ようやく梅雨も明けそうですね。
マスク着用で蒸し暑さも更に増しています。
ウイルスだけでなく、熱中症にもどうぞお気を付けください。
さて、スパーク西京極は、
8月13日(木曜)14日(金曜)15日(土曜)の3日間、お盆休みをいただきます。
お休みの間にいただいたご連絡につきましては、8月17日(月曜)に対応させて頂きます。
よろしくお願いいたします。
管理者 熊谷利衣子
スプーンやフォークをはじめとした、生活で必要な道具を使えるようになることは、発達における課題の一つです。
スパークでは「〇〇をできるようにする」という療育は行っておりませんが、保護者からのご相談を受けることもありますので、ブログでシェアしておきます。
道具を扱えるようになるには、身体図式が発達していくことが必要になります。
身体図式とは、感覚や運動に関連した脳内で作り上げる自分の体の地図のことです。
私たちは痛いところやかゆいところがあれば、無意識でそこに手を持っていくことが出来ます。
自分の足が腕がどこにあるのか、動かしているときはどれくらい離れているかといったことを私たちは無意識に知っています。
身体図式を高めるには、体性感覚と視覚が一致してくる必要があります。
体性感覚は皮膚や筋肉、関節、腱、内臓からくる感覚のことです。
自分の関節がどれくらい伸びているか、どれくらいの力がかかっているかといったことを感じ取ります。
体性感覚は、体の外にも及びます。
フォークで食べ物を刺すと、フォークの先で食べ物が柔らかいのか固いのか、つるつるしているのかを感じることが出来ます。
固いならもっと力を入れなければいけませんし、柔らかければ優しい力で刺さないといけません。
この様に、道具を自分の体の延長としてイメージすることが出来るか。
自分の関節の伸び具合や、力の入り具合をどれだけ感じとることが出来るか。
そして、これらが視覚から入る情報とマッチしているかが大切になります。
発達に特性のある子たちは、感覚過敏の問題等を持っているため、こういった能力の発達に困難を持つ場合があります。
どのような遊びを通して身体図式や体性感覚を伸ばしていってあげれば良いのでしょうか。
大きく分けて3種類の遊びが効果的です。
引っ張りあい(タオル綱引き)、押し合い(お相撲)、手押し車、ジャンプ、ジャングルジムなど。
体は中心から末端にかけて発達していくので、ダイナミックな力を出す運動で、筋肉や関節に刺激を入れ、体性感覚を養います。
お家で取り組める代表例は、スライムや粘土です。
様々な感覚のものに触れることで手先の感覚を養います。
バットやラケットでボールを打つ(止まった状態や転がしで良い)ような遊びで、自分の体の延長線上に道具があるという感覚を養います。
こういった遊びは効果的ですが、子どもたちに無理にさせる必要はありません。
楽しいと思えないのに、無理強いされると継続できません。
スパーク西京極では、主に「関節や筋肉に強い刺激が入る遊び」をたくさん取り入れています。
そして、遊びの中で褒めること、共感することや療育士との積極的なやりとりを通じて、様々なことにチャレンジしようという感情の発達を促しています。
人やモノによくぶつかってしまうという子たち。
決してわざとぶつかっているわけではありません。
よくぶつかってしまうのは、
人やモノとの距離感がつかめていなかったり、自分の手足の長さの感覚が未熟だったりすることが原因かもしれません。
こういった距離感や、自分の手足の長さ、体の位置、サイズ感など、自分の体に対する空間的なイメージのことをボディイメージと言います。
ボディイメージは成長とともに、様々な身体活動を行っていくことで発達していきます。
ところが、特性を持つ子どもたちは、その発達がゆっくりであったりするため、実年齢にしてはよくぶつかったり、運動にぎこちなさがあったりします。
では、どういった運動をすればボディイメージは育まれていくのでしょうか。
まずは、体をダイナミックに使う遊びです。
公園の遊具で遊んだり、床で転がったりといったものです。
遊具は、よじ登ったり、ぶら下がったり、バランスをとって渡ったりと、様々なことができます。
スパーク西京極でも、人員体制やお子様の状態に応じて近くの公園での療育を行っています。
他にも、くぐる、またぐなど、対象物を避けて行う遊びも効果的です。
自分の感覚と実際に動いている体のパーツを調整していく必要があるのでボディイメージの形成につながります。
大人が脚でトンネルを作ってあげたり、障害物になってあげたりすれば、手軽に行うことができます。
これは皆で手を繋いで輪っかくぐり!
こういった遊びをする中で、最初から上手くいかないことが多々あります。
体をぶつけてしまったり、バランスを崩してしまったり。
決してそれが悪いわけではなく、その失敗があったときに「次はもう少し高くかな?低くかな?」など、子どもが自分なりに体を調整しようとすることでボディイメージが育まれます。
スパーク西京極では、
子どもたちの「やってみたい」「もう一度やりたい」という感情を育てるようなコミュニケーションをしながら、可能な限りダイナミックに動く遊びを取り入れ、時には療育士がおもちゃや遊具になって、子どもたちのボディイメージの形成をお手伝いしています。
療育の様子は ⇩ をご覧ください。
体幹が弱くてじっと座っていられないなど、姿勢に関するお悩みをお持ちのお子様がいらっしゃいます。
どうしたら良いのでしょうか?
ネットで調べると、「お腹と背中の筋肉を鍛える」というお話がたくさん出てきます。
姿勢を保つために、お腹と背中の筋肉が大事なのはもちろんですが、もう1つ鍛えねばならない筋肉があります。
むしろこの筋肉は背中とお腹より重要です。
それが、お尻の筋肉です。
人間が日本の足で立てること、背すじを伸ばして座れることは、サルやゴリラよりもお尻の筋肉が発達しているからです。
背骨の根っこである骨盤や腰部をしっかりと締めてくれるのがお尻の筋肉です。
背骨が木だとしたら、お尻の筋肉は根っこであり、土であり、植木鉢です。
その土台が緩くては、いくらお腹と背中が強くなっても、真っ直ぐ座ったり立ったりすることはできません。
では、お尻の筋肉を強くするにはどんな遊びをしたら良いのでしょうか?
最高のお手本は、お相撲さんです。
お相撲さん、おそらく人類で1、2位を争うくらい体幹が強いです。
そして、見事なお尻の筋肉。
お相撲さんがしていることと言えば、押したり引いたり!
特に押し合いっこは良いです。
お尻に力を入れて、体をまっすぐにしないと強い力が出ません。
スパーク西京極でも、押し合いっこはよくやっています。
手押し相撲でも、普通のお相撲でも、お尻相撲でもなんでもOKです。
遊んでいるときの声掛けとして、
「手はパーでギューってするんだよ!」
「体を伸ばして!」
という一般的なものに加えて、、、
「お尻をギューってするんだよ!」と言ってあげます。
子どものお尻をつついて確認してみるのもよいです。
弱い子は本当にフニャフニャと柔らかい状態です。
力の入れ方がわからない子には、
「うんち我慢するときのギュー!」という声掛けも効果的です。
もし機会があれば押し合いっこ、やってみてください!
もちろん、遊具を使った遊びや、大人をよじ登ったり、ぶら下がったりといった遊びも効果的なので、お相撲に限らず様々な遊びをしていただければなと思います!
スパーク西京極ではインスタグラムにて日々の様子を配信中です。
是非ご覧ください。
スタッフの日常はストーリーにて頻繁に更新しております!
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近年、運動をすることがADHDと呼ばれる子どもたちにとって効果的だということが分かってきています。
では、運動と言ってもどんな強度、どんな種類の運動を、どれだけの時間取り組めばよいのでしょうか?
米国の研究では1日30分、8週間の運動プログラムをADHDと診断された子ども14人(5~8歳児)に処方しました。
毎回の運動プログラムは下記のような感じ。
・軽く息が弾む程度の運動:心臓バクバクではない
・1~2分のウォーミングアップ
・小集団に分かれての4種類のサーキット
・1つのサーキットを6分(4種類×6分)
・対象物を運ぶ、スキップ、ランニング、ホッピング、クラブウォーキング(四つ這いの反対向きで歩く)などの様々な動き
このような感じで運動プログラムを実施したところ、ADHDと診断された子たちの運動機能、認知機能、ソーシャルスキル、自己肯定感などが向上するという結果が得られたそうです。
なるほど、、、、。
様々な動き、、、
小集団、、、
軽く息の弾むような運動、、、
30分程度の運動、、、
これって、スパーク西京極でしている遊びとすごく似ているではありませんか!
研究のように毎日通っていただくことはできませんが、定期的に運動をすることで同様の効果が期待できます。
こういった効果が出る理由として、最近は運動をすることによるホルモン分泌や神経伝達の影響が考えられています。
人間の体は複雑すぎて、まだはっきりとしたことは理解されていませんが、運動と特性は非常に深い関係性にあることは確かだそうです。
もし、ご家庭でも機会があれば、お子様の興味を持たれた運動や遊びを少しでも一緒にやってみてください。
走ったり、ボールや風船を使ったり、ジャンプ(飛び乗る、飛び降りる、飛び越える)したりといったシンプルな遊びからでも!
参考文献:
Alan L Smith et al: Pilot physical activity intervention reduces severity of ADHD symptoms in young children. Journal of attention disorders 17 (1) 70-82, 2013.
自閉特性を持つ子たちが運動をすることで、運動能力のみならず、ソーシャルスキルも高まるという効果が科学的に証明されつつあります。
ソーシャルスキルは他者と良好な関係を築き、社会に適応していこうという力のことです。
オランダの研究者によって行われたメタアナリシス研究(たくさんの研究結果をまとめて分析したもの)では、16本の研究、133人の自閉症者(子ども~大人まで)に対する運動の効果が分析されました。
研究では水泳、ランニング、サイクリング、筋トレ、ウォーキングなど様々な運動が行われました。
運動の多くは1回につき20~60分、継続期間は2週間から1年間まで様々なものがありました。
結果として自閉症がある人の運動能力に加えてソーシャルスキルの向上効果がありました。
さらに、集団での運動プログラムより、個別での運動プログラムの方が効果が高いということが示唆されました。
(サッカー等のチームスポーツに対する研究が無かったという分析の限界はあります)
研究はあくまでも研究であり、効果を保障するものではありません。
しかし、ここから考えられることは、、、
・定期的な運動が効果的
・個別の方が効果的な可能性あり
・これに加えて丁寧な関わり方をすれば、より効果的?!
スパーク運動療育西京極スタジオでは、60分の運動を主体とした個別療育に加え、療育スタッフや他児との関わりを通じて、自閉特性のある子どもたちの感情、社会スキルの発達を促しています。
お問い合わせや見学等、お気軽にお電話またはお問い合わせホームよりご連絡下さい。
電話:075-754-7278
お問い合わせホーム:https://daiki.kyoto/nishikyogoku/contact
今後もスタジオでの日々や、発達に関する情報を発信していきますので、よろしくお願いいたします!
参考文献
Sowa M, Meulenbroek R. Effects of physical exercise on autism spectrum disorders: a meta-analysis. Research in Autism Spectrum Disorders 2012; 6(1): 46-57.
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1750946711001516
スタジオにはADHDや自閉症などの特性に加え、「力が弱い(押したり引いたり)」「歩き方や走り方がぎこちない」「バランスをよく崩す」と言ったお悩みを持つお子さまたちがいらっしゃいます。
そういった子たちを見ていて、ふと気になったことがあります。
「この子たち、よく割座(女の子座り)してない?」
*全員ではありません
というわけで、調べてみました。
まず、割座がどんな状態かと言うと
股関節が大きく内側に捻られ、すねは外側に捻られます。
この状態が続くと、太ももの骨(大腿骨)の捻じれの角度(前捻角)が大きくなってしまいます。
正常な人の前捻角は約15°と言われています。
程よく捻じれているからこそ、人間特有の動きができます。
・程よく体の中心に足が来るから片足立ちがしやすい
・類人猿よりは前捻角が大きいからこそ、股関節を開いて力強い二足歩行ができる
歩くときは、踵からついて、やや外側、最後に親指のつま先、というふうに体重移動をします。
股関節を開けるからこそ、これが出来ます。
割座が習慣化してしまうと、前念角が40°を超える場合もあります(正常15°)。
こういった状態で成長していくと、、、、
・股関節が硬くなる(開けない)
・骨盤や太もも、すねの歪み
・将来的に足首や膝、股関節の痛みが出やすい
・股関節を外に開けないと、お尻に力が入りにくい→お尻の筋肉が付きにくい→体幹が弱くなる
また、普段の歩き方、立ち姿が内股になってしまうことがあります。
内股では地面からの力を伝えにくく、走ったり歩いたり、押したり、引いたりといった基本的な動きも弱くなります。
お尻に力が入らないと、体幹にもスイッチが入らないので、「よくこける」「フラフラ」するといったことにもつながってきます。
内股の子たち、割座をよくしている子たちを見ていると、確かにこの傾向があるなと思います。
子どもによっては、割座のままマットやイスを押そうとして全然力が入っていなかったり、体がすぐに曲がってしまったりしています(胴体を一直線に保てない)。
そんな時は、「しゃがんだ方が良いじゃない?」「立った方がいいんちゃう?」「足の指ついたら強く押せたで!」とスパークらしい声のかけ方でやんわりと伝えるようにしています。
おうちでも可能な範囲で割座が習慣化しないように気を付けてみられてはいかがでしょうか?
正座はなかなか厳しいかも知れませんが、あぐらへの促しが良いかと思われます。
あぐらは股関節を開くので、割座で硬くなった股関節にとって良いストレッチにもなります。
「力が弱い(押したり引いたり)」「歩き方や走り方がぎこちない」「バランスをよく崩す」といったお悩みの原因は、割座以外にもあると思いますが、何か少しでも改善すればなと思います。
ブログでは特性に関して様々な事を書いていますが、そういえば体の使い方の発達に関してはあまり触れていませんでした。
今回は発達していく順番をテーマに、体について考えていこうと思います。
私たち人間が体を操る機能は、生まれてから成熟するまで長い時間をかけて発達していきます。
そしてその順番と言うのが、「中心から末端へ」というのが基本となります。
分かりやすい例を一つ。
子どもにクレヨンやペンで絵を描いてもらいます。
①年齢の低い子ほど、末端の発達未熟ですので、描かれる絵は点や線をこすり付けたようなものです。
おおよそ1~2歳です。 肩や胸などから動かし、体の重みで押さえつけるように描きます。
②1歳半~3歳くらいになると、線や曲線、円などを自分の意思を持って描けるようになってきます。
意志を持って肩や胸を使って描いています。
③3~4歳になると、ぎこちないですが、丸や三角、四角などを描き、それに対して食べ物や人物などの意味を見出します。
このころになると、肘の動きもコントロールされ始めます。
④4~5歳になると簡単な図形を組み合わせて、自分の知っている生き物などを描くようになります。
大小様々な図形を描くので手首や指先をコントロールする必要があります。
⑤5~6歳になると、このころには少し複雑な線や図形も描けるようになります。
知的にも情緒的にも発達が進み、自分の周囲の物の概念を理解したり、物の大小や関係性も理解して描きます。
家の前に立っている自分の様子を描けたりしてきます。
このころには指先をコントロールする力がますます伸びていきます。
未就学の年齢はここまでなので、紹介はこのあたりまで。
ここに載せている年齢はあくまでも平均であり、発達には個人差があります。
もちろん、こういった絵の発達を見ていく中で知的な能力や認識、他者との関係性の発達など、体の機能とは別の要素も大切になってきます。
ですが、絵の進化は体の発達もある程度反映しています。
体重を乗せてこすり付けるように描いていた段階から、胸→肩→肘→手首→指先というように「中心から末端へ」体をコントロールする力が伸びていく様子がよくわかります。
これは絵に限らず、体の操作全般に言えることです。
手先が不器用な子に必要なことは、
①大きく体を動かして遊ぶ経験を沢山積むこと(段階を満たしていく)
②自分の体を意識してコントロールする経験を沢山積むこと
スパーク運動療育西京極スタジオでは、大きく体を動かす経験はもちろんのこと、様々な遊びを通じて自分の体を意識してコントロールする経験も、遊びを通してたくさん積んでいただくことが出来ます。
6月になって30℃を超える日が続いていますね。
これから本格的に夏に向かっていくにあたって、水分補給が欠かせなくなってきます。
実は子どもたちは大人と同じくらいか、それ以上に水分を必要とします。
子どもは大人と同じ数の汗腺(かんせん)を持っています。
汗腺は汗を出す体の器官のことで、皮膚のあちこちに存在しています。
汗腺の数は同じなのに、体は大人より小さいため、子どもたちは相対的に汗をかく量が多くなります。
それと同様に、必要な水分摂取量も大人より相対的に多くなります。
スパークに通って下っている幼児の場合であれば、1日に体重1kgにつき100ml程度の水分補給が目安になります。
体重が15kgであれば1.5L程度です。
もちろん食べ物や食事中のお茶などからも水分は補給していますが、遊びに行く際は最低でも500~1000mlの水分は持っていって頂ければと思います。
ちなみに大人になると1日に体重1kgにつき50ml程度です。
*季節にもよりますので、特に夏場は水分を多めにご用意ください。
暑い日に外で遊んでいると、子どもたちはほっぺたが真っ赤になります。
これは、大人よりも汗をかく機能が発達していないからだとされています。
汗をかくことも練習が必要で、子どものうちは上手に汗をかくことが出来ません。
成長と共に汗をかく経験を沢山積んでいけば、体温が上昇したときに素早く多く汗をかくことができるようになります。
本来は汗が皮膚から気化することで熱を逃がします。
しかし、子どもたちは素早く多く汗がかけない代わりに、皮膚の血管を広げて熱を逃がそうとします。
そのためほっぺたが赤くなります。
汗をかく機能は思春期頃にしっかりとしてくるようですので、気長に待ちましょう。
汗をかく機能を発達させるために、無理に暑い部屋や屋外にいる必要はありません。
厳しい暑さの時はエアコンをつけて涼しくしてください。
特性のある子どもたちの中には、自分で体温調節をすることが苦手な子もいます。
暑い真夏なのに長袖を着ようとしたりするので、本人から訴えが無くても衣服の調整やこまめな水分補給を心がける必要があります。
訴えが無いからと放置してしまうと、突然熱中症になることもあるので気を付けてください。
スパーク西京極でも、屋外での療育を行なっていますが、水分補給と日影での休憩は頻繁にとるようにしています。
他にも保冷剤を持参して、火照った体を冷ますケアも行うようにしています。
今年も暑い夏がまたやってきますが、元気に乗り越えましょうね!