今日は少しだけ小難しい話をしたいと思います。
療育では必ずしも走ったり跳んだりといった「ダイナミックな運動遊び」だけをしているわけではなく、こじんまりとした遊びや感覚を楽しむ遊びをするときもあります。
一見意味がなさそうに思えるかもしれませんが、実はそこには子どもの発達に大きな意味があります。
スタジオでは、遊びという運動を通じて療育をしています。
ところが「運動」という言葉が示す範囲はとても幅広いものです。
歩く、走る、ジャンプする、何かスポーツをすることはもちろん運動です。
それ以外にも、話す、目で追う、つかむ、握る、呼吸をすること等も運動です。
日常生活で必要な家事や通勤(車でも運転するという運動)なんかもすべて運動です。
つまり、生きている限り常に何らかの運動をしていることになります。
そう考えると、運動療育だからと粗大運動だけをしていれば良いというわけではないことが分かって頂けると思います。
スパークでは行動を強制することは無いので、自然と様々な運動遊びをすることになりますが。
*粗大運動=体の姿勢保持や体重移動をメインとする運動。走る・跳ぶ・投げる・バランスを取るなど。
*微細運動=指先、手先を使った運動。字を書く、ボタンの着脱、折り紙など。
*協調運動=同時に複数の動作をする。縄跳び(縄を回す&ジャンプ)など。
こういった様々な運動を遊びの中で自然に取り入れ、鍛えていくことが必要になります。
そして、こういった様々な運動ができるようになるまでには段階があります。
その段階の一番最初であり、すべての基礎であるのが五感と平衡感覚、固有感覚です。
*五感=視覚、味覚、嗅覚、聴覚、触覚
*平衡感覚=体のバランスをとる感覚。耳にある三半規管や耳石器がセンサー。
*固有感覚=自分の体の関節や筋肉がどの程度曲がっているか、張っているか感じる能力。
こういった様々な感覚を十分に刺激し、使っていくことで初めて姿勢の保持やボディイメージの形成、言語機能、体の協調性、運動のコントロール、リズム感など、生きていくうえで大切になる能力の形成がなされます。
そのためスタジオでは、子どもが興味を示せばその遊びをやめさせることなく、療育士が寄り添い、十分に感覚を楽しんでもらっています。
洗濯バサミで細かい遊びをし始めたら、一緒にたくさんします。
面白い感触のおもちゃを見つけて遊び始めたら、一緒に楽しみます。
これらも微細運動、感覚刺激としてとても重要だからです。
五感と固有感覚、平衡感覚をたくさん刺激し、使い、その上にある体のコントロールやボディイメージの形成、体の協調性などが身についてくることは、運動の形成以外にもメリットがあります。
こういった感覚は日常での集中力やまとめる力、学習する力、自己評価など、様々な事柄の土台にもなります。
なので、粗大運動だけでなく微細運動や協調運動、感覚を刺激する遊び、すべて含めて運動療育と思っていただければと思います。