スタジオには様々な特性を持った子どもたちが来てくれています。
自閉傾向のある子、注意欠陥・多動の傾向がある子、発達がゆっくりの子、不器用さや力加減が苦手な子などなど。
1人1人の特性を理解するのはなかなか簡単なことではないかもしれません。
ですが、今回は少しでも特性を理解する助けになればと、1つの考え方をご紹介します。
特性と言われるものは、多かれ少なかれ重複します。
1つの特性が突出している子(他の特性は程度が弱い)もいれば、複数が重複している(いずれも強く出ている)子もいます。
定型発達と言われる人であっても、こだわりがあったり、衝動的な一面があったりと特性は「重複して存在」はしています。
ですが定型発達と言われる人は多くの場合、そのこだわりや衝動性などの特性が日常生活に支障をきたすほどではありません。
個性的な人、変わり者と言われる人は、ある特性が強く出ているけれど、支障は出ない程度、もしくは問題にならない環境にいたりします。
発達に難があると言われる子たちは、そういった特性が現代の日常生活・社会生活において支障をきたす、もしくはきたしかねないほどに強いと言われています。
つまり、特性は多かれ少なかれ重複し、それぞれの程度に差があると言えます。
発達に難がある子は、それに加えて運動面の不器用さ(DCD)や発達スピードがゆっくりだったりと様々です。
また、自閉傾向の強い子が場所によってそわそわし始めて、ADH的な振る舞いが出ることもあります。
逆に、ADH傾向の子が、ある特定のことに興味を持ち、ずっとそれをしている、いわゆる「過集中」に入ることもあります。
過集中だと一見、自閉特性ではないかと感じることがありますが、普段はADH傾向が強く、何が何だか分からなくなることも。
さらに、複数の特性が強くて普段はお互いを打ち消してしまっており、ふとした時に困りごとが出てくるパターンもあります。
このように、特性の出方は人それぞれであり、複雑です。
こういった中で一人一人の特性を理解するために、XYのグラフで考える方法があります(*1)。
縦軸がAS(自閉傾向)、横軸がADH(注意欠陥・多動傾向)とします。
ASが強いほど縦に、ADHが強いほど横にいきます。
(グラフは本田秀夫 2018を参考にしました)
赤はどちらも強く重複。
青はASが強いが、ADHはわずかで、ASに関してはASD(自閉”症”)と言われるレベル。
緑はADHが強いが、ASはわずかで、ADHはADHD(注意欠陥・多動”症”)と言われるレベル。
黄はASDともADHDとも言い切れませんが、どちらの特性もある程度強く、様々な場面で困りごとが出ます。
黒はいずれの特性も、あるもののわずかで、いわゆる定型発達。
紫はやや自閉傾向が強いものの、生活に支障が出ないレベルであったり、環境的に問題が無いちょっと個性的な人。
皆さんのお子様の場合はどのあたりに該当するでしょうか?
このグラフに加えて、運動面の不器用さや発達のスピードなども並行して考えてみると、少し特性について理解がしやすくなります。
そのうえで環境を調整したり、接し方を考えていくことが大切になってきます。
ざーっとしか説明することができませんでしたが、何かのお役に立てれば幸いです。
より詳しい内容や正確なグラフ等は、参考にした書籍から学ぶことができます。
本田秀夫: 発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち SBクリエイティブ 2018年