「顔を怪我する子が増えている」
これは最近になって始まったばかりではなく、数年前から言われています。
顔を怪我してしまうということは、転んだときに手がつけずに、顔から地面に激突してしまうということです。
どうしてこういったことが増えているのでしょうか。
時代と共に、公園や幼稚園、学校などに設置される遊具の安全性が見直され、落下して頭を打つなどの危険な怪我は減少傾向にあります。
ところが、顔の怪我だけは増加しているようです。
転んだ時や落ちた時に危険を回避する能力が低下しているというのが理由の1つだと考えられています。
=手をつけない
遊具をはじめとして、遊びの中での安全性が確保されてきたことはもちろん良いことですが、
それとともに、危険に対する免疫力が年々低下していることも事実としてあるようです。
遊びの中である程度のびのびと自由に、ちょっぴり危険を伴う経験も必要だそうです。
(★危険な遊びを推奨しているわけではありません。注意事項は守りましょう。)
安全性が確保されてきたことは素晴らしいことで、その環境をフルに活用できれば良いのですが、
そもそも外で体を動かして遊ぶ量が減っているのも、顔の怪我の増加(手がつけない子の増加)に関係しているようです。
屋外で遊ぶということは、不安定なところや、傾斜のあるところ、よく滑るところなど、様々な足場を経験します。
また、ぶつからない様に気を付けたり、転んだり、遊びの中で様々な姿勢の変化を経験します。
その中で子ども達は少しずつ、上手に転べるようになっていきます。
ところがその量が減っているため、なかなか自分自身で安全を確保する能力が育ちにくいようです。
子どもたちは、遊びをたくさん経験することで、自分の体を守る術を知っていきます。
安全にかかわる要素は下記の通りです。
・運動面(身体のサイズ感、運動能力)
・精神面(衝動や注意のコントロール)
・知的面(判断する、理解する)
・社会面(ルールを守る)
上手に転ぶ能力は、このうちの運動面に分類されます。
でも、それだけでは自分自身で安全を確保することはできません。
「ここは危ないな」と判断できる能力や、注意散漫になりすぎない能力も必要になってきます。
のびのびできる環境で繰り返し遊び、様々な経験をしていくことでこれらの能力が発達していきます。
遊びの環境自体が昔ほど危なくないこと、そして遊ぶ量が減っていること、これらが相まって顔の怪我が増えています。
解決策は、可能な限り外でたくさん遊ぶことです。
特に発達に特性がある子たちは、定型発達の子よりも十分な量が必要です。
春の暖かさが出てきましたので、スパーク西京極でも外での療育の頻度を少しずつ増やしていければなと思います。
この記事の参考文献
・幼児期運動指針実践ガイド 日本発育発達学会 編 杏林書院 2014