100%を知っているから加減が出来る

「力加減ができなくて」というお悩みをスタジオでもよく聞きます。

子ども達は遊びや日々の生活、他者との関りの中で力加減を知っていきます。

その中で一般的に言われていることが、「100%を知ること」です。


力加減がなぜ大切?

力加減ができるようになることは、個人単位での心身の成長だけでなく他の子と遊んでいく中でも大切になってきます。

工作や食事などの細かい作業をする際などに、力加減が出来ていないと上手くいきません。

お友達との関りでも、毎回強い力で触れ合っていると上手く関わることがで難しくなります。

好きなアニメのごっこ遊びなのに本気で叩いてしまうなどはよくある例かと思います。


力加減を少しずつできるようになっていくことで、できることも増え、さらに発達も進んでいきます。


まずは思いっきり体を動かすことから

力加減を覚えるにはまず自分の出せる力の100%を知る必要があります。

上限を知らない状態で30%、50%などに調整しようとしても難しいです。


スパーク西京極でも力加減が苦手な子たちは少なくありません。

もちろんその都度「そっとだよ」と声を掛けたりお手本を示したりはします。

ですが、それと同じくらい、思いっきり体を動かして楽しく遊んでもらうことも大切にしています。


特に強く押したり引いたり、思いっきりジャンプしたり、投げたり、全身を大きく使うことで100%の力を出す遊びを十分に満たしてあげます。


「そっと握ってね」と伝えることも必要ですが、子どもたちにとっては全力で握る経験も同等に大切なことです。


スピードも同じ

力加減だけでなく、スピードも同じです。

そっと歩く、止まる、ゆっくり走る。

それができるようになるためには、全力で走る経験が必要です。


思いっきり走るとどれくらいのスピードが出るのか。

それがわからないと、「ゆっくり」がどれくらいかは分かりにくいです。


調整する力を伸ばそうと、調整する練習ばかりをするのではなく、成長と共に強くなっていく100%の力を知るためにも全力で遊べる機会をたくさん作っていきたいものですね。




運動学習に必要な褒めと自発的な運動

スパーク運動療育では遊びを通じた運動とやりとりを中心に子ども達の発達を促しています。

その中でも褒めることと、自発的に体を動かすことを大切にしています。

どうしてそれが大切なのか、脳科学の観点から簡単にお話ししていこうと思います。


運動の発達を支える脳の領域は2つ。

大脳基底核と小脳です。


小脳は以前もブログに書きましたので、併せてご覧ください。


ご褒美大好き大脳基底核

大脳基底核は運動学習を担う領域の1つで、特に報酬への反応が大きいです。

脳にあるドーパミン(嬉しい感情やご褒美で分泌)というホルモンの8割近くがこの大脳基底核に集まると言われています。

大脳基底核は運動の良し悪しを、ドーパミンの分泌具合で判断しています。


運動が出来た直後に、子ども自身が「嬉しい」と思えること、そして褒めという大人やお友達からのご褒美がもらえられることで活性化し、運動を定着させていきます。


スパークでは褒めることをとても大切にしています。

褒める効果は運動の学習以外にも自己肯定感をあげることや、さらなる行動を促す原動力になるということが分かっています。

スパークで褒めるメインの理由はそっちなのですが、実は運動学習の面でも役立っています。


失敗と自主性が大好きな小脳

もう1つ運動学習に大きく関わっているのが小脳です。

小脳は失敗から学びます。

失敗した運動に対して調整して再度チャレンジしていく過程で活性化し、運動を学習していきます。


また、小脳は本人の自主性や創造性によるところも大きく、自発的な運動や遊びでさらに働きます。

スパークでは、子どもの「やってみたい」という気持ちや自由な発想を大切にしています。

その中で体を動かすことで、運動面での発達も促されていきます。




保護者との愛着形成

乳児期、幼児期の発達は保護者との愛着形成がベースになってきます。

子どもたちは保護してくれる大人の力が無ければ生きていくことは非常に難しいです。

そのため、養育者との関りから受ける影響はとても大きなものだと考えられます。


親や親代わりとなる人物との愛着形成が大切な理由について紹介していこうと思います。


この社会は安心できるものだと知る

子ども達は乳児期や幼児期に保護者との信頼関係を気付くことで「自分が生きていくこの社会は安心できるものだ」という感覚を持つようです。

最も身近な人間関係である保護者から、たくさんのスキンシップや言葉がけをしてもらうことでこの感覚が養われていきます。


保護者と子どもとの相互的なコミュニケーションを日々繰り返すことで、愛着が形成されていきます。

この形成された愛着は、その後の人生における人格形成や社会性と言われる部分にも大きな影響を与えることが分かってきています。


子どもが保護者に発生や接触で働きかけ、それに対して保護者が応答することで、子どもは保護者に対して安心して頼れる存在であると認識し、自信を持っていきます。

保護者からの働きかけ、子どもの働きかけに対する応答を大切にしていくことで愛着形成が進んでいきます。


心身の発達には安心感が必要

子どもたちの心身の発達には、少なからず挑戦や困難が伴うため、「安心感」が必要になります。

体の発達であれば、重力や触覚刺激に対しての感覚が安心の材料になります。

心の発達には、前述したような「この社会は安心できるもの」という感覚もそうですし、「安全基地」としての保護者の存在も大切になってきます。


子どもは親が見守っている状況下で、遊びを通じて環境の探索であったり、物事への挑戦を行います。不安や恐怖などの感情に襲われると、避難場所として「安全基地」である保護者への接触を求めます。

スパークでも、遊びに挑戦を伴う時は、子ども達はお母さんやお父さんの所へ飛び込んでいく姿があります。

これは決して悪いことではありません。

むしろ、きちんと安全基地があるからこそ心身の発達が可能になります。


保護者も遊びに

スパーク西京極では保護者にも療育に同席していただいております。

可能な範囲でかまいませんので、遊びに加わっていただくと、子ども達はとても嬉しく、発達にもプラスに働きます。

遊びに加わっていただかなくとも、子ども達が安全基地として保護者を求めた際に応答を返してあげるだけでも、有意義な時間を過ごしていただけます。


どれだけグルグル回っても目が回らない子?

お子様がどれだけグルグルと回転しても目が回らない姿を見て不思議に思うことはありませんか?

何回転もしているのに真っ直ぐ歩ける、目が回らないからグルグルと回転して遊ぶことが好き。


療育をしている私達としても、子どもたちのそんな姿をよく目にします。


今回は目が全く回らない子の理由と、そんな子たちが積極的に取り組んでいきたい遊びを紹介します。


「全然目が回らない」は前庭感覚が未熟か鈍感

目が回らない子は前庭感覚が鈍感であったり未熟であったりすると言われています。

前庭感覚とは、耳の奥にある前庭器官(耳石器、三半規管)による感覚です。

前後左右あらゆる方向への頭(身体)の移動、傾き、加速などを感じる場所で、その情報と視覚や筋肉、関節からの情報を元に人間はバランスを保っています。


前庭感覚が未熟な子たちは姿勢保持や運動も苦手になりやすいと考えられています。

目が回らない子たちも、この前庭感覚に未熟さや鈍感さがあると考えられています。


前庭感覚と言っても、

耳石器とよばれる所で感じる直線方向への移動と、三半規管で感じる前後左右や回転があります。

目が回らない場合は特に三半規管に未熟さがあると考えられていますが、前庭感覚を全体的に刺激できるような遊びを積極的に取り組んでいくことが大切です。


どんな遊びを積極的にしていけば良い?

揺れや不安定感のある遊びを積極的に取り入れていきたいです。

公園の遊具であれば、シーソーやブランコは揺れの刺激。

すべり台であれば前後への加速の刺激を入れて遊ぶことができます。

他にもグラグラする遊具などもおすすめです。


お子様によっては、遊具が怖い場合があるので、保護者が一緒に乗ってあげたり、小さなものからチャレンジすると良いと思います。


お家で出来る遊びなら、抱っこで様々なスピード(初めはゆっくり)、様々な方向にぐるぐると回してあげたり、保護者と関わって愛着を形成しながらも感覚を刺激できる遊びがおすすめです。


失敗から学ぶ小脳と失敗しても良い環境づくり

「運動面に不器用さがある」というお子様に関するご相談を受けることがよくあるので、運動発達に深く関わっている小脳についてご紹介します。

小脳は失敗から学ぶ脳の部位ですが、お子様によっては性格や特性、発達の段階の影響もあって失敗を嫌がる場合があります。

一度失敗してすぐに諦めてしまうと、どうしても成長はゆっくりになります。


スパーク西京極でもお子様達一人一人の「失敗」への向き合い方を日々試行錯誤しています。

小脳の働きと、小脳の発達を促すための「失敗をした時の対応」について書いていこうと思いますので

何か参考になればと思います。


小脳は運動を学習する場所

小脳を始めとして、脳の働きにはまだまだ未知のところが多いですが、今のところ言われている小脳の働きを大きく分けると以下の2つです。


・バランス感覚

・運動機能の調節や記憶


実は大きさは大脳の10分の1程度ですが、神経細胞の大部分が小脳にあります。

ギュッと詰まっているイメージですね。


運動機能の調整もバランス感覚も、生まれてすぐに完璧に備わっているわけではありません。

運動経験を通じて発達していきます。


ではどんな運動経験が発達を促すかと言うと、「試行錯誤」する経験です。

例えば平均台遊び。


平均台から落ちるという失敗を繰り返す中で、「次はこうしてみよう」と考えます。

試行錯誤する中で、成功すると「できた!」という成功体験から、ちょうどよい動きの感覚を一度掴めば次から出来る様になっていきます。

この時の感覚を小脳が覚えます。


もちろんその後も失敗しないわけではありませんが。


失敗しても良い環境づくり

小脳は試行錯誤の中で運動機能を高めていくわけですが、子ども達は性格や特性、発達の段階において失敗を極度に嫌うことがあります。

「失敗しそうなことはやろうとしない」

これも療育の際によく聞くお悩みです。


小脳には失敗が必要なのにどうすれば良いのだろう?


これはスパーク西京極でも日々試行錯誤を繰り返しているテーマです。

やはり、お子様一人一人でも違いますし、その日の調子なども違います。


その中でも大切にしているが、「失敗しても良い環境づくり」です。


・大人も失敗する(一緒に遊ぶスタッフも失敗します)

・「失敗しても良いよ」「またやれば良いよ」といった声掛け

・子どもの気がしっかりと活動に向いた時に行う

・挑戦したこと自体を褒める

・応援する

・失敗した時に暗い空気にならないように気を付ける


「失敗しても良い」という声掛けや、大人も失敗する姿を見せることは特に効果的な印象です。

こどもたちの気が向いていない時は無理強いしないこともです。

気が向いた時はすごく頑張ってくれますので。


今回の内容が何か関わりのヒントになれば幸いです。

お終いの時間の切り替え

集中して長い時間楽しんでくれるのは良いことだけれど、なかなかお終いができない。

スタジオでの療育後もよくあるシーンです。


「切り替え」ですね。

ここに難しさを抱える子は少なくありません。

というか、どの子でも初めはそうです。


どういった関わり方で切り替えを促していけば良いのか。

1人1人の性格や個性もあるので、私達も試行錯誤の日々ですが、その方法を少し紹介したいと思います。


①事前にお終いの時間や区切りを伝えておく

遊びが盛り上がってきて夢中になっている時に「はい。今日はお終い。」と言われると、

大人でも少し気持ちの整理がつかないというか釈然としないというか。

子ども達は尚更です。


そうならないために、事前にお終いの時間や区切り(あと何回など)を伝えておきます。

これは子どもによります。

比較的すぐに切り替えられる子には5~10分前に声を掛けますし、

難しい子には遊びが始まる前に伝え、さらに休憩中などに複数回伝えていきます。

遊びの内容自体も、徐々に盛り上がりがクールダウンしていけるように工夫したりしています。


②片付けやお着替えを楽しく

お終いとなると、片付けやお着替えなどをしないといけません。

でもこれがまた子どもにとって面白くないわけです。


どう考えても今までしていた遊びの方が楽しいわけですから、当然切り替えたくありません。

それを楽しい雰囲気にしてしまおうという作戦です。

ただこれは難しい。


スタジオではよく「玄関まで競争!」とか「お片付け競争!」とかスタッフが持ちかけますが、

お家で毎回毎回はできないと思いますし、スパークのスタッフほどに毎回楽しそうな雰囲気前回で接するのも難しいと思います。

できそうな時にたまにやってみてください。


③お終いという言葉を使わずに接してみる

「お終い」という言葉に対してネガティブなイメージを持っていると、終わりたくないのが子どもたち。

なので、していた遊びが終わることよりも、その先の楽しいことを強調して切り替えを促します。


「〇〇行くからお終いにしよう」なのか「〇〇行こう!その前にお片付けしなきゃね」では子どもの反応が違います。

ちょっとした言葉かけの工夫で変わってくるので、いろいろと試してみて下さいね。


④〇〇だけれど〇〇する

「〇〇だけれど〇〇する」力が育ってくるのは4歳ごろですので、発達の段階としてその時期に来ている子には効果のある方法です。


すぐには「終わりたくないけれど、片付けする」にはならないかもしれませんが、

「まだ遊びたいよね。まだ遊んでいいけど、後3回にしよう」など、

子どもの遊びたい気持ちに寄り添いつつ、

少し段階を落とした提案をしてみることで切り替えが促されることもあります。


手先が不器用【身体の発達は中心から末端へ】

子ども達が大人と同じように全身を使ったり手先が器用になったりするためには、長い時間が掛かります。

身体機能の発達は「上から下」「中心から末端」と言われています。


「手先が不器用」というお悩みに対して、手先を使う細かい運動も大切ですが、体を大きく使う運動も手先の発達に関係しています。

1人1人の段階に合わせた遊びや関わりが効果的です。


上から下、中心から末端へ

子どもの身体機能の発達が「中心から末端」と言われてもイメージしにくいと思いますので、説明します。


一番わかりやすいのは赤ちゃんです。

始めは首が座るだけだったのが、寝返り、お座りに発展します。

徐々に末端が成長し始め、腕、脚が発達し始めるとずりばいやハイハイをします。

更に発達が下、末端へ進むことで立つこと、歩くことができるようになります。


首から始まって最後は足(上から下)。

胴体の動きから手足の動きへ(中心から末端)。


このようになっています。

この順番は立って歩けるようになる段階で終わるわけではありません。

成熟するまで続いていきます。


手先が上手に使えるには?

手先が上手に使えるまでの「中心から末端」の経路を見ていきます。


胴体と腕が繋がっているところ(肩)の動きが自由になる

肘の曲げ伸ばしが自由になる

手首の動きが自由になる

手を握る、開く動きが自由になる(力がつく)

指先を自由に使えるようになる


段階がもっとも分かりやすいのがお絵かきです。

腕全体で殴り描きするような段階は、肩や肘がメインです。

細かい線などは無理だけれど、おおざっぱになぞったりできるようになってくると少しずつ手首も使えるように。

指先を使えるようになってくると、細かい絵を描けるようになってきます。


どんな遊びをする?

「手先が不器用だから、手先を使う細かい遊びをする」

これも大切です。

できないからといって経験を奪ってしまうことは良くないからです。


それと並行して、手のひらは自由自在に力を調整しながら握ったり開いたりできるかを確認したいところ。

もしそれがまだなら、クマさん歩き、手押し車、

他にも手押し相撲、引っ張りあいっこ、鉄棒にぶら下がり、ジャングルジムといった遊びを積極的に取り入れたいところです。


意識的に手のひらを開くこと、握ることを繰り返すことで、指先の前段階である手のひらの発達を促すことができます。

ふにゃふにゃっと握っている場合は、「ぎゅーだよ」とか「パーだよ」と言った声掛けや実際に手をひらいて教えてあげることも効果的です。

「開く」「握る」といった言葉は子どもにとって分かりにくいので、「ギュー」などの擬音語+触れてあげることの方が伝わりやすいです。


遊びの中で何が成長するの?

スパーク西京極では、子どもたちの気持ちに寄り添いながら沢山遊ぶことで療育をしています。

というのも、子ども達は遊びの中で学び、成長していくからです。


では具体的に遊びの中でどのようなことが成長していくのでしょうか。



遊びと自己効力感

親や先生からの働きかけで、大小さまざまな心身の機能をつかうことも必要なことです。

それとはまた違って、自発的な要素が強い「遊び」で心身機能を使うことにも大きな意味があります。


遊びの中で子ども達は周囲の環境に働きかけていきます。

周囲の環境は、遊び相手の友人や大人、他にも遊具やおもちゃなどです。

遊び相手に働きかけると会話や行動などの反応が返ってきます。

遊具や玩具に働きかけると、物が動いたり、音がしたりといった反応が返ってきます。


こういった経験を通じて、子ども達は「自分が周りの環境を変える力を持っている」ということを知っていきます。

こういった感覚を「自己効力感」と言います。

自己効力感が高まると、積極的に物事に取り組んだりすることができます。


遊びと精神面の発達

遊びの中で考え、他者と関わっていく中で次のような発達が促されていきます。


〇社会性

遊びの中で他者と衝突をしたり、助け合ったりするなかで社会性を身に付けます。

他者と共に活動していくことの喜びや連帯感を知っていきます。


〇道徳性

思いやりや正義感、善悪の判断も遊びで知っていきます。

遊びの中のルールや世界観を通じて自然と身についていきます。


〇知性

物事を比較したり、判断したり、創造したり。

自由で偶発的な「遊び」という環境だからこそ、自ら考えていくことを必要とします。


〇情緒

欲求を満たしたり、我慢したりといった繰り返し。

遊びの中での自由な感情表現を通じて情緒が育っていきます。


運動面の発達

遊びは多かれ少なかれ運動を伴います。

走り回るような大きく体を使う遊びから、工作などの細かい運動を伴う遊びまで。

そこで知っていく体の使い方は、人生のあらゆる場面で役立っていきます。


スパーク西京極では楽しく遊び込むことを通じてお子様一人一人の全体的な心身の発達を促しています。

子どもがついてしまうウソと対応

幼児期の子ども達は発達の過程で、悪気はなくウソをついてしまうことがあります。

真実と異なることを言うので、大人のこちら側としては対応に困ってしまうこともあるかもしれません。


ですが、幼児期の子どもが付くウソは大人が悪意や忖度を持ってつくウソとは質の異なるものであることも多いです。

その理由を知っていれば、少し対応にも余裕が出てくるのではないでしょうか。


①まだまだ未熟な子どもの悩

幼児期になり、言葉も達者になると「ウソ」を言うようになります。

その理由の1つとして脳の発達がまだ大人と比べて未熟だから。


大人顔負けにしっかり話すので、見かけ上では分かりませんがまだまだ子どもの悩、とくに記憶に関係する場所は未熟です。

なので、過去のエピソードを聞くと、順番や活動が真実と異なる場合があります。

まだ大人ほど多くの物事を一度に記憶しておくことができません。

その記憶の量の差が原因で結果的に「ウソ」になることがあります。


例えば、「遠足で最初は何をしたの?」と聞くと、

実際は最初に遊具で遊んだにも関わらず、「お弁当を食べた」と答えたり。

お弁当の印象が強かったので、それをよく覚えていたということが考えられます。


記憶が大人ほどではないと言うことを踏まえておくと寛容に接することができそうですね。


②話をつなげるためのウソ

子どもたちは、大人と比べるとまだまだお話をする力も未熟です。

筋道を立ててストーリーを語ることも未熟ですし、まだ大人程の語彙力もありません。


それでもお話を繋げていこうと子どもなりに頑張る中で、

大人からすると「ウソ」に聞こえてしまうことを言ってしまうことがあります。


話しを繋げるためにウソを補助的に、本人は悪気無く、使ってしまいます。

対応ですが、まずは話しを遮らず聞いてあげることで、「話したい」という子どもの気持ちを大切にします。

話し言葉は話す中で育ちます。

そして筋道を立てて話すことは、書き言葉の習得にも繋がります。

話したい気持ちを大切にすることで後の発達に繋がります。


③自分の身を守るためのウソ

「叱られたくない」という気持ちから、自分の身を守るために苦し紛れにつくウソもあります。

明らかにお漏らしをしているのに、「してない」。

明らかにお部屋を片付けていないのに、「片付けた」。


バレバレですから、大人のこちらとしては余計に怒ってしまったり、問い詰めてしまったりしそうになるかもしれません。

しかし、それをしてしまうと余計と「身を守るためのウソ」が助長されてしまいます。

子どもなりに「やっちゃった」と思っているわけなので、気持ちを察して代弁するような関わりが良いです。


④現実と願望を混同していることもある

自分の願望と現実とが混同している場合もあります。


例)

現実:友達の玩具を自分が取った

願望:友達が貸してくれる

発言:「〇〇くんが貸してくれた」


この時も、頭ごなしに怒るだけではなく「貸して欲しかった」という気持ちへの代弁をしつつ、ある程度優しく見守ってあげます。

年齢と共に徐々に願望と現実とが区別てきるようになっていきます。


⑤ウソをつけることも発達の一つ

ウソをつけることも発達の1つです。

それは遊びや普段のやりとりの中にも垣間見ることができます。

ウソをつける、ウソを理解できるということは冗談を楽しめることに繋がります。



「え?今背中触った?笑」

「ううん、僕じゃいよ(ニヤニヤ)」

「ほんまに~?笑」


みたいなやりとりを楽しめるのもウソを理解しているから。


ウソをつくようになったことをネガティブとだけ捉えず、

「発達が進んだのかな」とポジティブな面でも捉えてみるのもいいかもしれませんね。



お気に入りのタオルやぬいぐるみを手放せない?

子ども達の中には、お気に入りのタオルやぬいぐるみといった物を常に握りしめている場合があります。

外に行く時も常に手放せずにいると、大人としては「どうしてなんだろう?」と思ってしまいますが、

こういったタオルやぬいぐるみは「移行対象」と呼ばれるもので、無理に取り上げてしまうようなものではないと言われています。


今回はその移行対象について紹介していこうと思います。


心を安定させるために

「移行対象」とは小児科医・精神科医であるウィニコットが提唱したもので、

幼稚園や保育園に通い始める1~3歳の移行期に、母親の代わりに安心の源として持ち歩く客観的な物です。

初期の頃はタオルや毛布等の母親のぬくもりを思わせる柔らかい手触りのものが移行対象になります。


もう少し進むと、ぬいぐるみや人形などの人格を投影できるものを移行対象にします。


乳児期は何か不安なことや嫌なことがあっても、無条件に寄り添い、心のよりどころになってくれていた母親という存在があります。


しかし、幼稚園や保育園に入るころになると、常に母の存在があるわけではありません。

そんな状況下でも、心を落ち着ける為に毛布やぬいぐるみを安心の源にすると言われています。


母親から移行したわけですね。


自然に離れていくのを見守る

移行対象は発達と共に徐々に消えていくと言われており、無理に取り上げる必要はないとされています。

母がいない状況でも、子どもなりに心を落ち着けようとしている過程ですので、やさしく見守ってあげてください。