体の使い方が未熟な子たちに必要な遊び

よく転んでしまう、体の使い方がぎこちない、真っ直ぐ座っていることが出来ない、縄跳びや鉄棒などの習得に時間がかかるなど、体を使うことに苦手を持っている子たちが一定数います。


そんな子たちにはどういった遊びや働きかけをしていけば良いのでしょうか。


もちろん特定の技能を練習したり、体の使い方を教えてあげることも大切ですが、もっと根底にある力を伸ばしてあげることも大切になってきます。


自分の体がどうなっているか情報を得る

例えば、「真っ直ぐに立ちなさい」と言われて実行しようとした場合、そもそも真っ直ぐがどこなのか、そして今の自分は既に真っ直ぐなのか、それとも傾いているのか、もし傾いているのなら体のどこが傾いているのか、それを理解している必要があります。


それが分からないのに、「真っ直ぐ立ちなさい」と言われてもどうすることも出来ません。


「真っ直ぐ立つ」に限らず、体を思い通り扱うには、自分の体がこの世界でどうなっているかの情報を感じ取る力が必要です。

特に、触覚、視覚、前庭感覚(バランス感覚)、筋肉からの感覚は非常に大切です。

これらの感覚をたくさん刺激し、伸ばしてあげることが土台になってきます。


触覚の刺激

触覚は皮膚から得ることのできる感覚です。

自分の体に触れられている刺激をたくさん得ることで、体のパーツの位置を認識しやすくなります。

体を上手に扱えない原因の一つに、自分のイメージしている体のサイズ感と現実のサイズに大きなギャップがあることも考えられます。


真っ直ぐ座る、立つというのも「運動」ですから、もちろん関係しています。


ボールプールで遊ぶ、抱っこをしてもらう、プール遊び、布にくるまる、くすぐり遊びなど、全身の触覚を刺激する遊びが効果的です。


感覚に過敏がある場合は嫌な感覚を無理に刺激しないようにします。


視覚・前庭感覚(バランス)の刺激

視覚と前庭感覚の刺激は、主に体の傾きや、ものとの距離感、移動しているスピードを感じ取る為に大切です。

傾いていても、本人にその認識が無ければ真っ直ぐに立つことはできません。


ボール遊び、不安定な遊具での遊び、大人に抱っこでグルグルしてもらうなど目を使い、バランスを取る遊びを沢山経験させてあげることが効果的です。


筋肉からの刺激

これくらいの力を出せばこれくらい跳べる。

今、力が入っているor脱力している。

これくらいの力加減なら、こうなるだろう。


そういったことを把握していなければ運動を調整することは難しいです。

目的とする運動に必要なだけ力を出すことが求められるからです。


筋肉からの刺激をしっかりと入れるには、ジャンプやかけっこ、お相撲、綱引き、手押し車など、おおざっぱな運動で大きな力を出す運動が効果的です。

何度も繰り返し行うことで、筋肉に強い刺激が入り、理解が進みます。


楽しめる範囲で

これらの遊びはあくまでも楽しめる範囲で行います。

また、感覚に過敏さがある場合はそれも考慮して無理をしないようにします。


発達に特性のある子たちは同時に2つ以上の運動(協調運動)をすることが苦手な場合が多いです。

(歌いながら踊る、縄跳び等)

こちらも楽しいとか、できるようになりたいというモチベーションが保てる範囲で取りくめるのがベストです。


体の調整は心の調整にも繋がる

子どもたちは5歳くらいになると、体の動きかと心の調整がリンクしはじめます。

そのためには、今回紹介したような感覚をたくさん刺激し、まずは体の情報を適切にキャッチできるようにしてあげることが好ましいです。


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