動くと落ち着く?ADHDと遺伝子の話

特性として多動や衝動性を持っている子たちは、運動をしたほうが落ち着きやすいということが分かってきています。


ADHDと言われる子たち、もしくはその傾向がある子たちは脳内でドーパミンを処理する機能に特性があるようです。

ドーパミンは幸福感や快感、意欲の高まりに関わるホルモンです。

褒められることや、報酬をもらうこと、他者に認められること、発見をすること、刺激的な経験をすること、そして運動をすることによってドーパミンが分泌されるということが知られています。


ADHD傾向にある子たちはDRD4と呼ばれる、ドーパミン受容体の生成に関わる遺伝子変異が定型発達の子たちよりも多いと言われています。

そのため常に刺激に満たされにくい状態になりやすいということが示されつつあります。

DRD4は新奇性追求遺伝子とも呼ばれており、ADHDではなくともスカイダイビングやバンジージャンプなどの強烈な刺激、スリルを好む人にも多く発現しているそうです。


DRD4は人間が進化していくうえで、新しい場所や物を開拓していくときに必要だったと考えられています。

それもあって現代でも一定数DRD4を多く持った子たちが多様性として生まれてきます。


こういった背景もあり、多動性や衝動性といった特性を持った子どもたちは

刺激的な環境下で思いっきり体を動かした後の方が落ちつきやすいということが考えられています。

当スタジオでも基本的に療育の序盤は走り回ったり、激しく動いたりすることが多いです。

部屋もたくさんの刺激であふれています。


体を動かすことで血流が良くなって脳に酸素と栄養が回り、脳を広範囲に使いやすくなります。

それだけでなく、ADHD傾向にある子たちにとっては、動くことや療育室に来ること自体が刺激を満たして落ち着きをもたらす効果があると考えられます。


毎日体を動かしてばかりはいられないですが、療育に来て下さった時にはたくさん運動してもらえたらなと思います。

また、新型コロナウイルスによる自粛続きで子ども達にとってもストレスの溜まる日々が続いていますが、スパークに来て体を動かし、少しでもそれが緩和されたらなと思います。



参考文献

「脳の個性を才能に変える 子どもの発達障害との向き合い方」 トーマス・アームストロング 中尾ゆかり 訳 NHK出版 2013年

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