文字や言葉を憶えたり、道具の使い方を憶えたり、スポーツやその他運動の技能を習得したり、
それだけではなく、人と関わる楽しさ、遊んだ思い出を記憶したり。
子ども達は大人になるまでに様々なことを経験し、自分のものにしていきます。
こういった「学習」や「記憶」に深く関わっているのが脳にある海馬と偏桃体という器官です。
脳に長期的な記憶としてしっかりと定着していくにはこの2つが活発に機能していくことが必要になります。
活発に機能するための条件は「楽しいこと」です。
海馬は記憶に関わる器官です。
海馬は運動、勉強、日常生活で必要な能力、それら全ての学習と記憶に関わっています。
海馬に記憶が蓄積されているわけではないのですが、海馬を通して他の悩部位が活動することで記憶として定着していきます。
逆に、海馬の活動が少ないまま物事に取り組んでも、記憶として定着がしにくいと言われています。
では、海馬が活発にはたらくには何が必要なのでしょうか。
海馬の隣には偏桃体という器官があります。
偏桃体は楽しい、嬉しい、ワクワク、愛着、怖い、不安、嫌悪感といった情動を司る器官です。
偏桃体と海馬は互いに影響しあっており、偏桃体が活発に働くことで海馬も活動的になります。
つまり、「楽しい!」「ワクワクする!」といった強くポジティブな気持ちで活動することで、記憶も定着しやすくなります。
取り組んだ活動が、楽しい思い出として残っていれば、「もう一回やりたい」と思えます。
将来的に何かする場合でも、過去に楽しい記憶があればチャレンジしやすくなります。
子ども達は遊びの中で様々な体の動かし方、コミュニケーション、道具の使い方などを経験していきます。
この経験が楽しく、ワクワクするものであれば、良い記憶として定着し、今後の人生において大きな糧となります。
記憶はポジティブな経験だけではありません。
偏桃体はネガティブな感情にも関係しています。
強い恐怖や不安を感じると、その出来事の記憶も海馬を通じて記憶されます。
活動の中に、こういったネガティブな感情が強く伴うと、「もうそれはしたくない!!」となってしまいます。
まずは楽しくたくさん遊ぶことで様々な経験を積み、
何か習得して欲しいことがある場合も、始めはあまり強制せず、楽しい気持ちになれる環境を整えてあげることが大切です。