スパーク運動療育では、脳科学に基づいたアプローチで子ども達の発達を促しています。
その1つに体から分泌される「ホルモン」への働きかけがあります。
ホルモンは感情のコントロールや脳神経の成長に関わっています。
自閉症スペクトラム(アスペルガーを含む)やADHDなど、発達障害と言われる子たちはホルモンの分泌や受け取りに苦手がある場合も少なくありません。
スパーク運動療育では、療育士と一緒に積極的に体を動かし、言語、非言語のやりとりを沢山することで以下のようなホルモンの分泌を促しています。
・ドーパミン
・セロトニン
・オキシトシン
今回はこれらのホルモンについての紹介と、運動・やりとりによる効果、普段の生活で気を付けたい習慣についてご紹介します。
ドーパミン意欲や快楽のホルモンです。
褒めてもらえた、達成した、できるようになった、肯定してもらえたといった体験を積んだ時に分泌されます。
そして、「もっと頑張ろう!」「もう一回やろう!」といった意欲につながります。
ADHDの子たちはドーパミンの受容体(受け皿)に弱さがあり、ドーパミンによる恩恵を受け取りにくい(かなり強い刺激が必要)という見解もあります。
(受容体や分泌の機能は、繰り返し使うことで発達していきます)
発達障害を持つ子たちにとって、日常生活や集団生活において「難しいこと」は沢山あるかもしれません。
それでも「できないこと」ばかりに目を向けるのではなく、「チャレンジした気持ち」や「少しでも進歩したこと」を認め、たくさん褒めてあげることでドーパミンが分泌され、「がんばる気持ち」が育まれていきます。
スパーク運動療育では、子ども達を認め(肯定し、子どもと同じことをする)、たくさん褒めることでドーパミンの分泌を促しています。
ドーパミンは褒められたり、達成したとき以外にも分泌されます。
代表例はゲーム、スマホや甘いお菓子(お砂糖)などです。
これらは非常に刺激が強く、ドーパミン分泌をかなり強く刺激してしまいます。
ゲームやスマホから離れることが出来ない、お菓子を食べすぎてしまうといったことに陥ります。
これらの強い刺激は、「もっともっと」といった気持ちを呼びます。
それが無いと落ち着かなかったり、更に量や刺激を求めたりします(満足できなくなる)。
ゲームやお菓子が必ずしも悪いというわけではありませんが、過度な場合はドーパミン以外のホルモンや健康に影響を及ぼしてしまうことがありますので、時間や量を決める関わり方が必要になります。
運動をする、リラックスできる音楽を聴く、ゆっくりと呼吸をするなどでセロトニンが分泌されます。
セロトニンは落ち着きのホルモンで、情緒を安定させてくれます。
不足していると、イライラや極度の不安、情緒の不安定さに繋がります。
また、睡眠の質にも関係しているので発達段階の子ども達にとっても非常に大切です。
運動をしているときは、セロトニンとアドレナリンのバランスが整い、情緒や思考が安定しやすくなります。
特に軽めの有酸素運動が効果的です。
追いかけっこ、遊具で遊ぶ、ジャンプをする、踊る、など子ども達が日常的に遊んでいる内容で構いません。
血流とも相まって、10~20分程度で落ち着きの効果が期待できます。
セロトニンは普段の生活習慣に大きく関わっています。
食事、睡眠、運動とは特に関わりが深いです。
運動に関しては述べたので、食事と睡眠に触れておきます。
セロトニンに関わらず、ホルモンを作るには「材料」が必要です。
まずは、まんべんなく色々な食品を食べることが大切になります。
また、セロトニンの8~9割は脳ではなく腸から分泌されています。
発達障害を持つ子たちは胃腸に不安を抱えている場合が多いですので、セロトニン分泌にも不安を抱えやすいです。
揚げ物やスナック菓子、清涼飲料水、お惣菜などは胃腸を乱しやすいので、量を決めて控えめにしてみるのも効果的です。
発達段階の子たちにとって睡眠はすごく重要です。
寝る直前までテレビやスマホの光を見てしまうと、セロトニン分泌が阻害され、睡眠の質が低下し、日中にイライラしやすくなってしまいます。
日中も画面を見る時間が長すぎると、心身の不調が出やすくなります。
先程のドーパミンと合わせて気を付けたいところです。
オキシトシンは愛情ホルモンです。
子ども達は親をはじめとした周囲の大人たちに優しく声を掛けられ、抱きしめられることでオキシトシンを分泌させます。
オキシトシンはストレスの緩和や愛着形成に関係しています。
オキシトシンはハグなどで接触している時間や関わりの時間の長さに比例してたくさん分泌されます。
オキシトシンをしっかり分泌して成長した子は、将来的に他者との関係性(恋愛や家族、友人)を維持しやすくなります。
一方、幼少期のオキシトシン分泌に不足があると将来的に愛着障害を引き起こしやすくなるとも言われています。
発達障害と愛着障害の両方を持つと、症状が重くなりやすいという説もあります。
抱きしめる、優しく関わるという時間を可能な限り増やしていただければなと思います。
スパーク西京極でも、療育士たちはたくさん子どもたちを沢山抱きしめ、オキシトシン分泌を促しています。