遊びを中断してそちらに行くことも多々あります。
療育士達はそんな子どもたちの「寄り道」を否定するのではなく、認め、一緒に興味を持つことで寄り添っています。
寄り添う中で新しく遊びが展開されていったり、最終的にもとの遊びに戻ってきたりします。
もちろん、寄り添いながらコミュニケーションをとることで他者と関わって遊ぶ楽しみを感じてもらおうという意図もあります。
これは非常に意味のあることです。
スパークでは療育士が子どもの興味を引くように遊びを展開し、誘っていくことをしていますが、そればかりではありません。
子どもが見つけたもの、取り組み始めたものに一緒になって取り組みます。
運動療育なので基本的には体を動かす遊びをしているわけですが、もし子供がおままごとを初めても、まずは寄り添います。
運動でなくても他者と遊ぶ事は前述したとおり非常に意味のあることです。
運動する時間が減る!と悲観されるのではなく、それはそれで大切なんだなと思って頂けると幸いです。
療育士は寄り添って子どもとコミュニケーションを取りながら、次の遊びを展開し、誘うタイミングを待っています。
スタジオでの遊びについての紹介、3回目になりました。
今回は力加減のコントロールを必要とする遊びについてです。
力が強いこと自体は悪いことではありません。
困るのは、力加減を必要に応じてうまく調節できないことにあります。
スタジオに来て下さる子たちの中にも、力のコントロールが苦手な子たちがいます。
何をするときも思いっきり力を入れてしまう。
優しく投げる、蹴るが苦手で、常に全力。
生きていくうえでは思いっきり力を込めるだけではなく、そーっと力を入れたり、優しく触ったり、弱い力で投げたり、置いたり、軽くやっておく、肩の力を抜いてリラックスして取り組むなど、場面や使う物に応じて力加減を調整する必要があります。
スパークでは強制的に何かをさせることはありません。
遊びに対して「やりたい!」と思って初めて遊びが成立します。
<力加減のコントロールにつながっている遊びの例>
・的を狙ってボールや物を投げる
→思いっきり投げるだけでは当たらない、入らない
・強弱をつけてボールを蹴る、投げる、転がすなど
→強く蹴ったり、優しく蹴ったり 強弱の中で力加減を知る
・不安定な場所を渡る
→全力で走るだけでは落ちてしまうので気を付けながらそーっと渡る
・ごっこ遊び・見立て遊びの中で
→ごっこ遊び・見立て遊びの中では様々なシーンが現れます。
音を立てないようそーっと相手に近づくこともあれば、思いっきり大きな音でビックリさせることもあったり。
スタジオでは療育士がお子様につきながら適宜声をかけながら力のコントロールを促しています。
「そーっとだよ」「つよく!」と言ったり、声のトーンや擬音語で表現したり。
子ども一人一人が興味を持った遊びの中で、力のコントロールが身に付くよう遊びを展開しています。
その中で療育士・親御さんは子どもに共感し、褒めることで「できた!もっとやりたい!」という気持ちを引出します。
これは心理学的には「正の強化」と言います。
脳科学的にはドーパミンという快感情を引き起こすホルモンの分泌を高めることにつながり、脳の発達に貢献します。
*「正の強化」=何か(ご褒美)を与えて行動をもっとやりたいと思わせること。できたらお菓子をあげるなどがこれにあたる。
スパークでは人と人との関わり合いを大切にしているので、共感すること、褒めること、認められることなど、人間関係から生まれる喜びが行動を促進するきっかけになります。
さらに、「できた!もっとやりたい!」という気持ちは自己肯定感を高めていき、さらなるチャレンジを促します。
スパークでは力のコントロールを身に付ける遊びをする中で、人と関わる楽しさを知ることや自己肯定感を高めること、脳の活動を促すことなど、様々な面からアプローチしていくことで、子どもたちの発達に働きかけています。
スパークでおこなっている療育は「豊かな遊び場づくり」です。
遊びこそが子どもにとって最高の学習ツールだったということが科学的に証明されてきているようです。
これは療育にも通じることであり、スタジオで行っていることの科学的裏付けにもなります。
詳しい記事があるので、紹介しておきます。下記URLからどうぞ!
科学的に正しい子どもの教育――最高の学習ツールは〇〇〇だった! こどもまなびラボ
https://kodomo-manabi-labo.net/big-date