日常のお子様のご様子を伺うと、「気付けばなにかを噛んでいて」とお話しされる保護者の方がいらっしゃいます。お洋服の襟を噛んですぐにお洋服がダメになってしまったり、爪を噛んでしまって全然爪が伸びてこなかったり・・・
注意してもなかなかやめられなかったり、お子様自身も気付いていないくらい無意識の行動であることもあります。
では、どうして子ども達は何かを口に入れて噛んでしまうのでしょうか。
指しゃぶりの延長にあり、気持ちを落ち着かせる精神安定剤のような役割をもつものです。3歳頃には減ってくるとされていますが、その後代わりのものを口に入れるようになり、それが癖となって長く続くことがあります。特にてもちぶさたになってしまったとき、反対に何かに集中しているときに無意識に口に入れていることが多いです。
これは子ども自身が癖を自覚して直そうと意識することで直ることが多いので、無意識のうちに行っている時は気付けるような声掛けをしてあげるのが良いかと思います。
欲求不満や緊張、不安を感じている時に見られるものです。最近物をかむようになったな、と気づいたときには一度、物をかみ始めた時期に大きな環境の変化や緊張、不安を抱えてしまうような出来事が無かったかを考えてみるのも良いかも知れません。
不安や緊張が原因と思われる噛み癖が出ているときにはあまり細かいことを注意したり叱ったりせず、子どもがリラックスできる環境を作ってあげることが大切になります。何かを噛んでいても「噛まないで」と声をかけるよりも他のことに注意を向けてあげることが必要です。
ストレスの高い時に見られる行動でもあるので、ストレスを下げて安心させてあげるような関わりをしてあげることも効果的です。
〇子どもと肯定的なコミュニケーションをとる
子どもの話に向き合い、気持ちに共感してあげる。できないことを叱るのではなく、できたことを褒めてあげる
〇子どもとのスキンシップを増やす
ギュっとし抱きしめたり、手を繋いだりする機会を増やす
〇子どもが好きなことをさせてあげる
子どもの夢中になれる遊びや、集中できることを大切にする
〇子どものストレスの原因を見つける
日常生活を見直し、子どもにとって安心できる環境を作ってあげる
発達に特性のある子どもたちの中には、『感覚鈍麻』という特徴がみられることがあります。感覚鈍麻の子ども達は日常的に受ける刺激が少ないため、自分から感覚刺激を入れようと手をパチパチと叩いたり、グルグルと回ってみたり、自分を叩いてみたり、触り心地の良い物を触ることがあります。
口は身体の器官の中でも特に敏感な部位であるとされていて、小さな子どもは口の中に物を入れて様々な情報を判断することがあります。噛んだり口に入れたり唇に触れさせたりすることで様々な情報を判断することがあります。
このような場合には、本人の意識を口内刺激から逸らし、他の物に意識を向けるよう働きかけてあげるのが良いです。
やることがなく暇になった場合、発達に特性のある子どもたちは時間を潰す方法を自分で考えるのが難しい場合があります。そのため、とりあえず自分の好きなことやできることとして感覚遊びをしようとした結果、その場にある物を噛んでしまったり、指しゃぶりをする子どもがいます。
原因としては暇な時間を潰す手段がないことなので、噛み癖のある子でもやることをきちんと伝えたり、次から次へと刺激を与えることで暇な時間をなくしてあげると噛み癖が出なくなる、ということもよくあります。
急な予定変更があると、癇癪を起こしてしまったり、パニックになったりしてしまう子も少なくありません。
今回は一般的によくあるその原因と対処の仕方について書いておこうと思います。
急な予定変更でパニックに陥ってしまう子たち。
その原因の1つとして考えられているのが、見通しに対しての不安です。
見通しを立てるのが苦手な場合、急な予定変更によってどうなるかをすぐに理解出来ない場合があります。
できるだけ早く予定の変更を伝えてあげることができればベストですが、毎回そうもいかないと思います。
例えば、急な天候の悪化で予定が変更になるなど。
大人でも急な予定変更を受け入れがたい時がありますが、まだまだ発達段階にある子どもたちにとってはもっと受け入れ難い場合があります。
順番や日々のルーティンなどに強いこだわりがある場合や、予定変更が起こるまでに思い通りいかないことが積もりに積もっている場合、癇癪やパニックを起こしてしまうことがあります。
もちろんこれら以外にも急な予定変更で癇癪になる原因は様々あると思われますが、一般的に言われる対処法をご紹介していきます。
急に予定が変更になって見通しが立たない不安がある場合、予定が変わったことだけを伝えるのではなく、新しい予定ではどんなことをするのか、その後はどうするのかなどを丁寧に伝えて見通しを立てるお手伝いをしてあげる必要があると言われています。
予定表やイラストなど、視覚的にわかりやすい物を事前に用意しておくことも効果的です。
急な予定変更の可能性があらかじめ分かっている場合は、B案も伝えておきます。
「お天気だったら公園に行こう」「もしも雨が降ってきたら、お家で遊ぼう」などです。
もしも当日に雨が降ってきて遊びに行けなくなった場合でも、見通しが立っている分、受け入れやすくなります。
離れるといっても完全に放置するわけではなく、少し距離をとって見守ります。
パニック中のお子さんに対して、大人も感情的に伝えてしまうとパニックに拍車がかかってしまう場合が多いです。
とはいえ、冷静に理性に働きかけるような言葉で言って聞かせようとしても、パニックの時の子どもの耳には入りにくいです。
大人の私たちはいずれかの方法を取りがちですが、逆効果になる可能性もあります。
だからこそ少し距離をとって、こちらが冷静になる必要があります。
また、子どもがパニックを抑えるにはある程度の時間もかかります。
ただし、癇癪のせいで怪我してしまうようなことがある場合は止めてあげれるように構えておいてください。
もしも可能であれば落ち着ける場所に連れていってあげて、落ち着きが出てきてから改めてお話をするのが効果的です。
どのお子さんにも必ず効果がある方法とは言えませんが、もしも癇癪やパニックになってしまった際の参考になれば幸いです。
お子様が癇癪を起こしてしまった時にどうすれば落ち着けることができるのか。
これは私たち療育のスタッフにとっても試行錯誤の日々ですし、保護者の方にとっても同じだと思います。
なんといっても子ども一人一人で性格も違いますし、その日の状態や癇癪を起こしてしまう原因も毎回違います。
ですので、「絶対これが良い!」という答えはないと思います。
でも、「この方法が良かった」と保護者の皆様からよく聞く対応や、療育の現場の中で効果が出やすかった方法はあります。
今回はその一つである「その場から離れてみる」という方法について書いておこうと思います。
癇癪を起こしてしまった場合、泣きじゃくったり大きな声でじたばたとしてしまったり。
何かこちらから言うと、余計と癇癪がエスカレートしてしまったり。
悪循環に陥ってしまう、、、。
癇癪を起こしている時の子どもたちの頭の中は大洪水。
声を掛けても何をしても、処理しきれずに余計とパニック。
その時に、一旦その場から離れて、別の場所に連れて行ってあげることで話がしやすくなることがあります。
可能であれば静かな場所や、視覚からの情報が少ない場所がおすすめです。
お家であれば、癇癪を起こしたのとは別の部屋に行く。
外出先なら、人が余りいない所に行くなどです。
療育に来てくださる子たちも、癇癪を起こしてしまった時に衝立をしてあげると比較的落ち着きやすかったりします。
耳や目からの情報を可能な範囲で減らします。
その中で少しクールダウンできてきたらお話をしてみるという流れです。
これでクールダウンに成功すると、子どもが自らその場から離れてクールダウンしたというお話しもあったりします。
上手くいくかどうかは個人差がありますが、手段の一つとして試していただければ良いかなと思います。
「力加減ができなくて」というお悩みをスタジオでもよく聞きます。
子ども達は遊びや日々の生活、他者との関りの中で力加減を知っていきます。
その中で一般的に言われていることが、「100%を知ること」です。
力加減ができるようになることは、個人単位での心身の成長だけでなく他の子と遊んでいく中でも大切になってきます。
工作や食事などの細かい作業をする際などに、力加減が出来ていないと上手くいきません。
お友達との関りでも、毎回強い力で触れ合っていると上手く関わることがで難しくなります。
好きなアニメのごっこ遊びなのに本気で叩いてしまうなどはよくある例かと思います。
力加減を少しずつできるようになっていくことで、できることも増え、さらに発達も進んでいきます。
力加減を覚えるにはまず自分の出せる力の100%を知る必要があります。
上限を知らない状態で30%、50%などに調整しようとしても難しいです。
スパーク西京極でも力加減が苦手な子たちは少なくありません。
もちろんその都度「そっとだよ」と声を掛けたりお手本を示したりはします。
ですが、それと同じくらい、思いっきり体を動かして楽しく遊んでもらうことも大切にしています。
特に強く押したり引いたり、思いっきりジャンプしたり、投げたり、全身を大きく使うことで100%の力を出す遊びを十分に満たしてあげます。
「そっと握ってね」と伝えることも必要ですが、子どもたちにとっては全力で握る経験も同等に大切なことです。
力加減だけでなく、スピードも同じです。
そっと歩く、止まる、ゆっくり走る。
それができるようになるためには、全力で走る経験が必要です。
思いっきり走るとどれくらいのスピードが出るのか。
それがわからないと、「ゆっくり」がどれくらいかは分かりにくいです。
調整する力を伸ばそうと、調整する練習ばかりをするのではなく、成長と共に強くなっていく100%の力を知るためにも全力で遊べる機会をたくさん作っていきたいものですね。
スパーク運動療育では遊びを通じた運動とやりとりを中心に子ども達の発達を促しています。
その中でも褒めることと、自発的に体を動かすことを大切にしています。
どうしてそれが大切なのか、脳科学の観点から簡単にお話ししていこうと思います。
運動の発達を支える脳の領域は2つ。
大脳基底核と小脳です。
小脳は以前もブログに書きましたので、併せてご覧ください。
大脳基底核は運動学習を担う領域の1つで、特に報酬への反応が大きいです。
脳にあるドーパミン(嬉しい感情やご褒美で分泌)というホルモンの8割近くがこの大脳基底核に集まると言われています。
大脳基底核は運動の良し悪しを、ドーパミンの分泌具合で判断しています。
運動が出来た直後に、子ども自身が「嬉しい」と思えること、そして褒めという大人やお友達からのご褒美がもらえられることで活性化し、運動を定着させていきます。
スパークでは褒めることをとても大切にしています。
褒める効果は運動の学習以外にも自己肯定感をあげることや、さらなる行動を促す原動力になるということが分かっています。
スパークで褒めるメインの理由はそっちなのですが、実は運動学習の面でも役立っています。
もう1つ運動学習に大きく関わっているのが小脳です。
小脳は失敗から学びます。
失敗した運動に対して調整して再度チャレンジしていく過程で活性化し、運動を学習していきます。
また、小脳は本人の自主性や創造性によるところも大きく、自発的な運動や遊びでさらに働きます。
スパークでは、子どもの「やってみたい」という気持ちや自由な発想を大切にしています。
その中で体を動かすことで、運動面での発達も促されていきます。
乳児期、幼児期の発達は保護者との愛着形成がベースになってきます。
子どもたちは保護してくれる大人の力が無ければ生きていくことは非常に難しいです。
そのため、養育者との関りから受ける影響はとても大きなものだと考えられます。
親や親代わりとなる人物との愛着形成が大切な理由について紹介していこうと思います。
子ども達は乳児期や幼児期に保護者との信頼関係を気付くことで「自分が生きていくこの社会は安心できるものだ」という感覚を持つようです。
最も身近な人間関係である保護者から、たくさんのスキンシップや言葉がけをしてもらうことでこの感覚が養われていきます。
保護者と子どもとの相互的なコミュニケーションを日々繰り返すことで、愛着が形成されていきます。
この形成された愛着は、その後の人生における人格形成や社会性と言われる部分にも大きな影響を与えることが分かってきています。
子どもが保護者に発生や接触で働きかけ、それに対して保護者が応答することで、子どもは保護者に対して安心して頼れる存在であると認識し、自信を持っていきます。
保護者からの働きかけ、子どもの働きかけに対する応答を大切にしていくことで愛着形成が進んでいきます。
子どもたちの心身の発達には、少なからず挑戦や困難が伴うため、「安心感」が必要になります。
体の発達であれば、重力や触覚刺激に対しての感覚が安心の材料になります。
心の発達には、前述したような「この社会は安心できるもの」という感覚もそうですし、「安全基地」としての保護者の存在も大切になってきます。
子どもは親が見守っている状況下で、遊びを通じて環境の探索であったり、物事への挑戦を行います。不安や恐怖などの感情に襲われると、避難場所として「安全基地」である保護者への接触を求めます。
スパークでも、遊びに挑戦を伴う時は、子ども達はお母さんやお父さんの所へ飛び込んでいく姿があります。
これは決して悪いことではありません。
むしろ、きちんと安全基地があるからこそ心身の発達が可能になります。
スパーク西京極では保護者にも療育に同席していただいております。
可能な範囲でかまいませんので、遊びに加わっていただくと、子ども達はとても嬉しく、発達にもプラスに働きます。
遊びに加わっていただかなくとも、子ども達が安全基地として保護者を求めた際に応答を返してあげるだけでも、有意義な時間を過ごしていただけます。
お子様がどれだけグルグルと回転しても目が回らない姿を見て不思議に思うことはありませんか?
何回転もしているのに真っ直ぐ歩ける、目が回らないからグルグルと回転して遊ぶことが好き。
療育をしている私達としても、子どもたちのそんな姿をよく目にします。
今回は目が全く回らない子の理由と、そんな子たちが積極的に取り組んでいきたい遊びを紹介します。
目が回らない子は前庭感覚が鈍感であったり未熟であったりすると言われています。
前庭感覚とは、耳の奥にある前庭器官(耳石器、三半規管)による感覚です。
前後左右あらゆる方向への頭(身体)の移動、傾き、加速などを感じる場所で、その情報と視覚や筋肉、関節からの情報を元に人間はバランスを保っています。
前庭感覚が未熟な子たちは姿勢保持や運動も苦手になりやすいと考えられています。
目が回らない子たちも、この前庭感覚に未熟さや鈍感さがあると考えられています。
前庭感覚と言っても、
耳石器とよばれる所で感じる直線方向への移動と、三半規管で感じる前後左右や回転があります。
目が回らない場合は特に三半規管に未熟さがあると考えられていますが、前庭感覚を全体的に刺激できるような遊びを積極的に取り組んでいくことが大切です。
揺れや不安定感のある遊びを積極的に取り入れていきたいです。
公園の遊具であれば、シーソーやブランコは揺れの刺激。
すべり台であれば前後への加速の刺激を入れて遊ぶことができます。
他にもグラグラする遊具などもおすすめです。
お子様によっては、遊具が怖い場合があるので、保護者が一緒に乗ってあげたり、小さなものからチャレンジすると良いと思います。
お家で出来る遊びなら、抱っこで様々なスピード(初めはゆっくり)、様々な方向にぐるぐると回してあげたり、保護者と関わって愛着を形成しながらも感覚を刺激できる遊びがおすすめです。
「運動面に不器用さがある」というお子様に関するご相談を受けることがよくあるので、運動発達に深く関わっている小脳についてご紹介します。
小脳は失敗から学ぶ脳の部位ですが、お子様によっては性格や特性、発達の段階の影響もあって失敗を嫌がる場合があります。
一度失敗してすぐに諦めてしまうと、どうしても成長はゆっくりになります。
スパーク西京極でもお子様達一人一人の「失敗」への向き合い方を日々試行錯誤しています。
小脳の働きと、小脳の発達を促すための「失敗をした時の対応」について書いていこうと思いますので
何か参考になればと思います。
小脳を始めとして、脳の働きにはまだまだ未知のところが多いですが、今のところ言われている小脳の働きを大きく分けると以下の2つです。
・バランス感覚
・運動機能の調節や記憶
実は大きさは大脳の10分の1程度ですが、神経細胞の大部分が小脳にあります。
ギュッと詰まっているイメージですね。
運動機能の調整もバランス感覚も、生まれてすぐに完璧に備わっているわけではありません。
運動経験を通じて発達していきます。
ではどんな運動経験が発達を促すかと言うと、「試行錯誤」する経験です。
例えば平均台遊び。
平均台から落ちるという失敗を繰り返す中で、「次はこうしてみよう」と考えます。
試行錯誤する中で、成功すると「できた!」という成功体験から、ちょうどよい動きの感覚を一度掴めば次から出来る様になっていきます。
この時の感覚を小脳が覚えます。
もちろんその後も失敗しないわけではありませんが。
小脳は試行錯誤の中で運動機能を高めていくわけですが、子ども達は性格や特性、発達の段階において失敗を極度に嫌うことがあります。
「失敗しそうなことはやろうとしない」
これも療育の際によく聞くお悩みです。
小脳には失敗が必要なのにどうすれば良いのだろう?
これはスパーク西京極でも日々試行錯誤を繰り返しているテーマです。
やはり、お子様一人一人でも違いますし、その日の調子なども違います。
その中でも大切にしているが、「失敗しても良い環境づくり」です。
・大人も失敗する(一緒に遊ぶスタッフも失敗します)
・「失敗しても良いよ」「またやれば良いよ」といった声掛け
・子どもの気がしっかりと活動に向いた時に行う
・挑戦したこと自体を褒める
・応援する
・失敗した時に暗い空気にならないように気を付ける
「失敗しても良い」という声掛けや、大人も失敗する姿を見せることは特に効果的な印象です。
こどもたちの気が向いていない時は無理強いしないこともです。
気が向いた時はすごく頑張ってくれますので。
今回の内容が何か関わりのヒントになれば幸いです。
集中して長い時間楽しんでくれるのは良いことだけれど、なかなかお終いができない。
スタジオでの療育後もよくあるシーンです。
「切り替え」ですね。
ここに難しさを抱える子は少なくありません。
というか、どの子でも初めはそうです。
どういった関わり方で切り替えを促していけば良いのか。
1人1人の性格や個性もあるので、私達も試行錯誤の日々ですが、その方法を少し紹介したいと思います。
遊びが盛り上がってきて夢中になっている時に「はい。今日はお終い。」と言われると、
大人でも少し気持ちの整理がつかないというか釈然としないというか。
子ども達は尚更です。
そうならないために、事前にお終いの時間や区切り(あと何回など)を伝えておきます。
これは子どもによります。
比較的すぐに切り替えられる子には5~10分前に声を掛けますし、
難しい子には遊びが始まる前に伝え、さらに休憩中などに複数回伝えていきます。
遊びの内容自体も、徐々に盛り上がりがクールダウンしていけるように工夫したりしています。
お終いとなると、片付けやお着替えなどをしないといけません。
でもこれがまた子どもにとって面白くないわけです。
どう考えても今までしていた遊びの方が楽しいわけですから、当然切り替えたくありません。
それを楽しい雰囲気にしてしまおうという作戦です。
ただこれは難しい。
スタジオではよく「玄関まで競争!」とか「お片付け競争!」とかスタッフが持ちかけますが、
お家で毎回毎回はできないと思いますし、スパークのスタッフほどに毎回楽しそうな雰囲気前回で接するのも難しいと思います。
できそうな時にたまにやってみてください。
「お終い」という言葉に対してネガティブなイメージを持っていると、終わりたくないのが子どもたち。
なので、していた遊びが終わることよりも、その先の楽しいことを強調して切り替えを促します。
「〇〇行くからお終いにしよう」なのか「〇〇行こう!その前にお片付けしなきゃね」では子どもの反応が違います。
ちょっとした言葉かけの工夫で変わってくるので、いろいろと試してみて下さいね。
「〇〇だけれど〇〇する」力が育ってくるのは4歳ごろですので、発達の段階としてその時期に来ている子には効果のある方法です。
すぐには「終わりたくないけれど、片付けする」にはならないかもしれませんが、
「まだ遊びたいよね。まだ遊んでいいけど、後3回にしよう」など、
子どもの遊びたい気持ちに寄り添いつつ、
少し段階を落とした提案をしてみることで切り替えが促されることもあります。
子ども達が大人と同じように全身を使ったり手先が器用になったりするためには、長い時間が掛かります。
身体機能の発達は「上から下」「中心から末端」と言われています。
「手先が不器用」というお悩みに対して、手先を使う細かい運動も大切ですが、体を大きく使う運動も手先の発達に関係しています。
1人1人の段階に合わせた遊びや関わりが効果的です。
子どもの身体機能の発達が「中心から末端」と言われてもイメージしにくいと思いますので、説明します。
一番わかりやすいのは赤ちゃんです。
始めは首が座るだけだったのが、寝返り、お座りに発展します。
徐々に末端が成長し始め、腕、脚が発達し始めるとずりばいやハイハイをします。
更に発達が下、末端へ進むことで立つこと、歩くことができるようになります。
首から始まって最後は足(上から下)。
胴体の動きから手足の動きへ(中心から末端)。
このようになっています。
この順番は立って歩けるようになる段階で終わるわけではありません。
成熟するまで続いていきます。
手先が上手に使えるまでの「中心から末端」の経路を見ていきます。
胴体と腕が繋がっているところ(肩)の動きが自由になる
↓
肘の曲げ伸ばしが自由になる
↓
手首の動きが自由になる
↓
手を握る、開く動きが自由になる(力がつく)
↓
指先を自由に使えるようになる
段階がもっとも分かりやすいのがお絵かきです。
腕全体で殴り描きするような段階は、肩や肘がメインです。
細かい線などは無理だけれど、おおざっぱになぞったりできるようになってくると少しずつ手首も使えるように。
指先を使えるようになってくると、細かい絵を描けるようになってきます。
「手先が不器用だから、手先を使う細かい遊びをする」
これも大切です。
できないからといって経験を奪ってしまうことは良くないからです。
それと並行して、手のひらは自由自在に力を調整しながら握ったり開いたりできるかを確認したいところ。
もしそれがまだなら、クマさん歩き、手押し車、
他にも手押し相撲、引っ張りあいっこ、鉄棒にぶら下がり、ジャングルジムといった遊びを積極的に取り入れたいところです。
意識的に手のひらを開くこと、握ることを繰り返すことで、指先の前段階である手のひらの発達を促すことができます。
ふにゃふにゃっと握っている場合は、「ぎゅーだよ」とか「パーだよ」と言った声掛けや実際に手をひらいて教えてあげることも効果的です。
「開く」「握る」といった言葉は子どもにとって分かりにくいので、「ギュー」などの擬音語+触れてあげることの方が伝わりやすいです。