スパーク西京極の療育スタッフたちは、日々子どもたちの遊びの内容を複数の要素に分けて観察しています。
遊びの内容はある程度発達の段階とリンクしており、遊びを発展させていくことが発達にも繋がっていくと考えています。
ご家庭でお子様と遊ぶ時に今回ご紹介するような視点を持っていただけると、お子様との関わり方が少しわかりやすくなるかと思います。
【数】どれほど多くの種類の遊びに興味を持つか
【時間】1つの遊びに対する時間はどの程度か
【深さ】遊びは深まっていくか
こういったことをスタッフたちは見ています。
いずれも、多ければ良くて、少ないから悪いという意味ではありません。
例えば、ADHDと診断されていて、集中力や落ち着きが無い子。
遊びの数は多いけれど、1つ1つの時間は短く、深さもないという場合。
そういった場合、スタッフたちは1つ1つの遊びに様々なバリエーションを付けたり、興味が長続きするように面白おかしく関わったりして、時間と深さを伸ばすようなかかわりをしています。
面白おかしく関わることはなかなか難しいかもしれませんが、バリエーションを増やしてあげることは比較的しやすいかと思います。
例えばお家でよく子どもがしがちな、ソファーから跳ぶという遊びだと、以下のようなバリエーションがあります。
(ソファーから跳ぶことをお勧めしているわけではないので、禁止されているご家庭では他の遊びで考えてみて下さい。あくまでも例です。)
・跳ぶ目的地を決めてみる(クッションを飛び越える、クッションの上に立つ など)
・目的地の場所を変える(遠くしたり、近くしたり、右にしたり左にしたり)
・跳び方を変える(後ろ向き、片足、バンザイ、動物やヒーローのポーズ など)
・高さを変える(ジャンプで大人の手をタッチなど)
これだけでも跳ぶという遊びの中でバリエーションが10個近くに増えました。
この様に、遊びの刺激を変えてバリエーションを増やすことで、1つの遊びへの集中力を養ったり、「次はどうしようか」と考え、遊びを深めていく力を養っていくことができます。
また、大人から「こうやって深めるんだよ」という提示にもなり、子どもたちはそれを学んでいきます。
遊びの時間は長いけれど、興味の数が極端に少なく同じ遊び、動きばかりしている場合。
数と深さが少ないと判断できます。
そういった場合は、興味を持ってもらえるかどうかは分からないけれど、たくさんの遊びをこちらが提示してあげるという関わり方をしています。
空振りを恐れず、いろいろと提示しています。
その中で1つでも興味を持ってもらえれば、世界は広がります。
また、同じ遊びの中でも例1)のように、バリエーションをたくさん示してあげることも効果的です。
何に興味を持つかということについては、ある程度「数うちゃ当たる」という割り切る気持ちも大切です。
興味の数が少ない子には大人が楽しく遊んでいる姿をたくさん見せて、刺激をたくさん与えてあげてください。
遊びが深まると、コミュニケーションの内容も高度になっていきます。
ルールを決めたり相談をしたり。
相手と折り合いをつける機会が生まれたり、もめごとも生まれたり。
こういった機会はすべて発達に必要なハードルです。
そういった意味では、遊びの深さは3つの要素の中でも特に重要になってきます。
スパーク西京極では、1人のお子様に療育スタッフが1人以上付き、遊びを通じてコミュニケーションの力を育んでいきます。
1人では乗り越えられないハードルも、信頼できるスタッフと一緒ならきっと乗り越えられます。
発達に特性のある子どもたちには、「感覚特性」がある場合も少なくありません。
感覚特性とは、音や目から入る情報、触覚などに過剰な反応を示したり、鈍感だったりすることです。
例えば…
・車の音やドライヤーの音など特定の音が苦手
・人混みでパニックになりやすい
・痛みに対して鈍感
・触られることを非常に嫌がる
・繰り返しのジャンプや頭を振る行動
・姿勢を保っていられない など
感覚特性についてはまだ理解されていないことも多いそうですが、体が感じ取る様々な感覚を整理してまとめる「感覚統合」と深く関係していると考えられています。
今回は感覚について、
そして、感覚を統合していくにはどんな遊びをしていけば良いかを考えていきます。
私たち人間は、外からの刺激に対して複数の感覚情報を得て、脳で必要な情報を整理をして生きています。
ところが、この整理が上手くいかないと上述したようなトラブルにつながることがあります。
【感覚の種類】
①五感(触覚、聴覚、視覚、嗅覚、味覚)
②固有受容感覚(筋肉や関節の動きを感じとる感覚)
③前庭感覚(バランスを取る、スピードを感じる等)
絶えず入ってくるこれらの情報の整理や取捨選択をしているのが感覚統合です。
感覚が統合されることで、自分の体を適切に使いこなすことができたり、他者とのコミュニケーションを上手くとれたり、目の前の作業に集中することができたりします。
今このブログを読んでくださっている皆さんは、画面から入ってくる視覚に集中しているはず。
しかも、画面にある余計な場所(時間の表示や充電の表示)ではなく、文字に対して注意を向けています。
余計なものも視覚として入ってきていますが、そちらに注意を向けていません。
外から音が聞こえてきますが、BGM程度のもので、今は文字に集中しているので気になりません。
人と話すときも、その人を見るという視覚、声を聴くという聴覚に集中しています。
ところが、感覚が統合されていないと目に入るものすべてが同じくらいの重要度で見えたり、
聞こえる音がすべて同じ大きさで聞こえたり、
会話中に視覚や聴覚以外の他の感覚も同じくらい働いてしまって、コミュニケーションに集中できなくなったりします。
他にも、感覚統合が上手くいかないと、カクテルパーティー効果と言われる「騒がしい場所でも必要な情報だけを聞き取れる能力」が未熟だったりします。
人混みを歩いていて、全部同じ音量で音が入ってくると「うるさーーい!ムリー!」ってなりますよね。
運動面では、視覚と固有受容感覚、前庭感覚が上手く合わないと、動きがぎこちなかったり、よくこけたりします。
感覚は最初から完璧に統合されているわけではありません。
様々な経験を積む中で感覚刺激をたくさん受けて少しずつ統合されていきます。
発達に特性がある子たちは、このスピードがゆっくりだったり、特定の刺激への反応が強すぎて統合が上手くいかなかったりします。
感覚統合を進めるには、作業療法士(OT)さんによる感覚統合療法を受けてたり医療機関に相談するといった支援が効果的です。
それだけでなく、遊びを通じてたくさんの感覚刺激に触れる機会を作るということも効果的です。
感覚を統合していくうえで、まず基礎となるのは
触覚、固有受容感覚、前庭感覚、視覚と聴覚です。
遊びはこれらの感覚を自然と刺激してくれます。
◇ボールの投げあいっこ
目でボールを追いかけることで視覚を刺激し、コントロールしようとすることで固有受容感覚を刺激できます。
ボール投げでは重心の移動や全身の連鎖も学んでいくことが出来ます。
◇不安定な場所へ乗る
手を繋いでバランスボールやバランスディスク、くるくると回る勉強イスに座ったり乗ったりして回してあげる、様々なポーズを取ってみるなどは前庭感覚や固有受容感覚、視覚に刺激を与えることが出来ます。
四つ這いやうつぶせになったお父さんやお母さんの上に乗ってみることなども効果的。
他にも公園のグラグラする遊具(ブランコやシーソー)で遊んでみることもおすすめです。
◇ジャンプ
目的を持ったジャンプは固有受容感覚の刺激に効果的です。
線まで幅跳びをしてみたり、縄を飛び越えてみたり、高い所をジャンプでタッチしてみたり。
◇転がる
バンザイの状態で転がったり、膝を抱えてころがったりといった遊びは前庭感覚や固有受容感覚に効果的です。
軸を感じることもできるので、体幹が弱い子にも効果的。
◇感触遊び
粘土やスライム、手に絵の具を付けて絵を描く、手形を付けるなどの遊びは触覚を刺激します。
また、微細な運動のコントロールにも効果的です。
こういった遊びは効果的ですが、強制する必要はありません。
お子様自身が「楽しい」と感じて、継続できることが大切です。
スパーク運動療育西京極スタジオでも、「楽しい」という感情を大切にしながら様々な遊びを療育スタッフと一緒に行います。
子どもたちの感情を育む中で、感覚統合につながる遊びにもたくさん取り組んでもらえればなと考えています。
スパーク西京極では、他者とのやりとりをする練習も大切にしています。
子ども同士の遊びのシーンでよくあるやりとりを療育士が再現することがあります。
「これはどうやるのかなぁ?」
「僕もやりたい!」
「私もほしい!」
「こっちがいい!」
「ずるいよー!」
そんなやりとりを信頼できる療育士と繰り返すことで、子どもたちは他者と関わり、遊ぶ術を学んでいきます。
この日は仮面ライダーと戦隊ヒーローのラミネートをどう分け合うか相談中…
まずはじゃんけんで分け合ってみたけど…
そっちの方が強いー!
私2枚しかないー!
変えようよー!
どうしたらいいんだろう
そうだ、交換しよう!同じ数にしてみよう!
このような感じのやり取りが繰り広げられておりました。
遊びとして綺麗にまとまることも大切かもしれませんが、
「どうしたらいいんだろう」
「こうしてみよう」
「僕もこうしたいけど、お友達もしたいみたい」
そういったやり取りをたくさんすることは、もっと大切。
繰り返していくうちに、コミュニケーションを取って遊ぶ楽しさや、他者と分けあう良さなどを知っていきます。
最後は壁に集結させておしまい!
スパーク運動療育では、、スタッフが大きなリアクションを取りながら子どもをたくさん褒めて、体を使った遊びをしています。
それにはちゃんとした理由があります。
発達に特性のある子どもたちは、脳機能に先天的な特徴があると言われています。
どこか特定の脳の神経のつながり(配線)が強かったり弱かったりしていると考えられています。
脳はとても変化に柔軟な性質を持っているため、適切なアプローチをすればこういった配線を繋ぎ変える、もしくは新しく構築することが出来ます。
私たちが外からの刺激に対して何らかの「行動」をとるには段階があります。
1.感覚として入った情報(見た、聞いた、思ったなど)を処理
2.その情報に対して感情が生まれる(やりたい、おもしろそうなど)
3.過去の記憶や今の気持ちなどを総合して、判断を下す(やってみよう、やめておこうなど)
4.言葉や行動としてアウトプットする
5.記憶として定着していく
発達に特性がある子たちは、まず②の感情の段階に対してのつながりに個性があると考えています。
感情は行動の根っこになる部分であり、感情が育っていくことこそが脳が発達していくカギになると言えます。
「感情」がしっかりしてくるからこそ、考えたり行動したりすることが出来るからです。
「感情の段階に個性がある」と言っても様々なパターンがあります。
刺激に対して感情が薄い子もいれば、自分で感情のコントロールが上手くできない子まで様々です。
いずれにせよ、感情を豊かにしてあげるような関わり、感情を調整できるようになる関わりが必要です。
そこでスパーク運動療育では特徴的な2つの関わり方をしています。
1.大げさなリアクションを取る
2.褒める
大げさなリアクションを取るとは、感覚として入ってくる刺激が豊かになる(強さや種類)ということ。
そうすることで、「楽しい」「おもしろい」といった子どもたちの感情が大きく働きやすくなります。
それを繰り返す内に少しずつ子どもたちの感情も豊かになっていきます。
スパークでは療育の時間中に褒めるということをたくさん行っています。
何かできたことだけでなく、ちょっとした行動から何気ない偶然の行動までとことん褒めます。
褒める、すなわち共感や承認をされることで子どもたちの感情をぐんぐん引っ張ります。
他者から認められるということは、自己肯定感の高まりやストレスの軽減にもつながります。
感情を育てるための下地作りとしても褒めるということは非常に大切になってきます。
発達に課題のある子どもたちは、「問題行動」をしてしまうことがあります。
問題行動の代表的なものには、つねる、噛むなどがあります。
こういった行動に対して、ただ禁止してしまうという対処を取りがちです。
しかし、スパーク運動療育では「問題行動」が出てしまう理由や気持ちを考えるようにしています。
例えば、つねるという行動にも子ども1人1人、場面によって理由が異なります。
◇何か気に入らないことがあった
◇びっくりしたり、嫌な気持ちになったりした
◇関わってほしい(関わる手段が分からない)
などなど
そして、ただその行動を禁止するだけでなく、社会性を育むための関わり方をしています。
①痛いという事実を伝える
療育士が「痛い」という感情をしっかりと表現し、「強くつねると痛い」という事実を伝えます。
それを繰り返し経験することで、子どもたちはつねることは痛いことで、他者も自分も嬉しくないことだと学んでいきます。
②気持ちを代弁する
問題行動には理由があります。
嫌なことがあってつねっているのであれば「嫌だったね」と子どもの気持ちを代弁し、気持ちを表現するお手本を示しています。
このように、スパークでは問題行動をやめさせるのではなく、問題行動が出てしまう時の子どもの気持ちを考え、共感し、関わり方を示すことを何度も繰り返す内に、少しずつ子どもたちは気持ちを表現する術を学んでいきます。
行動はすぐに改善するわけではなく、粘り強い関わりが必要です。
スパーク西京極では、子どもの気持ちに寄り添いながら気長に関わっていきます!
ご家庭ではなかなか難しい関わり方かもしれませんが、少し気持ちに余裕があるときに、問題行動の理由や気持ちについて考えてみてください。
ジャンプが苦手だというお子様たちがいらっしゃいます。
スパーク西京極に来てくださるお子様のなかにも、ジャンプの苦手さがある子たちはいらっしゃいます。
スパークでは、何か特定の技能ができるように働きかけることはありませんが、子どもたちはスパークでの遊びを通じて体の使い方を学んでいきます。
子どもたちの「やってみたい」という感情を引き出し、様々な運動経験を積むことで、できることも増えていきます。
また、療育士のやり取りで「どうやって動けば良いのだろう」と考えたり、「こうやって他者と遊ぶんだ」と学んでいくことで体について考え、使う機会が増え、できることが少しずつ増えていきます。
それを踏まえたうえで、ジャンプが苦手だという子たちに必要な遊びは主に3つあります。
①バランスを鍛える遊び
②筋力を鍛える遊び
③ジャンプをしたくなる遊び
バランスを鍛える遊びでは、体をまっすぐに保つことや踏ん張ることが必須になってきます。
ジャンプをするうえで必要な胴体、下半身に力が入り、筋力や体の操作の強化につながります。
スパーク西京極でもよく行っている、バランスボールに乗るような遊び、キッズステップ(台)の上を歩くような遊びがその代表例です。
その他、ぐらぐらする場所を歩いたり、療育士の背中に乗ったり、細長く丸めたタオルの上を落ちない様に渡ったりといった遊びも効果的です。
ジャンプをするには、単純な脚力が必要です。
グッと踏ん張る、地面を強く踏みしめるような遊びを通じて脚力を鍛えることが効果的です。
このブログでも何度かご紹介している、お相撲遊びや引っ張りあいっこはもちろん効果的。
外でたくさん走り回って遊ぶことももちろん必要です。
階段の昇り降りも効果的です。
階段を昇るときにも降りる時にもジャンプに必要な下半身の筋肉に刺激が入ります。
遊びというわけではありませんが、階段の昇り降りにたくさんチャレンジさせてあげてください。
筋力やバランスなど、必要な要素を満たしても、お子様自身の「ジャンプしたい!」という感情を育まないとジャンプができるようになりません。
大人が一緒に手つなぎジャンプをしたり、高い高いをしたり、届くかどうか際どい所にある大人の手をタッチしたり、低い段差から手を繋いで飛び降りてみたり。
機会があればトランポリンやバランスボールで手を繋いで跳ねてみたり。
「高い所に手を伸ばしたい」「体が上下することって楽しい」といった感情を引き出すことが効果的です。
スパーク西京極でも遊びの中でジャンプにつながるような遊びは自然と取り入れています。
そして、様々な運動や療育士とのやり取りを通じて、ジャンプを含めた様々なことに挑戦しようという子どもたちの感情を育んでいます。
スプーンやフォークをはじめとした、生活で必要な道具を使えるようになることは、発達における課題の一つです。
スパークでは「〇〇をできるようにする」という療育は行っておりませんが、保護者からのご相談を受けることもありますので、ブログでシェアしておきます。
道具を扱えるようになるには、身体図式が発達していくことが必要になります。
身体図式とは、感覚や運動に関連した脳内で作り上げる自分の体の地図のことです。
私たちは痛いところやかゆいところがあれば、無意識でそこに手を持っていくことが出来ます。
自分の足が腕がどこにあるのか、動かしているときはどれくらい離れているかといったことを私たちは無意識に知っています。
身体図式を高めるには、体性感覚と視覚が一致してくる必要があります。
体性感覚は皮膚や筋肉、関節、腱、内臓からくる感覚のことです。
自分の関節がどれくらい伸びているか、どれくらいの力がかかっているかといったことを感じ取ります。
体性感覚は、体の外にも及びます。
フォークで食べ物を刺すと、フォークの先で食べ物が柔らかいのか固いのか、つるつるしているのかを感じることが出来ます。
固いならもっと力を入れなければいけませんし、柔らかければ優しい力で刺さないといけません。
この様に、道具を自分の体の延長としてイメージすることが出来るか。
自分の関節の伸び具合や、力の入り具合をどれだけ感じとることが出来るか。
そして、これらが視覚から入る情報とマッチしているかが大切になります。
発達に特性のある子たちは、感覚過敏の問題等を持っているため、こういった能力の発達に困難を持つ場合があります。
どのような遊びを通して身体図式や体性感覚を伸ばしていってあげれば良いのでしょうか。
大きく分けて3種類の遊びが効果的です。
引っ張りあい(タオル綱引き)、押し合い(お相撲)、手押し車、ジャンプ、ジャングルジムなど。
体は中心から末端にかけて発達していくので、ダイナミックな力を出す運動で、筋肉や関節に刺激を入れ、体性感覚を養います。
お家で取り組める代表例は、スライムや粘土です。
様々な感覚のものに触れることで手先の感覚を養います。
バットやラケットでボールを打つ(止まった状態や転がしで良い)ような遊びで、自分の体の延長線上に道具があるという感覚を養います。
こういった遊びは効果的ですが、子どもたちに無理にさせる必要はありません。
楽しいと思えないのに、無理強いされると継続できません。
スパーク西京極では、主に「関節や筋肉に強い刺激が入る遊び」をたくさん取り入れています。
そして、遊びの中で褒めること、共感することや療育士との積極的なやりとりを通じて、様々なことにチャレンジしようという感情の発達を促しています。
人やモノによくぶつかってしまうという子たち。
決してわざとぶつかっているわけではありません。
よくぶつかってしまうのは、
人やモノとの距離感がつかめていなかったり、自分の手足の長さの感覚が未熟だったりすることが原因かもしれません。
こういった距離感や、自分の手足の長さ、体の位置、サイズ感など、自分の体に対する空間的なイメージのことをボディイメージと言います。
ボディイメージは成長とともに、様々な身体活動を行っていくことで発達していきます。
ところが、特性を持つ子どもたちは、その発達がゆっくりであったりするため、実年齢にしてはよくぶつかったり、運動にぎこちなさがあったりします。
では、どういった運動をすればボディイメージは育まれていくのでしょうか。
まずは、体をダイナミックに使う遊びです。
公園の遊具で遊んだり、床で転がったりといったものです。
遊具は、よじ登ったり、ぶら下がったり、バランスをとって渡ったりと、様々なことができます。
スパーク西京極でも、人員体制やお子様の状態に応じて近くの公園での療育を行っています。
他にも、くぐる、またぐなど、対象物を避けて行う遊びも効果的です。
自分の感覚と実際に動いている体のパーツを調整していく必要があるのでボディイメージの形成につながります。
大人が脚でトンネルを作ってあげたり、障害物になってあげたりすれば、手軽に行うことができます。
これは皆で手を繋いで輪っかくぐり!
こういった遊びをする中で、最初から上手くいかないことが多々あります。
体をぶつけてしまったり、バランスを崩してしまったり。
決してそれが悪いわけではなく、その失敗があったときに「次はもう少し高くかな?低くかな?」など、子どもが自分なりに体を調整しようとすることでボディイメージが育まれます。
スパーク西京極では、
子どもたちの「やってみたい」「もう一度やりたい」という感情を育てるようなコミュニケーションをしながら、可能な限りダイナミックに動く遊びを取り入れ、時には療育士がおもちゃや遊具になって、子どもたちのボディイメージの形成をお手伝いしています。
療育の様子は ⇩ をご覧ください。
体幹が弱くてじっと座っていられないなど、姿勢に関するお悩みをお持ちのお子様がいらっしゃいます。
どうしたら良いのでしょうか?
ネットで調べると、「お腹と背中の筋肉を鍛える」というお話がたくさん出てきます。
姿勢を保つために、お腹と背中の筋肉が大事なのはもちろんですが、もう1つ鍛えねばならない筋肉があります。
むしろこの筋肉は背中とお腹より重要です。
それが、お尻の筋肉です。
人間が日本の足で立てること、背すじを伸ばして座れることは、サルやゴリラよりもお尻の筋肉が発達しているからです。
背骨の根っこである骨盤や腰部をしっかりと締めてくれるのがお尻の筋肉です。
背骨が木だとしたら、お尻の筋肉は根っこであり、土であり、植木鉢です。
その土台が緩くては、いくらお腹と背中が強くなっても、真っ直ぐ座ったり立ったりすることはできません。
では、お尻の筋肉を強くするにはどんな遊びをしたら良いのでしょうか?
最高のお手本は、お相撲さんです。
お相撲さん、おそらく人類で1、2位を争うくらい体幹が強いです。
そして、見事なお尻の筋肉。
お相撲さんがしていることと言えば、押したり引いたり!
特に押し合いっこは良いです。
お尻に力を入れて、体をまっすぐにしないと強い力が出ません。
スパーク西京極でも、押し合いっこはよくやっています。
手押し相撲でも、普通のお相撲でも、お尻相撲でもなんでもOKです。
遊んでいるときの声掛けとして、
「手はパーでギューってするんだよ!」
「体を伸ばして!」
という一般的なものに加えて、、、
「お尻をギューってするんだよ!」と言ってあげます。
子どものお尻をつついて確認してみるのもよいです。
弱い子は本当にフニャフニャと柔らかい状態です。
力の入れ方がわからない子には、
「うんち我慢するときのギュー!」という声掛けも効果的です。
もし機会があれば押し合いっこ、やってみてください!
もちろん、遊具を使った遊びや、大人をよじ登ったり、ぶら下がったりといった遊びも効果的なので、お相撲に限らず様々な遊びをしていただければなと思います!
近年、運動をすることがADHDと呼ばれる子どもたちにとって効果的だということが分かってきています。
では、運動と言ってもどんな強度、どんな種類の運動を、どれだけの時間取り組めばよいのでしょうか?
米国の研究では1日30分、8週間の運動プログラムをADHDと診断された子ども14人(5~8歳児)に処方しました。
毎回の運動プログラムは下記のような感じ。
・軽く息が弾む程度の運動:心臓バクバクではない
・1~2分のウォーミングアップ
・小集団に分かれての4種類のサーキット
・1つのサーキットを6分(4種類×6分)
・対象物を運ぶ、スキップ、ランニング、ホッピング、クラブウォーキング(四つ這いの反対向きで歩く)などの様々な動き
このような感じで運動プログラムを実施したところ、ADHDと診断された子たちの運動機能、認知機能、ソーシャルスキル、自己肯定感などが向上するという結果が得られたそうです。
なるほど、、、、。
様々な動き、、、
小集団、、、
軽く息の弾むような運動、、、
30分程度の運動、、、
これって、スパーク西京極でしている遊びとすごく似ているではありませんか!
研究のように毎日通っていただくことはできませんが、定期的に運動をすることで同様の効果が期待できます。
こういった効果が出る理由として、最近は運動をすることによるホルモン分泌や神経伝達の影響が考えられています。
人間の体は複雑すぎて、まだはっきりとしたことは理解されていませんが、運動と特性は非常に深い関係性にあることは確かだそうです。
もし、ご家庭でも機会があれば、お子様の興味を持たれた運動や遊びを少しでも一緒にやってみてください。
走ったり、ボールや風船を使ったり、ジャンプ(飛び乗る、飛び降りる、飛び越える)したりといったシンプルな遊びからでも!
参考文献:
Alan L Smith et al: Pilot physical activity intervention reduces severity of ADHD symptoms in young children. Journal of attention disorders 17 (1) 70-82, 2013.