科学的にも証明されつつある自閉特性の子への運動効果

自閉特性を持つ子たちが運動をすることで、運動能力のみならず、ソーシャルスキルも高まるという効果が科学的に証明されつつあります。


ソーシャルスキルは他者と良好な関係を築き、社会に適応していこうという力のことです。


オランダの研究者によって行われたメタアナリシス研究(たくさんの研究結果をまとめて分析したもの)では、16本の研究、133人の自閉症者(子ども~大人まで)に対する運動の効果が分析されました。



研究では水泳、ランニング、サイクリング、筋トレ、ウォーキングなど様々な運動が行われました。

運動の多くは1回につき20~60分、継続期間は2週間から1年間まで様々なものがありました。


結果として自閉症がある人の運動能力に加えてソーシャルスキルの向上効果がありました。

さらに、集団での運動プログラムより、個別での運動プログラムの方が効果が高いということが示唆されました。

(サッカー等のチームスポーツに対する研究が無かったという分析の限界はあります)


研究はあくまでも研究であり、効果を保障するものではありません。

しかし、ここから考えられることは、、、

・定期的な運動が効果的

・個別の方が効果的な可能性あり

・これに加えて丁寧な関わり方をすれば、より効果的?!



スパーク運動療育西京極スタジオでは、60分運動を主体とした個別療育に加え、療育スタッフや他児との関わりを通じて、自閉特性のある子どもたちの感情、社会スキルの発達を促しています。

お問い合わせや見学等、お気軽にお電話またはお問い合わせホームよりご連絡下さい。

電話:075-754-7278

お問い合わせホーム:https://daiki.kyoto/nishikyogoku/contact


今後もスタジオでの日々や、発達に関する情報を発信していきますので、よろしくお願いいたします!


参考文献

Sowa M, Meulenbroek R.  Effects of physical exercise on autism spectrum disorders: a meta-analysis. Research in Autism Spectrum Disorders 2012; 6(1): 46-57.

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1750946711001516

女の子座り(割座)をしていませんか?

スタジオにはADHDや自閉症などの特性に加え、「力が弱い(押したり引いたり)」「歩き方や走り方がぎこちない」「バランスをよく崩す」と言ったお悩みを持つお子さまたちがいらっしゃいます。


そういった子たちを見ていて、ふと気になったことがあります。


「この子たち、よく割座(女の子座り)してない?」

*全員ではありません

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というわけで、調べてみました。

割座が習慣化することで体にデメリットがある

まず、割座がどんな状態かと言うと

股関節が大きく内側に捻られ、すねは外側に捻られます。


この状態が続くと、太ももの骨(大腿骨)の捻じれの角度(前捻角)が大きくなってしまいます。


正常な人の前捻角は約15°と言われています。

程よく捻じれているからこそ、人間特有の動きができます。


・程よく体の中心に足が来るから片足立ちがしやすい

・類人猿よりは前捻角が大きいからこそ、股関節を開いて力強い二足歩行ができる


歩くときは、踵からついて、やや外側、最後に親指のつま先、というふうに体重移動をします。

股関節を開けるからこそ、これが出来ます。


割座が習慣化してしまうと、前念角が40°を超える場合もあります(正常15°)。


こういった状態で成長していくと、、、、

・股関節が硬くなる(開けない)

・骨盤や太もも、すねの歪み

将来的に足首や膝、股関節の痛みが出やすい

・股関節を外に開けないと、お尻に力が入りにくい→お尻の筋肉が付きにくい→体幹が弱くなる


また、普段の歩き方、立ち姿が内股になってしまうことがあります。

内股では地面からの力を伝えにくく、走ったり歩いたり、押したり、引いたりといった基本的な動きも弱くなります。

お尻に力が入らないと、体幹にもスイッチが入らないので、「よくこける」「フラフラ」するといったことにもつながってきます。


子どもたちを見ていて

内股の子たち、割座をよくしている子たちを見ていると、確かにこの傾向があるなと思います。

子どもによっては、割座のままマットやイスを押そうとして全然力が入っていなかったり、体がすぐに曲がってしまったりしています(胴体を一直線に保てない)。

そんな時は、「しゃがんだ方が良いじゃない?」「立った方がいいんちゃう?」「足の指ついたら強く押せたで!」とスパークらしい声のかけ方でやんわりと伝えるようにしています。


おうちでも可能な範囲で割座が習慣化しないように気を付けてみられてはいかがでしょうか?

正座はなかなか厳しいかも知れませんが、あぐらへの促しが良いかと思われます。

あぐらは股関節を開くので、割座で硬くなった股関節にとって良いストレッチにもなります。


「力が弱い(押したり引いたり)」「歩き方や走り方がぎこちない」「バランスをよく崩す」といったお悩みの原因は、割座以外にもあると思いますが、何か少しでも改善すればなと思います。


ハイハイは大切!

赤ちゃんが生まれてから歩けるようになるまでに通る道、ハイハイ。

実はこのハイハイはとっても大切な運動です。


ハイハイがどういう運動か。

人の体は、体幹部(腕、脚、頭を除いた胴体部分)に力が入り、背骨が安定して初めて四肢(腕や脚)がしっかりと動きます。


ハイハイは体幹をまっすぐにし、腕と脚を動かします。

また、腕と足でしっかりと体を支えないと進むことが出来ません。


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赤ちゃんは何度もハイハイをすることによって、体幹を安定させて四肢を動かす機能を高めていきます。

この機能は立って歩くことを始め、、様々な運動をする上で基礎となってきます。


また、ハイハイをするときにしっかりと手をパーで地面について、体を支えないといけません。

これは将来的に、こけた際に地面に手をつく動き、押す動きなど様々なシーンに繋がってきます。


ハイハイの期間が短かった、段階を飛ばして立ってしまったなどで、後々響いてくることもあると聞きます。

スパーク西京極でも、トンネルをくぐったり、マットによじ登ったりといった自然な形でハイハイができる遊びに取り組んでいます。

こういった遊びを通じて体幹や手の機能も高まっていくことが期待されます。

体の発達は基本的に中心から末端へ

ブログでは特性に関して様々な事を書いていますが、そういえば体の使い方の発達に関してはあまり触れていませんでした。

今回は発達していく順番をテーマに、体について考えていこうと思います。



私たち人間が体を操る機能は、生まれてから成熟するまで長い時間をかけて発達していきます。

そしてその順番と言うのが、「中心から末端へ」というのが基本となります。


分かりやすい例を一つ。

子どもにクレヨンやペンで絵を描いてもらいます。


①年齢の低い子ほど、末端の発達未熟ですので、描かれる絵は点や線をこすり付けたようなものです。

おおよそ1~2歳です。 肩や胸などから動かし、体の重みで押さえつけるように描きます。


②1歳半~3歳くらいになると、線や曲線、円などを自分の意思を持って描けるようになってきます。

意志を持って肩や胸を使って描いています。


③3~4歳になると、ぎこちないですが、丸や三角、四角などを描き、それに対して食べ物や人物などの意味を見出します。

このころになると、肘の動きもコントロールされ始めます。


④4~5歳になると簡単な図形を組み合わせて、自分の知っている生き物などを描くようになります。

大小様々な図形を描くので手首や指先をコントロールする必要があります。


⑤5~6歳になると、このころには少し複雑な線や図形も描けるようになります。

知的にも情緒的にも発達が進み、自分の周囲の物の概念を理解したり、物の大小や関係性も理解して描きます。

家の前に立っている自分の様子を描けたりしてきます。

このころには指先をコントロールする力がますます伸びていきます。


未就学の年齢はここまでなので、紹介はこのあたりまで。

ここに載せている年齢はあくまでも平均であり、発達には個人差があります。



もちろん、こういった絵の発達を見ていく中で知的な能力や認識、他者との関係性の発達など、体の機能とは別の要素も大切になってきます。

ですが、絵の進化は体の発達もある程度反映しています。

体重を乗せてこすり付けるように描いていた段階から、胸→肩→肘→手首→指先というように「中心から末端へ」体をコントロールする力が伸びていく様子がよくわかります。


これは絵に限らず、体の操作全般に言えることです。

手先が不器用な子に必要なことは、


①大きく体を動かして遊ぶ経験を沢山積むこと(段階を満たしていく)

②自分の体を意識してコントロールする経験を沢山積むこと


スパーク運動療育西京極スタジオでは、大きく体を動かす経験はもちろんのこと、様々な遊びを通じて自分の体を意識してコントロールする経験も、遊びを通してたくさん積んでいただくことが出来ます。

子どもの汗と水分補給

6月になって30℃を超える日が続いていますね。

これから本格的に夏に向かっていくにあたって、水分補給が欠かせなくなってきます。


実は子どもたちは大人と同じくらいか、それ以上に水分を必要とします。


子どもは大人よりも水分が必要

子どもは大人と同じ数の汗腺(かんせん)を持っています。

汗腺は汗を出す体の器官のことで、皮膚のあちこちに存在しています。


汗腺の数は同じなのに、体は大人より小さいため、子どもたちは相対的に汗をかく量が多くなります。

それと同様に、必要な水分摂取量も大人より相対的に多くなります。

スパークに通って下っている幼児の場合であれば、1日に体重1kgにつき100ml程度の水分補給が目安になります。

体重が15kgであれば1.5L程度です。

もちろん食べ物や食事中のお茶などからも水分は補給していますが、遊びに行く際は最低でも500~1000mlの水分は持っていって頂ければと思います。


ちなみに大人になると1日に体重1kgにつき50ml程度です。


*季節にもよりますので、特に夏場は水分を多めにご用意ください。


暑いとほっぺが赤くなる

暑い日に外で遊んでいると、子どもたちはほっぺたが真っ赤になります。

これは、大人よりも汗をかく機能が発達していないからだとされています。


汗をかくことも練習が必要で、子どものうちは上手に汗をかくことが出来ません。

成長と共に汗をかく経験を沢山積んでいけば、体温が上昇したときに素早く多く汗をかくことができるようになります。


本来は汗が皮膚から気化することで熱を逃がします。

しかし、子どもたちは素早く多く汗がかけない代わりに、皮膚の血管を広げて熱を逃がそうとします。

そのためほっぺたが赤くなります。


汗をかく機能は思春期頃にしっかりとしてくるようですので、気長に待ちましょう。

汗をかく機能を発達させるために、無理に暑い部屋や屋外にいる必要はありません。

厳しい暑さの時はエアコンをつけて涼しくしてください。


特性のある子どもたちと暑さ

特性のある子どもたちの中には、自分で体温調節をすることが苦手な子もいます。

暑い真夏なのに長袖を着ようとしたりするので、本人から訴えが無くても衣服の調整やこまめな水分補給を心がける必要があります。

訴えが無いからと放置してしまうと、突然熱中症になることもあるので気を付けてください。


スパーク西京極でも、屋外での療育を行なっていますが、水分補給と日影での休憩は頻繁にとるようにしています。

他にも保冷剤を持参して、火照った体を冷ますケアも行うようにしています。


今年も暑い夏がまたやってきますが、元気に乗り越えましょうね!


自然環境下で体を動かす効果

ホームページのインフォメーションでもお伝えしておりますが、「フィールドスパーク(屋外での集団療育)」を6月に実施いたします。

詳細はこちら→https://daiki.kyoto/hanasakumiraikapurisu/blog/article/「★フィールドスパーク_at_アクアリーナ★」のお知らせ


先着順となりますので、お電話、メールで早めのご予約をお願いいたします。

定員に達しましたので、募集は終了いたしました。



というわけで、今回は自然環境下の運動について書いて行こうと思います。


*フィールドスパークの会場は大自然というわけではありませんが、、、、笑


運動とは生きること

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 「運動」 と言うとプラスアルファなことのように聞こえますが、本来は きる=運動をすること」 です。

世の中は便利に進化していますが、残念ながら人間の設定は20万年前から基本的には変化していません。


今はスーパーに行けば食料を得ることができます。

しかし、本来は自分で狩りや採集をしなければいけません。

それに適した状態に私たちは生まれてきます。


「どうすればもっと上手に簡単にできるだろう?」

「どうやって動かせば良いのだろう?」

体の動かし方について、脳で考えることで人類は発展してきました。


つまり、脳と運動は切っても切れない関係にあります。

だからこそ、運動をすることで脳が発達します。


自然そのものから受ける恩恵

運動の前に、自然についてもお話ししておく必要があります。

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あすぴーが見つけた四葉です(笑)

良いことあったみたいです。


人間は自然の一部なので、発達していくためにも、健康に過ごしていくためにも、自然から受ける十分な刺激を必要とします。

動植物に触れる機会もそうですし、気温や風、地面の感触を味わうこともそうです。

屋内では味わえないレベルで五感が刺激され、脳を広範囲に使うことになります。


最近では自然環境が私たちの五感に及ぼす影響が科学的にも証明されてきています。

一部紹介します。


耳では認識できない自然環境音が脳に影響

自然環境下では、耳では認識できないレベルの高周波音が出ています。

この高周波音は動物の鳴き声、木々のざわめきや流水、風が吹くことで発生するとされています。

自然環境下でこの高周波音を聞くと、骨伝導を通じて脳のα波が活発になり、リラックス効果があるとされています(*1)。


この効果は、ハイパーソニック・エフェクトとして知られています。


発達に特性のある子たちは不安やストレスが高いことも多いので、外にいるだけでもそれを軽減する効果が期待できます。


認識できない自然の匂いにも多大なメリット

木々や植物は多くの植物由来化学物質(フィトケミカル)を放出しています。

フィトケミカルの一種であるフィトンチッドは匂いとして認識することはできませんが、嗅覚を通じて脳に大きな影響を与えます(*2)。


フィトンチッドはストレスホルモンを減少させる効果があるので、痛みや不安を軽減させます。

それだけでなく、ナチュラルキラー細胞という免疫力に関わる細胞を強化してくれることもわかっています。


このように私たちは気が付かないうちに、五感を通じて自然から多大な恩恵を受けています。


日光を浴びれる!

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外と言えば日光ですよね!

日光を浴びることで生成されるビタミンDは骨や筋肉の発達、だけでなく免疫力の強化にもつながります。

日光を浴びる量が少ない場合の健康被害については、たくさんの報告があります。


現在は新型コロナウイルスのこともあり、大きな声では言えませんが、やはり外に出て日光を浴びることは重要です。


外で遊ぶとこんなに脳が使われる?!

運動そのものの効果についてはブログや療育の際に説明している通りです。

その運動を、ただいるだけでも効果のある自然環境下(屋外)で行うとなると、メリットが何倍にもなることは簡単に想像がつきますね。


しかも、屋内と違って外では脳をより広範囲に使って体を動かします。

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例えば、鬼ごっこをする時を想像してみてください。

その日の気温、木々や風の音、日差しなどを感じながら鬼を気にして走ります。

鬼から逃げながらも、地面の傾斜やランダムなデコボコに対応しなければいけません。

時には虫が飛んでくることもあるかもしれません。


これだけでも、外で遊ぶことがどれほど感覚を刺激し、脳を広範囲に使うか想像していただけるかと思います。

脳はたくさん使うことで発達します。

自然はそれを優しく、時には厳しくサポートしてくれます。



というわけで、フィールドスパークのお申込み、お待ちしております!

アナウンスしてまだ1日なのですが、たくさんのお問い合わせを頂いており、残り枠が僅かとなっています!

定員に達しましたので、募集を終了いたしました。

詳細はこちらから→https://daiki.kyoto/hanasakumiraikapurisu/blog/article/「★フィールドスパーク_at_アクアリーナ★」のお知らせ


こんな感じの場所です。

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【この記事の参考文献】

*1 「自然環境の発する音(超高周波数音)が人に与える影響」 石田光男 ほか 2010

*2 「GO WILD 野生の体を取り戻せ」 ジョン・レイティ&リチャード・マニング著 訳:野中香方子 NHK出版 2014

外出自粛と子ども達のストレス

新型コロナウイルスによる自粛で、子どもたちにとってもストレスフルな日々が続いています。


普段行っていた園や遊び場に行けない。

ずっと家にいるという単調で刺激の少ない毎日。


特に発達に不安のある子ども達はその影響を受けやすいと言われています。

ストレスがたまってくると、いわゆる問題行動として表れたり、情緒面に不調をきたすことがあります。

以前、全国各地のスパークの先生方とオンライン勉強会をした際にも、そういった事を心配する声が上がっていました。


ストレスによる問題のみならず、他者と関わる機会と外からの刺激の減少は子どもたちの発達スピードに影響が出ることも考えられます。


そうは言っても自粛期間中なので、どうして良いか分からない状況だと思います。

そんな時こそスパーク的な関わり方がおすすめです。

(*療育士たちほどハイテンションで大げさでなくても大丈夫です。)


いつもよりほんの少しだけ、可能な範囲で良いので、お子さまと一緒に遊ぶ時間を増やしてみるのはいかがでしょうか。

その中で褒めたり、認めたり、感情を共有したりするすることで子どもたちのストレスは下がりやすくなります。


外に行くことができず、思いっきり体を動かして遊ぶのは難しいと思います。

なのでストレスを完全になくすのは大変難しいことかもしれません。

ですが、少しでもお家での関わり方の意識が、ストレスを下げることにつながればなと思います。

動くと落ち着く?ADHDと遺伝子の話

特性として多動や衝動性を持っている子たちは、運動をしたほうが落ち着きやすいということが分かってきています。


ADHDと言われる子たち、もしくはその傾向がある子たちは脳内でドーパミンを処理する機能に特性があるようです。

ドーパミンは幸福感や快感、意欲の高まりに関わるホルモンです。

褒められることや、報酬をもらうこと、他者に認められること、発見をすること、刺激的な経験をすること、そして運動をすることによってドーパミンが分泌されるということが知られています。


ADHD傾向にある子たちはDRD4と呼ばれる、ドーパミン受容体の生成に関わる遺伝子変異が定型発達の子たちよりも多いと言われています。

そのため常に刺激に満たされにくい状態になりやすいということが示されつつあります。

DRD4は新奇性追求遺伝子とも呼ばれており、ADHDではなくともスカイダイビングやバンジージャンプなどの強烈な刺激、スリルを好む人にも多く発現しているそうです。


DRD4は人間が進化していくうえで、新しい場所や物を開拓していくときに必要だったと考えられています。

それもあって現代でも一定数DRD4を多く持った子たちが多様性として生まれてきます。


こういった背景もあり、多動性や衝動性といった特性を持った子どもたちは

刺激的な環境下で思いっきり体を動かした後の方が落ちつきやすいということが考えられています。

当スタジオでも基本的に療育の序盤は走り回ったり、激しく動いたりすることが多いです。

部屋もたくさんの刺激であふれています。


体を動かすことで血流が良くなって脳に酸素と栄養が回り、脳を広範囲に使いやすくなります。

それだけでなく、ADHD傾向にある子たちにとっては、動くことや療育室に来ること自体が刺激を満たして落ち着きをもたらす効果があると考えられます。


毎日体を動かしてばかりはいられないですが、療育に来て下さった時にはたくさん運動してもらえたらなと思います。

また、新型コロナウイルスによる自粛続きで子ども達にとってもストレスの溜まる日々が続いていますが、スパークに来て体を動かし、少しでもそれが緩和されたらなと思います。



参考文献

「脳の個性を才能に変える 子どもの発達障害との向き合い方」 トーマス・アームストロング 中尾ゆかり 訳 NHK出版 2013年

スパークでの関わり方「共動・共感」

スパーク運動療育では「共動・共感」という言葉を子どもとの関わりの基本にしています。

「共感」は検索すれば出てきますが、「共動」は出てきません。


「共動」はスパーク独自の言葉です。

私も初めてスパークを知った時、「共動」ってなんだろうって検索したけど出てこなかったのを覚えています(笑)


共感は他者の気持ちを理解し共有することですが、スパークでは気持ちに加えて体の動きでも表現することを大切にしています。

人それぞれですが、嬉しい時に飛び跳ねたり、ガッツポーズが出たりします。

悲しい時は肩を落としたり。

人の感情には動きがつきものです。

なので、「共感」だけでなく「共動」という言葉を用いて、心と体を沢山使って表現するような子どもとの関わり方をしています。


具体的にどんな関わり方をするかですが、まずは褒めることです。

褒めると言っても、先生が生徒を褒めるような声掛け、身振り手振りではなく、子どもと同目線で関わることを大切にしています。


褒めるシーンは主に3つです。

1.ありのままを褒める

2.頑張っている過程を応援、励ます

3.達成を喜び合う


ありのままを褒めるのは、来所時に療育士達が子どもの服装を褒めたり、来てくれたことに感謝を示したりといった感じです。

他にも、子どもたちが見つけた遊びに対して「そんなん見つけたの!?すごい!」と反応するようなシーンです。


頑張っている過程を応援するのは、何か遊びにチャレンジしている時に「がんばれー!」という声掛け、身振り手振りをすることです。

チャレンジが成功すれば、「喜び合う」ように褒めます。

結果的に「すごいー!」とか言っているのですが、言い方が上からにならないようにしています。


共動についても、子どもの遊びを一緒になってやってみること、気持ちを体で表現することを大切にしています。


こういった共動・共感の関わりをすることで、子どもたちの感情にはたらきかけ、コミュニケーションにつながる信頼関係のベースを構築しています。

また、発達に特性のある子たちはストレスに曝される機会が多いため、ありのままを認める共感の声かけが重要になります。

信頼関係が構築され、ストレスが和らいだ状態でやり取りをすることで考える力、表現する力が身につきます。

他者に認められることや、やり取りができた経験は自己肯定感の高まりにつながります。


このサイクルの中で子どもたちは感情を発達させ、社会性を育んでいきます。


スパークで考える遊びの7段階

スパークでは発達心理学に基づいて遊びを7段階に分けて考えています。


遊びの段階は子どもたちの発達の段階とリンクしており、療育で提供する遊びの内容もこの段階に沿ったものとなっています。


スパークでは「遊びの進化レベル」と呼んだりもしています。

お子様の普段の様子や療育時の様子と重ね合わせて読んでいただければと思います。


①注意の段階

まず最初は他者やその遊びに対して注意が向くかどうかです。

療育の時であれば療育士が遊んでいる感覚情報(視覚:療育士の動き、聴覚:声や音 etc)に対して注意が向く様子があるかどうかです。


②興味の段階

感覚情報として入ってきた情報に対して「なんだろう?」と興味を示すのが次の段階です。

注意を向けるだけではなく、「なんだろう?」と考えるため1つ段階が上がっています。


③行動の段階

「なんだろう?」と興味を示した感覚情報に対して、「自分も行ってみよう、やってみよう」と行動に移す段階です。

興味を行動に移したということで1つ段階が上がっていると考えます。


④意味の段階

行動に対して意味が見いだせてくるとまた一つ段階が上がります。

行動と意味の違いをボール遊びを例に紹介します。


行動:療育士がボールを投げている様子に興味を持ち、子どももボールを投げて遊ぶ。

意味:目標に向かってボールを投げる。 療育士の方へ投げたり、的を狙って投げたりする。


ただその場で投げるという遊びは行動の段階ですが、そこに「狙う」という意味が追加されると遊びの段階が上がります。

なんとなく理解いただけましたでしょうか?


⑤複雑化の段階

意味の段階から複雑化の段階は少しハードルが上がります。

「複雑化」の段階では、遊びから受ける感覚情報やルール、情報量が増えます。

意味の段階である「的を狙ってボールを投げる遊び」に、以下のような変化が加わると複雑化になります。


・的の場所が変わる

・いろいろな的を狙う

・指定された的を狙う

・指定されたボールを探して、的に当てる

など


明らかに遊びが高度化していることが分かります。

療育士からこういった変化を提案するときに、子どもにはストレスがかかる場合があります。

なぜなら「変化」を伴うことと、「他者とのやりとり」が不可欠になるからです。

ですが、これも発達に必要な乗り越えるべきストレスであり、療育士のサポートを受けながら子どもたちは成長していきます。


複雑化の段階がしっかりしてくると子ども自らルールを提案したり、遊びに変化を持たせて膨らませていく様子が見られます。

そのようなときには、さらに高度なやり取りが療育士との間でなされ、子どもたちは関係性の発達を伸ばしていきます。


⑥律動的の段階

複雑化した遊びを自ら提案し、その中でリズミカルな動きができる様になってきたり、遊びの中で起こる変化に対して素早く反応できることで律動的な段階に進化します。

例えば、的になる療育士の数や距離が素早く様々に変化するのにも対応し、展開に付いて行くことが出来るとこの段階になります。


⑦共動・共感の段階

療育士や同じ時間帯にシェアしている子と役割交代をすることができ、自らルールなどを指定することも出来るような段階です。

遊びをただ単に自分のペースに持ち込むのではなく、相手のことも考えながらという段階になります。

この段階まで来ると、そのさらに上の段階だと考える「ごっこ遊び」「チームゲーム」などに取り組みやすくなります。


この遊びの段階が高いから良くて、低いからダメというものではありません。

もちろん最終的に⑦の段階まで到達し、さらに複雑な遊び、人間関係の構築ができる事に越したことはありません。

ですが、まずは1人1人の子どもたちが今の場所から着実に成長していくことが大切です。

遊びの進化レベルはその目安になるものです。