スパーク運動療育では様々な種類の遊びを行います。
子どもが興味を持って取り組み始める、療育士が仕掛ける、別の子がしている遊びに加わるなど始まり方は様々ですが、それぞれの遊びには狙いがあります。
*「狙い」と言ってしまうと、療育士が仕掛けた以外の遊びは無駄というふうに捉えられてしまうかもしれませんが、そういうわけではありません。自然に成立する遊びすべてに子どもの成長に必要な意味があります。
子どもの時期にはいろいろな種類、環境で遊ぶことが重要です。
というのも、遊びの種類によってメインで使う機能、体への効果、鍛えられる能力、発達への影響が異なるからです。
スパークはその遊び場を提供することで発達を促すことを目的としています。
そこで、スパークでおこなっているそれぞれの遊びの中で自然と鍛えられている能力、得られる効果を遊びごとに分類し、何回かに分けてご紹介していこうと思います。
(本来はきっちり分類できないのが遊びです。)
今日は有酸素運動を取り上げていきます。
鬼ごっこ、ラミネート集め、追いかけっこ、かけっこなどが有酸素運動にあてはまります。
イメージとしてはちゃっちゃか走り回る、動き回ることで、脈と呼吸が上がる運動です。
遊び内容は本人が創造したものや、療育士やシェアしている子の遊びに加わったりと様々です。
ただし強制して何かをさせるわけではなく、子どもの創造性と「やりたい」という感情から自発的に始めた遊びをしています。
ではなぜ有酸素運動をするか。
それは遊びを通した社会性・感情の発達に加え、血流を促進して脳のコンディションを良くするためです。
私たち大人も気分が乗らないときや、めんどくさい時に少し体を動かすとシャキッとしたり目が覚めたりするときの感覚です。
脳は神経細胞の集まりです。
神経細胞は酸素と糖質をエネルギーとしています。
血流が良くなると酸素と糖質が脳に活発に運ばれ、コンディションが良くなります(脳の活性化とか頭が冴えると言われる)。
その他にもホルモン状態の変化を伴ったりして私たちの脳と体は活動的になります。
また、様々な体を使った遊びや活動をして脳を使うことで神経の伝達経路に働きかけることが出来ます。
体を動かすこと、考えること、すべての行動は脳から神経を通じて体に指令を出すことです。
これが脳(神経細胞の集まり)を鍛えることであり、発達が促されることにつながります。
それに加えて他者と一緒に活動することで社会性にも働きかけることが出来ます。
人間は生きていくために体を動かし、考え、他者と関わらなければいけません。
それを通じて心身共に成長していく仕組みになっています。
療育ではそれができる「良い遊び場」の提供をしています。
有酸素運動に分類されるような遊びもその一環です。
もう少し科学的に掘り下げてみます。
有酸素運動をすることで様々なホルモン・神経伝達物質が脳や身体器官から分泌されることが何年も前から科学的に証明されています。
ホルモンや神経伝達物質は私たちの脳と体に働きかけ、気分の落ち着きや高揚、リラックス、多幸感など「感情」のコントロールに関係しています。
・ドーパミン(快感情)
・アドレナリン(高揚感)
・セロトニン(落ち着き、リラックス)
・エンドルフィン(多幸感)
など
行動には「感情」が先立ちます。
「感情」に働きかけることはすべての行動の根底に働きかけることです。
そういった意味で、感情に働きかけてくれる有酸素運動は効果的なものであると考えています。
また、有酸素運動をすることで脳由来神経成長因子(BDNF)という物質が分泌されることが明らかになってきています。
BDNFは脳細胞、脳の血管の成長を促す物質です。
これも遊びが脳を鍛えることになる理由の一つです。
体を動かし、考え、感情を出す、すべて神経・脳を通じて行われます。
たくさん使うことで人は発達します。
先述しましたが、行動には感情が先立ちます。
「やりたい」「面白そう」と思うからこそ活動取り組めますし、「楽しい」「もっと!」と思うからこそ継続ができます。
だからこそ遊びは子どもの自発的なもの(創った、興味をもった)に療育士が一緒になって遊ぶスタンスをとっています。
いくら発達に良いからと言っても、強制的に何かさせることは感情を伴わないので基本的には行いません。
なので、「有酸素運動をさせている」ではなく、「結果的に有酸素運動の色が強い遊びになった。その中で発達が促されている」というイメージでしょうか。
有酸素運動に分類される以外の遊びでも同じです。
そして、どちらかというとスパークでは遊びを通じた社会性や感情の発達にも重きを置いています。
遊びの内容も大切ですが、それが何よりも重要という位置づけではありません。