☆この記事の結論
【たくさん抱っこやハグをしてあげてください。愛着形成、対人関係の向上、運動機能の向上、ストレス軽減等の発達障害児にとって大きなメリットがあります】
発達障害は悩の機能的な違いと言われています。
ところが、最近では「全身の神経ネットワークの機能的な違い」というような考え方もされています。
どういうことか、少し説明します。
人の脳は神経細胞のかたまりです。
そして、神経細胞は全身に張り巡らされています。
この脳と全身のネットワークを駆使して、自分の内外を感じたり、行動や感情を起こしたりしています。
その中でも特に繋がりが強いと言われているのが、腸と皮膚です。
腸は脳に続く神経細胞の多さと、脳以上にドーパミンなどのホルモン分泌が盛んです。
皮膚は、誕生の時に脳と同じ発生経路をたどったり、脳にあるのと同じ物質があったりします。
腸は第二の悩、皮膚は第三の悩(露出した悩)と言われています。
実際、発達障害と言われる人たちは便秘や下痢、偏食といった腸に関わるトラブル、
感覚過敏や鈍麻、ボディイメージの低さなど皮膚に関するトラブルが多いです。
このことから、全身の神経ネットワークの機能的な違いという考え方も出てきています。
皮膚への刺激、すなわち触覚への刺激を上手に使うことで、発達障害だけでなく大人から子どもまで全ての人にメリットがあります。
発達障害を持つ人は特にそれが必要です。
ポイントは以下のような心地よい刺激です。
・信頼している人からの抱っこやハグ
・優しくなでてもらう
・柔らかいもの(柔らかいボールやマット、ソファー、タオルetc)
・その他、その子が好きな触感のもの
信頼できる人とのハグや抱っこは皮膚を通じてオキシトシンの分泌がされます。
結果てきに愛着形成、ストレス低下、安心、免疫力の向上などの効果があります。
愛着形成は将来的な対人関係スキルにも影響します。
普段から沢山抱きしめてあげてください。
特に不安やストレスでつらそうなときの保護者からのハグは何にも勝る特効薬です。
泣いて保護者や信頼できる大人に抱き着くのは、自然なことです。
子ども達は自分で自分を落ち着ける方法を既に知っています。
怪我をして痛いときに、患部を優しく撫でてもらうと少し痛みがマシになったことはありませんか?
これ、本当にマシになっているようです。ちゃんと科学的にも分かってきています。
詳しい解説は省きますが、
痛いときは、局所的に神経が過敏になっていることもあります。
優しく触れることでそれが落ち着くようです。
神経の落ち着きは体だけでなく、心も落ち着けてくれます。
タオルやマットなどの柔らかいものにくるまれたり、もしくは好きな触感の物に触れることでも気分を落ち着かせてくれる効果があります。
何かしら好きな触感のものがあれば、それを身近な所に用意しておくのも良いかもしれません。
ただ、発達に特性があると、「好きな触感」も独特な場合があります。
危なくない限り、「そうなんだ」と受け入れてあげることも大切かもしれません。
皮膚から入る触覚の刺激全般は、運動機能の発達の土台となります。
自分の体への認識を高め、「ここに腕があるんだ」「これくらいの長さか」「これくらいの力加減か」「ここが痛い」といったことを理解するのに繋がります。
こういった認識をボディイメージと言いますが、発達障害と言われる人たちはボディイメージに鈍さがあることも少なくありません。
ボディイメージの鈍さは運動機能や身辺自立に遅れが生じてしまう一因と考えられています。
運動と皮膚は関係なさそうに見えても実は繋がっています。
そういった意味でもたくさん触ってあげて下さい。
また、いろんなものを触らせてあげてください。
いろんなところを歩かせてあげてください。
心と体、全てが繋がって1人の人格が形成されています。
関係ないように見える皮膚ですが、実はとってもとーーっても大切な役割を担っています。
愛着形成から運動機能まで、皮膚を通じたお子様との暖かい触れあいで発達を促してあげてください。
特に神経細胞がぐんと成長する乳幼児期を大切に。
今回は5歳の運動発達の段階についてです。
5歳の段階になると、体を動かすことそのものが上手になるのはもちろんですが、運動を通じて心の調整ができるようになっていきます。
*発育発達のスピードには個人差があり、実年齢とそれとが必ずしも一致しないこともあります。
実年齢ではなく、発達の段階に合わせた関り方が大切になります。
5歳の段階になると、4歳の頃よりも不安定な遊具の上や、不安定な姿勢での遊びが上手になります。
年齢が低い程、姿勢制御の視覚への依存度が高いですが、
4歳、5歳となるにつれ徐々に他の感覚(筋感覚やバランス感覚など)も発達してくることが影響しています。
5歳さんになるとずいぶん体の軸もしっかりとしますが、
姿勢の制御が確立されるのは10歳ころまでかかるので、もう少し先です。
シンプルな運動能力を挙げると、片足立ちで10秒近くキープできるようになるのもこの頃です。
不安定さへの対応が可能になるので、竹馬や木登りといったバランスを取る遊びにチャレンジできます。
これらは幼稚園によっては運動会でも年長さんの課題として取り入れられてます。
この頃には自転車も乗れるようになります。
指先もますます器用になります。
各指が独立して器用に動かせるようになるので、お箸を使って食べたり、文字を書いたりといった就学に向けた日常生活での指先の運動にも取り組み始めます。
お箸やペンを扱うことは3~4歳さんでも可能ではありますが、5歳さんではそれがスムーズになります。
静的三指握りと言って親指、人差し指、中指が近付いたぎこちない握りだったのが、
4~6歳ころになると動的三指握りといって、薬指と小指が曲がり、残りの三指が細かく動くためです。
キャッチボールができるのもこの頃。
キャッチボールは相手と自分の動きを合わせたり、予測をしたり、動きを臨機応変に調整したり。
そーっと投げたり、思いっきり投げたり。
こういった運動を調整する経験を通じて、体に対する手ごたえを感じることで心の調整に繋がります。
そーっと動くことで慎重にやってみる気持ち、
思いっきり動くことと、活発な気持ち。
心と体は生まれたときからリンクしていますが、5歳頃からはこの調整の力が育ち始めます。
「もう5歳なのに、全然出来ない」と不安になられる方もいらっしゃるかもしれませんが、
飛び級のような発達は出来ないので、今どの段階かを見極めた上で、お子様1人1人に合わせた接し方が必要になります。
1~4歳までの運動発達も過去の記事にまとめてありますので、ご参照ください。
そして何よりも運動は経験の数が大切になります。
お外で遊ぶ経験、日常生活や工作を通じて指先を動かす経験など、可能な範囲で機会を増やしてあげることが発達に繋がります。
今回は4歳の運動発達の段階についてです。
4歳の段階になると、3歳の頃に広がった様々な運動に巧みさが出てきます。
また、自分の体の状態を知り、行動や言葉で表現することもできるようになってきます。
*発育発達のスピードには個人差があり、実年齢とそれとが必ずしも一致しないこともあります。
実年齢ではなく、発達の段階に合わせた関り方が大切になります。
特に全身のバランスを取る能力の発達が見られます。
3歳の頃よりも片足立ちが出来る時間が伸びたり、それに伴ってケンケンやスキップもできるようになります。
ジャングルジムや鉄棒などにも慣れ始め、3歳の頃よりも上手に登ったり、鉄棒の技に挑戦したりします。
手先の動きもますます器用になるので、形に添って紙をハサミで切ったり、小さなボタンの服でも自分で着脱ができるようになってきます。
運動面だけでなく、認知面など様々な発達が同時に進行しており、お絵描きはそれを良く表す良い例です。
4歳頃になると身体の全体像を把握しはじめ、手先も器用になってくるので、胴体や手足のある人物を描いて遊ぶようになります。
脳と体のの発達の両方が進んでいる結果と言えます。
まだまだ正確な手足の長さの比率でかけるわけではありません。
運動と感覚は切っても切れない存在です。
4歳児では、その感覚も少しずつ鋭くなってきま。
自分の体が今暑いのか寒いのか認識し、衣服を着たり保護者に訴えたりして体温調節が出来るようにもなってきます。
怪我をしてしまったり不調があったりすると、ただ「痛い」と言うのではなく「頭が痛い」「膝が痛い」というように訴えることも可能です。
他にも、声の大きさなどを自分で感じて調整することも出来ます。
いずれの場合も、体で感じる目に見えないものの比較をして、表現しています。
利き手や利き足がはっきりとしてくるのが4歳の頃です。
しかし、まだ決まっていないからと言って焦る必要はありません。
5歳でまだ決まっていないとなると、LD(学習障害)の疑いがあるので、対策を講じる必要があります。
言葉の発音も口の運動ということで、少し言及しておきます。
4歳の頃はサ行、カ行、ラ行を上手く発音できない子がまだ多いです。
発音に関しても5歳頃までかかる子もいるので、少し様子見の時期とされています。
4歳頃になると、自分の内面への理解もかなり進むので、「出来ない」「はずかしい」と言った気持ちも大きくなります。
それでも「やってみよう」と思ってチャレンジする原動力は達成感です。
運動だけに限らず、できたことを褒めてあげて、土台である達成感をたくさん積めるような関わりが大切です。
スパーク西京極でも、「褒める」「認める」関わりを通じて、子ども達の「やってみよう」の土台作りをサポートしています。
今回は3歳の運動発達の段階についてです。
3歳の段階になると、ますます運動の幅が広がります。
「〇〇しながら〇〇する」といった協調運動の力もこの頃から高まってきます。
*発育発達のスピードには個人差があり、実年齢とそれとが必ずしも一致しないこともあります。
実年齢ではなく、発達の段階に合わせた関り方が大切になります。
3歳の発達段階になると、歩く、走る、跳ぶ、登るなどの基本的な運動が沢山できるようになってきます。
他にも、手指の操作も2歳の頃と比べて器用になり、スプーンやハサミの操作、洋服のボタンの着脱など生活に必要な運動も少しずつ身についてきます。
この時期にも遊びを通じて運動を学習していきます。
ごっこ遊びを通じた道具の扱いを学んだり、簡単な折り紙遊びで自然と指先の運動を学んだりします。
「遊び」なので、自発的で楽しい気持ちを大切にしながら沢山の経験を積むことが発達を押し進めます。
3歳頃の運動発達の大きな特徴は、「協調運動」の力が育ちはじめることです。
協調運動は、同時に複数のことをする運動です。
登ったり、投げたり、縄跳びをしたり、三輪車に乗ったり。
いずれも1つの動作だけでなく、「〇〇しながら〇〇する」という動作になります。
例えばバランスを取りながら、ハンドルを握って、足で漕ぐ三輪車。
簡単に見えて、複数の動作を同時に行っています。
視覚やバランス感覚、筋肉の感覚など、様々な感覚情報を元に、自分の体をコントロールする。
そんな高度なことに挑戦していく時期です。
生活に必要な動作を身に着けていくためにも、協調運動ができるようになっていくためにも、楽しくたくさん動くことが発達にとって大切です。
協調運動の土台として、様々な感覚や基本の運動(走る、跳ぶ、押すetc)が作られていくことはもちろん、
協調運動そのものの経験をたくさん積み重ねることで発達が促されます。
この時も、「遊び」と「他者との関わり」が大きな役割を発揮します。
「遊び」と「他者との関わり」は運動面にはもちろん、認知面や社会性を育むことにも繋がります。
スパーク西京極スタジオでは、たくさん遊ぶ場を提供し、発達のサポートをしています。
新型コロナウイルスへの感染リスクをできる限り低減するため、2021年1月より療育のシステムを一部変更させて頂きます。
これまでも、療育室の消毒、換気、加湿など感染症対策には最大限の努力をしてまいりましたが、
更なる対策として、療育に支障が出ない範囲で児童、保護者、スタッフの接触頻度を最小限に下げることになりました。
変更点は下記の通りです。
①同一時間に利用されるお子様が3名の場合は、大きな療育室と小さな療育室のドアを閉め切ります。
大きな療育室は写真の通り、中央(黄色)でエリアを2分割して距離を置き、2名のお子様の療育を行います。
エリアを越えないようにご協力していただきながらの療育となります。
残り1名のお子様は小さな療育室での療育となります。
②2名様が同時に利用される場合は大小の療育室間の扉を閉め切り、道具と場所の共有が無いようにします。
③2~3名のお子様が同時に利用される場合、お子様ごとに遊具を固定し、遊具の共有が起こらないようにします。
その他の変更点はございません。
ご理解ご協力のほどをよろしくお願いいたします。
今回は2歳の運動発達の段階についてです。
2歳の段階にになると1歳の頃よりも歩行も安定し、様々な運動をする喜びを実感するようになります。
この時期の運動面での発達には「程よい手助け」が大きく関わってきます。
*発育発達のスピードには個人差があり、実年齢とそれとが必ずしも一致しないこともあります。
実年齢ではなく、発達の段階に合わせた関り方が大切になります。
1歳の段階よりも直立歩行が安定してくるので、走ることも自由になってきます。
自由に走ると言っても、まだまだ転ぶこともあります。
下半身の育ちは他にも様々な面で見られます。
脚を交互に運んで階段を登ることもできるようになってきます。
その場でのジャンプが始まるのもこの頃です。
1歳の段階ではまだできなかったダイナミックに体を使う遊びを楽しめるようになります。
その中で自分で自分の体を使う楽しさや喜びを知っていきます。
・ボールを蹴る、投げるといった遊び
・大きなボールなどは手を前に出して取ろうとする
・公園のジャングルジムにチャレンジしたり、鉄棒にぶら下がったり
など
生活に欠かせない手先の動きも器用さが出てきます。
基本的に体の発達は、中央から末端の順番で進みますので、まずはダイナミックに体を動かす能力から高まっていきます。
手先を使って以下のようなことに取り組むことができます。
・絵本を1ページずつめくる
・指でクレヨンなどを持ち、円を描く
・靴を自分で履く
・小さなスペースに小さなものを入れる
階段を登ったり、不安定な場所や細い場所を歩いたりする中でバランスを取る経験や、ジャングルジムや遊具で遊ぶ経験を積んでいくことで、自分の体を動かすことが楽しくなってきます。
この喜びや楽しさといった気持ちが、更なるチャレンジを促して運動面の発達がますます進みます。
それと同時に、「イヤイヤ」「自分で!」といった気持ちの面での変化もあり、2歳の段階ならではの難しさもあります。
自分の力で出来ることも増え始め、何でも「自分でやりたい」という気持ちが大きくなってきます。
しかし、まだまだできないことも沢山あるので思い通りにならず、癇癪を起してしまうこともよくあります。
この時期には「自分でやりたい」という子どもの気持ちを受け止めつつ、一旦見守ってみること、そして少し手伝うことが大切だと言われています。
少し手伝えば出来るというレベルでの経験は子どもの発達にとって最も効果が高いと言われています。
詳しくは過去の記事を参照ください→何事も程よく助ける
そして、出来た時は沢山褒めてあげます。
できた時に沢山褒めてもらうことで、満足感や達成感を味わうことができ、
「またやりたい」「もう一度」といった子どもの気持ちが引き出されます。
遊びも日常生活に必要な技能も、何度も何度も繰り返すことで体に定着してきます。
スパーク西京極でも、遊びの中で子ども達を褒めることはかなり大切にしています。
できたこともそうですし、できなくてもチャレンジした気持ち、「そんなこと思いついたんだ!」ということまで、子どもの様子をじっくり見てたくさん褒めています。
保護者の皆さま
平素は当スタジオの運営にお力添えいただいただき、誠にありがとうございます。
2020年12月24日、当事業所関係者1名が新型コロナウイルスのPCR検査において陽性であることが判明いたしました。取り急ぎ、行政指示のもと下記の対応を取らせて頂きます。
・2020年12月24日(木)午後~2021年1月6日(水)まで施設を閉所
・2021年1月7日(木)より通常通り開所
・陽性者の詳細については非公開
今後につきましては、保健所をはじめとした関係各機関と連携し、利用者様と従業員の安全確保を最優先に施設内外への感染拡大防止に努めさせていただきます。経過につきましては追って連絡させていただきます。
皆様には多大なご迷惑をおかけしますことをお詫び申し上げますとともに、何卒ご協力とご理解賜りますようお願い申し上げます。
※保健所との協議の結果、閉所期間が当初の1月4日(月)から1月6日(水)に変更となった為、閉所期間と再開日を修正致しました。
令和3年1月4日 修正
スパーク運動療育西京極スタジオ
管理者 熊谷利衣子
今回は1歳の運動発達の段階についてです。
1歳の段階と言えば、一人で立つようになり、歩くことも始まり、行動範囲が広がっていきます。
他にも様々な面で0歳の頃より運動面での成長が見られます。
この時期の運動面での発達には「興味」が大きく関わってきます。
*発育発達のスピードには個人差があり、実年齢とそれとが必ずしも一致しないこともあります。
実年齢ではなく、発達の段階に合わせた関り方が大切になります。
9~10ヶ月頃からつかまり立ちが始まり、1歳になる頃には1人で歩けるようになります。
1歳半頃には急いで歩くこともできるようになってきます。
1歳の運動発達で最もわかりやすいのはこの立つ、歩くですね。
後で詳しく書きますが、ハイハイ、またはそれ以前、そして立つ・歩くという運動の発達は興味によって促されます。
1歳半頃には、台から降りたり、押し出すような感じでボールをキックするといったこともできるようになってきます。
また、歩いたり、蹴ったりといった全身を大きくつかう「粗大運動」の発達もさることながら、
手先も少しずつ器用になっていきます。
それぞれの指を独立して動かす力が付いてくるので、小さな物をつまむこともできるようになってきます。
片手で何かを持ちながら、もう一方の手で何か別のことができるようになります。
まだ絵を描くことはできませんが、殴り書きで遊ぶこともできるようになってきます。
興味は発達において常に大切な要素になりますが、
運動面での発達段階が0~1歳にある子ども達にとっては特に大切です。
「あそこにある物を見たい」「触りたい」「気になる」など興味があるからこそ
目を動かし、首を動かし、寝返りをうち、、、
ハイハイで移動し、つかまり立ち、歩行へと繋がっていきます。
興味が湧いて、体を動かし、その物や人についての認識を深め、世界を広げていきます。
子どもの興味を惹くということは、スパークでも大切にしています。
興味が湧いて、気持ちが乗るからこそ動きたくなります。
興味を惹くために、療育では大人が積極的に子どもに関わっています。
少しオーバーなリアクションをしてみたり、大人自身も楽しそうに遊んだりしています。
スパーク西京極では、遊びを通じて沢山体を動かす場を提供することで、運動面をはじめとした子ども達の様々な発達をサポートしています。
よく転んでしまう、体の使い方がぎこちない、真っ直ぐ座っていることが出来ない、縄跳びや鉄棒などの習得に時間がかかるなど、体を使うことに苦手を持っている子たちが一定数います。
そんな子たちにはどういった遊びや働きかけをしていけば良いのでしょうか。
もちろん特定の技能を練習したり、体の使い方を教えてあげることも大切ですが、もっと根底にある力を伸ばしてあげることも大切になってきます。
例えば、「真っ直ぐに立ちなさい」と言われて実行しようとした場合、そもそも真っ直ぐがどこなのか、そして今の自分は既に真っ直ぐなのか、それとも傾いているのか、もし傾いているのなら体のどこが傾いているのか、それを理解している必要があります。
それが分からないのに、「真っ直ぐ立ちなさい」と言われてもどうすることも出来ません。
「真っ直ぐ立つ」に限らず、体を思い通り扱うには、自分の体がこの世界でどうなっているかの情報を感じ取る力が必要です。
特に、触覚、視覚、前庭感覚(バランス感覚)、筋肉からの感覚は非常に大切です。
これらの感覚をたくさん刺激し、伸ばしてあげることが土台になってきます。
触覚は皮膚から得ることのできる感覚です。
自分の体に触れられている刺激をたくさん得ることで、体のパーツの位置を認識しやすくなります。
体を上手に扱えない原因の一つに、自分のイメージしている体のサイズ感と現実のサイズに大きなギャップがあることも考えられます。
真っ直ぐ座る、立つというのも「運動」ですから、もちろん関係しています。
ボールプールで遊ぶ、抱っこをしてもらう、プール遊び、布にくるまる、くすぐり遊びなど、全身の触覚を刺激する遊びが効果的です。
感覚に過敏がある場合は嫌な感覚を無理に刺激しないようにします。
視覚と前庭感覚の刺激は、主に体の傾きや、ものとの距離感、移動しているスピードを感じ取る為に大切です。
傾いていても、本人にその認識が無ければ真っ直ぐに立つことはできません。
ボール遊び、不安定な遊具での遊び、大人に抱っこでグルグルしてもらうなど目を使い、バランスを取る遊びを沢山経験させてあげることが効果的です。
これくらいの力を出せばこれくらい跳べる。
今、力が入っているor脱力している。
これくらいの力加減なら、こうなるだろう。
そういったことを把握していなければ運動を調整することは難しいです。
目的とする運動に必要なだけ力を出すことが求められるからです。
筋肉からの刺激をしっかりと入れるには、ジャンプやかけっこ、お相撲、綱引き、手押し車など、おおざっぱな運動で大きな力を出す運動が効果的です。
何度も繰り返し行うことで、筋肉に強い刺激が入り、理解が進みます。
これらの遊びはあくまでも楽しめる範囲で行います。
また、感覚に過敏さがある場合はそれも考慮して無理をしないようにします。
発達に特性のある子たちは同時に2つ以上の運動(協調運動)をすることが苦手な場合が多いです。
(歌いながら踊る、縄跳び等)
こちらも楽しいとか、できるようになりたいというモチベーションが保てる範囲で取りくめるのがベストです。
子どもたちは5歳くらいになると、体の動きかと心の調整がリンクしはじめます。
そのためには、今回紹介したような感覚をたくさん刺激し、まずは体の情報を適切にキャッチできるようにしてあげることが好ましいです。
「お友達と一緒に遊ぶ」
これは意外と高度なことで、子ども達は発達と共に段階を追ってできるようになっていきます。
基本的に発達において飛び級的なことは無く、各段階を順に満たしていくことで次のステップへ進んでいきます。
子ども一人一人でそのペースは異なりますが、焦るのではなく段階に合わせた関わり方をしていくことが大切になってきます。
いきなり子ども同士一緒に遊べるようにはなりません。
子ども達はまず、両親をはじめとした身近な大人の様子を見て、それを真似して1人で遊びます。
遊びの内容は、粘土や紙を使った手指の感触遊びや、その他玩具を使った遊び、体を大きく使う遊び、生活を再現した遊び(食べる真似など)など様々です。
この段階では、一緒に遊ぶというよりも、保護者をはじめとした身近な大人に遊びをくみ取ってもらっているような感じです。
発達段階によりますが、2歳くらいになってくると子どもの中でイメージの世界が育ってきます。
それと共に、お友達や大人と一緒に簡単なごっこ遊びをするようになります。
でもなかなかイメージを他者としっかり共有することは難しいようです。
なので、その場を共有して同じことをしているけれど、相互に関わりを持たない「並行遊び」という形を取りやすいです。
3歳くらいになると、2歳児のころにはじめたごっこ遊びのイメージがさらに膨らんでいきます。
また、このころになると保護者や保育者と一緒に簡単なルールのある遊びができるようになります。
鬼ごっこやかくれんぼなど、まだまだルールに誤解があったりはしますが、大人とならできるようになってきます。
4歳ごろからは想像力もかなり豊かになり、虚構の世界観で遊ぶことができます。
虚構の世界を理解すると、「二重構造」の理解も進みます。
例えば節分でお父さんが鬼の格好で表れたとします、「今は鬼だけど、お父さん」ということを理解することができます。
また、子ども同士でイメージが繋がっていれば、おままごとなどを役割交代しながら遊べるようにもなります。
ルールの理解も進むので、鬼ごっこやかくれんぼを子ども同士で行うことも可能になってきます。
じゃんけんの概念もこのころから理解するそうです。
4歳ころまではルールに縛られており、守るということで精一杯ですが、更に発達が進むとルールを変えたり作ったりすることができるようになります。
もめごとが起こったときにじゃんけんをしようとか、小さい子には少し優しくしてあげようなど、相手の気持ちを思いやることが出来てきます。
遊びの中で培われてきたイメージの力やルールの意識、相手のことを考える経験が遊びにも反映され、より高度な形で「一緒に遊ぶこと」ができるようになってきます。
子ども達は現在の発達段階、そして現在の遊びが十分に満たされると次のステップへと進んでいきます。
信頼できる大人にくみとって貰いながら遊び込む経験があってから、次の遊び、他者への興味、並行遊び、イメージの共有などへ進んでいきます。
実年齢と発達段階は必ずしも一致しているわけではありません。
スパーク西京極では、子ども1人1人の発達段階を考慮したうえで、遊びを通じた支援をしています。