自閉症をはじめとする発達障害に関する研究はまだまだ発展途上です。
それでも日々新しいことが分かりつつあります。
スパーク運動療育西京極スタジオでは、運動や人との関わりを通じて子どもたちの「脳」の発達を促すことを目的としています。
そこで今回は日本の理化学研究所(通称:理研)が2017年に発表した自閉症と脳に関する研究をご紹介します。
研究のテーマは、
【発達期のセロトニンが自閉症に重要-脳内セロトニンを回復させることで症状が改善-】
というものです。
元の研究紹介リンク→https://www.riken.jp/press/2017/20170622_1/
*研究は自閉症モデルのマウスを使ったものであり、人への応用は今後に期待です。
それでも運動を中心としたスパークの取り組みが自閉症児の脳にポジティブな影響を及ぼす可能性を感じるものでした。
セロトニンは脳や神経の働きに必要な、神経伝達物質のひとつです。セロトニン神経は脳のあらゆるところに存在し、神経と脳の発達の重要な物質として知られています。
セロトニンは社会性行動、攻撃性行動や性行動とも関係性が示唆されていて、少なすぎも多すぎも良くないとされています。
セロトニンは食事から摂取したトリプトファン(アミノ酸の一種。アミノ酸が集まるとタンパク質。)から脳内で作られます。
身近な食べ物はお肉、お魚、卵など。
また、お外で遊んで日光を浴びることや、運動をすることで体内でのセロトニン量が増えると言うことが知られています。
睡眠に重要な役割を持つメラトニンの前駆体(セロトニンはメラトニンの前段階)ですから、安定した睡眠習慣にも関係しています。
この研究で、自閉症モデルのマウスは生後間もない時期から脳内セロトニン量が減少していました。
人間の自閉症者でもセロトニン量が減少していることは以前から言われています。
そこで、自閉症モデルマウスのセロトニン量を増やすためにSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)を生後3日から離乳まで投与しました。
その結果、マウスの脳内セロトニン量が増加し、自閉症マウスに特有の症状も改善しました。
この研究ではセロトニンの量を増やすために、SSRIという薬剤が使われました。
しかし、投薬だけがセロトニンを増やす手段ではありません。
運動をすることも一つの手段であり、大きな効果が期待できる方法です。
先ほども述べましたが、セロトニンはしっかりした食事を摂ること、運動をすることで増え、夜にはメラトニンに変化して良質な睡眠をもたらします。
そう考えると子どもたちにしてあげられることは意外と単純かもしれません(それが結構難しいのですが、、、)。
「しっかり食べて、しっかり遊ぶ、そして眠る。」
この良好なサイクルを作っていくことで、セロトニンが増え、自閉症の特性を少しでも緩和していくことにつながるかもしれません。
スパーク運動療育西京極スタジオでは、運動とやりとりを通じて子どもたちの脳の発達を促しています。
上のサイクルの一つ、「しっかり遊ぶ」へのアプローチです。
Exercise is Medicin =適度な運動は薬 という言葉もあるくらい、運動には高い効果が期待されています。
スパークの療育は一見遊んでいるだけに映るかもしれません。
しかし、体を動かして人と関わるというシンプルなことが子どもたちにとって最も重要なことなのかもしれません。
<この記事の参考文献>
・発達期のセロトニンが自閉症に重要-脳内セロトニンを回復させることで症状が改善- 理化学研究所
https://www.riken.jp/press/2017/20170622_1/