発達に特性のある子どもたちには、「感覚特性」がある場合も少なくありません。
感覚特性とは、音や目から入る情報、触覚などに過剰な反応を示したり、鈍感だったりすることです。
例えば…
・車の音やドライヤーの音など特定の音が苦手
・人混みでパニックになりやすい
・痛みに対して鈍感
・触られることを非常に嫌がる
・繰り返しのジャンプや頭を振る行動
・姿勢を保っていられない など
感覚特性についてはまだ理解されていないことも多いそうですが、体が感じ取る様々な感覚を整理してまとめる「感覚統合」と深く関係していると考えられています。
今回は感覚について、
そして、感覚を統合していくにはどんな遊びをしていけば良いかを考えていきます。
私たち人間は、外からの刺激に対して複数の感覚情報を得て、脳で必要な情報を整理をして生きています。
ところが、この整理が上手くいかないと上述したようなトラブルにつながることがあります。
【感覚の種類】
①五感(触覚、聴覚、視覚、嗅覚、味覚)
②固有受容感覚(筋肉や関節の動きを感じとる感覚)
③前庭感覚(バランスを取る、スピードを感じる等)
絶えず入ってくるこれらの情報の整理や取捨選択をしているのが感覚統合です。
感覚が統合されることで、自分の体を適切に使いこなすことができたり、他者とのコミュニケーションを上手くとれたり、目の前の作業に集中することができたりします。
今このブログを読んでくださっている皆さんは、画面から入ってくる視覚に集中しているはず。
しかも、画面にある余計な場所(時間の表示や充電の表示)ではなく、文字に対して注意を向けています。
余計なものも視覚として入ってきていますが、そちらに注意を向けていません。
外から音が聞こえてきますが、BGM程度のもので、今は文字に集中しているので気になりません。
人と話すときも、その人を見るという視覚、声を聴くという聴覚に集中しています。
ところが、感覚が統合されていないと目に入るものすべてが同じくらいの重要度で見えたり、
聞こえる音がすべて同じ大きさで聞こえたり、
会話中に視覚や聴覚以外の他の感覚も同じくらい働いてしまって、コミュニケーションに集中できなくなったりします。
他にも、感覚統合が上手くいかないと、カクテルパーティー効果と言われる「騒がしい場所でも必要な情報だけを聞き取れる能力」が未熟だったりします。
人混みを歩いていて、全部同じ音量で音が入ってくると「うるさーーい!ムリー!」ってなりますよね。
運動面では、視覚と固有受容感覚、前庭感覚が上手く合わないと、動きがぎこちなかったり、よくこけたりします。
感覚は最初から完璧に統合されているわけではありません。
様々な経験を積む中で感覚刺激をたくさん受けて少しずつ統合されていきます。
発達に特性がある子たちは、このスピードがゆっくりだったり、特定の刺激への反応が強すぎて統合が上手くいかなかったりします。
感覚統合を進めるには、作業療法士(OT)さんによる感覚統合療法を受けてたり医療機関に相談するといった支援が効果的です。
それだけでなく、遊びを通じてたくさんの感覚刺激に触れる機会を作るということも効果的です。
感覚を統合していくうえで、まず基礎となるのは
触覚、固有受容感覚、前庭感覚、視覚と聴覚です。
遊びはこれらの感覚を自然と刺激してくれます。
◇ボールの投げあいっこ
目でボールを追いかけることで視覚を刺激し、コントロールしようとすることで固有受容感覚を刺激できます。
ボール投げでは重心の移動や全身の連鎖も学んでいくことが出来ます。
◇不安定な場所へ乗る
手を繋いでバランスボールやバランスディスク、くるくると回る勉強イスに座ったり乗ったりして回してあげる、様々なポーズを取ってみるなどは前庭感覚や固有受容感覚、視覚に刺激を与えることが出来ます。
四つ這いやうつぶせになったお父さんやお母さんの上に乗ってみることなども効果的。
他にも公園のグラグラする遊具(ブランコやシーソー)で遊んでみることもおすすめです。
◇ジャンプ
目的を持ったジャンプは固有受容感覚の刺激に効果的です。
線まで幅跳びをしてみたり、縄を飛び越えてみたり、高い所をジャンプでタッチしてみたり。
◇転がる
バンザイの状態で転がったり、膝を抱えてころがったりといった遊びは前庭感覚や固有受容感覚に効果的です。
軸を感じることもできるので、体幹が弱い子にも効果的。
◇感触遊び
粘土やスライム、手に絵の具を付けて絵を描く、手形を付けるなどの遊びは触覚を刺激します。
また、微細な運動のコントロールにも効果的です。
こういった遊びは効果的ですが、強制する必要はありません。
お子様自身が「楽しい」と感じて、継続できることが大切です。
スパーク運動療育西京極スタジオでも、「楽しい」という感情を大切にしながら様々な遊びを療育スタッフと一緒に行います。
子どもたちの感情を育む中で、感覚統合につながる遊びにもたくさん取り組んでもらえればなと考えています。