自閉症スペクトラムと言われる子たちは先天的な脳の特性があると言われています。
1つは形質的な違い
もう1つは機能的な違いです。
自閉症スペクトラムのある子たちの脳は「視覚野」につながる脳神経の回線が多いと言われています。
そのため、視覚的な記憶に優れていたり、「物」への興味を持ちやすかったりするそうです。
他にも、左側の側脳室と呼ばれる脳の空間が大きく、頭頂葉が圧迫されることでワーキングメモリが妨害されているという事例も報告されています。
ワーキングメモリが妨害されると、同時に複数の作業や運動をこなすことが苦手になりやすいです。
機能的な特性についても少しずつわかってきたことがあります。
定型発達とされる人たちと比較して、自閉症スペクトラムの人たちは内側前頭前野、後部帯状回といった「社会脳」をつかさどる部分の機能的つながりが弱いということがMRI画像で示唆されました。
これら「社会脳」と言われる脳領域は、自己内省や他者の気持ちを推測するときに使われるとされています。
こういった脳の形質的、機能的な特性は必ずしも悪いものではありません。
ですが現代社会で生きていくときに、苦労や不安があるのは事実です。
そこで必要になるのが療育です。
脳には可塑性(変化する性質)があります。
脳は使うことで変化します。
たとえ先天的な回線が変わらなくても、繰り返し刺激を与えて使うことで迂回路が出来ます。
スパーク運動療育では遊びを通じてたくさん体を動かし、人と関わることで脳をたくさん使います。
特に自閉症スペクトラムの子どもたちにはスパークのような積極的な関わりは効果的です。
その中で少しずつ脳は発達していきます。
少し難しいことを書きましたが、療育での取り組みは明快です。
・遊びの中で体を動かし、人と関わること
・子どもに共感し、ストレスを緩和することで社会脳が発達しやすい状況を作ること
(→ストレスは心身共に膨大なエネルギーを消耗するため)
それを追求したのがスパーク運動療育で提供している「豊かな遊び場」です。
脳科学的なことを踏まえたアプローチは、最終的に子どもの基本である「遊び」に帰結します。
【参考文献】
・Minyoung Jung et al: Default mode network in young male adults with autism spectrum disorder: relationship with autism spectrum traits. Molecular Autism 2014.