スパーク西京極では、子どもたちの気持ちに寄り添いながら沢山遊ぶことで療育をしています。
というのも、子ども達は遊びの中で学び、成長していくからです。
では具体的に遊びの中でどのようなことが成長していくのでしょうか。
親や先生からの働きかけで、大小さまざまな心身の機能をつかうことも必要なことです。
それとはまた違って、自発的な要素が強い「遊び」で心身機能を使うことにも大きな意味があります。
遊びの中で子ども達は周囲の環境に働きかけていきます。
周囲の環境は、遊び相手の友人や大人、他にも遊具やおもちゃなどです。
遊び相手に働きかけると会話や行動などの反応が返ってきます。
遊具や玩具に働きかけると、物が動いたり、音がしたりといった反応が返ってきます。
こういった経験を通じて、子ども達は「自分が周りの環境を変える力を持っている」ということを知っていきます。
こういった感覚を「自己効力感」と言います。
自己効力感が高まると、積極的に物事に取り組んだりすることができます。
遊びの中で考え、他者と関わっていく中で次のような発達が促されていきます。
遊びの中で他者と衝突をしたり、助け合ったりするなかで社会性を身に付けます。
他者と共に活動していくことの喜びや連帯感を知っていきます。
思いやりや正義感、善悪の判断も遊びで知っていきます。
遊びの中のルールや世界観を通じて自然と身についていきます。
物事を比較したり、判断したり、創造したり。
自由で偶発的な「遊び」という環境だからこそ、自ら考えていくことを必要とします。
欲求を満たしたり、我慢したりといった繰り返し。
遊びの中での自由な感情表現を通じて情緒が育っていきます。
遊びは多かれ少なかれ運動を伴います。
走り回るような大きく体を使う遊びから、工作などの細かい運動を伴う遊びまで。
そこで知っていく体の使い方は、人生のあらゆる場面で役立っていきます。
スパーク西京極では楽しく遊び込むことを通じてお子様一人一人の全体的な心身の発達を促しています。
幼児期の子ども達は発達の過程で、悪気はなくウソをついてしまうことがあります。
真実と異なることを言うので、大人のこちら側としては対応に困ってしまうこともあるかもしれません。
ですが、幼児期の子どもが付くウソは大人が悪意や忖度を持ってつくウソとは質の異なるものであることも多いです。
その理由を知っていれば、少し対応にも余裕が出てくるのではないでしょうか。
幼児期になり、言葉も達者になると「ウソ」を言うようになります。
その理由の1つとして脳の発達がまだ大人と比べて未熟だから。
大人顔負けにしっかり話すので、見かけ上では分かりませんがまだまだ子どもの悩、とくに記憶に関係する場所は未熟です。
なので、過去のエピソードを聞くと、順番や活動が真実と異なる場合があります。
まだ大人ほど多くの物事を一度に記憶しておくことができません。
その記憶の量の差が原因で結果的に「ウソ」になることがあります。
例えば、「遠足で最初は何をしたの?」と聞くと、
実際は最初に遊具で遊んだにも関わらず、「お弁当を食べた」と答えたり。
お弁当の印象が強かったので、それをよく覚えていたということが考えられます。
記憶が大人ほどではないと言うことを踏まえておくと寛容に接することができそうですね。
子どもたちは、大人と比べるとまだまだお話をする力も未熟です。
筋道を立ててストーリーを語ることも未熟ですし、まだ大人程の語彙力もありません。
それでもお話を繋げていこうと子どもなりに頑張る中で、
大人からすると「ウソ」に聞こえてしまうことを言ってしまうことがあります。
話しを繋げるためにウソを補助的に、本人は悪気無く、使ってしまいます。
対応ですが、まずは話しを遮らず聞いてあげることで、「話したい」という子どもの気持ちを大切にします。
話し言葉は話す中で育ちます。
そして筋道を立てて話すことは、書き言葉の習得にも繋がります。
話したい気持ちを大切にすることで後の発達に繋がります。
「叱られたくない」という気持ちから、自分の身を守るために苦し紛れにつくウソもあります。
明らかにお漏らしをしているのに、「してない」。
明らかにお部屋を片付けていないのに、「片付けた」。
バレバレですから、大人のこちらとしては余計に怒ってしまったり、問い詰めてしまったりしそうになるかもしれません。
しかし、それをしてしまうと余計と「身を守るためのウソ」が助長されてしまいます。
子どもなりに「やっちゃった」と思っているわけなので、気持ちを察して代弁するような関わりが良いです。
自分の願望と現実とが混同している場合もあります。
例)
現実:友達の玩具を自分が取った
願望:友達が貸してくれる
発言:「〇〇くんが貸してくれた」
この時も、頭ごなしに怒るだけではなく「貸して欲しかった」という気持ちへの代弁をしつつ、ある程度優しく見守ってあげます。
年齢と共に徐々に願望と現実とが区別てきるようになっていきます。
ウソをつけることも発達の1つです。
それは遊びや普段のやりとりの中にも垣間見ることができます。
ウソをつける、ウソを理解できるということは冗談を楽しめることに繋がります。
「え?今背中触った?笑」
「ううん、僕じゃいよ(ニヤニヤ)」
「ほんまに~?笑」
みたいなやりとりを楽しめるのもウソを理解しているから。
ウソをつくようになったことをネガティブとだけ捉えず、
「発達が進んだのかな」とポジティブな面でも捉えてみるのもいいかもしれませんね。
子ども達の中には、お気に入りのタオルやぬいぐるみといった物を常に握りしめている場合があります。
外に行く時も常に手放せずにいると、大人としては「どうしてなんだろう?」と思ってしまいますが、
こういったタオルやぬいぐるみは「移行対象」と呼ばれるもので、無理に取り上げてしまうようなものではないと言われています。
今回はその移行対象について紹介していこうと思います。
「移行対象」とは小児科医・精神科医であるウィニコットが提唱したもので、
幼稚園や保育園に通い始める1~3歳の移行期に、母親の代わりに安心の源として持ち歩く客観的な物です。
初期の頃はタオルや毛布等の母親のぬくもりを思わせる柔らかい手触りのものが移行対象になります。
もう少し進むと、ぬいぐるみや人形などの人格を投影できるものを移行対象にします。
乳児期は何か不安なことや嫌なことがあっても、無条件に寄り添い、心のよりどころになってくれていた母親という存在があります。
しかし、幼稚園や保育園に入るころになると、常に母の存在があるわけではありません。
そんな状況下でも、心を落ち着ける為に毛布やぬいぐるみを安心の源にすると言われています。
母親から移行したわけですね。
移行対象は発達と共に徐々に消えていくと言われており、無理に取り上げる必要はないとされています。
母がいない状況でも、子どもなりに心を落ち着けようとしている過程ですので、やさしく見守ってあげてください。
「体幹が弱くて姿勢が保てない」といったお悩みをよく伺います。
ふらつかずに真っ直ぐに立つことや、様々な運動の中で姿勢を維持できるためには体幹の機能そのものだけでなく感覚を処理する力が関わってきます。
姿勢における感覚処理で重要なのが、足底(足の裏)からの刺激です。
ご家庭でも可能なアプローチは裸足の時間を増やす事です。
今回はスパーク西京極で最近取り入れている遊び道具を例に解説していきます。
普段の遊びや生活での参考になれば幸いです。
「体幹が弱くて姿勢が保てない」といったお悩みをよく伺います。
しかし、「では体幹を鍛えましょう」と即答することは難しく、
「どうして体幹が弱いのだろう?」「機能しにくいのだろう」と原因を考える必要があります。
原因の一つとなっているのが、足裏をはじめとした全身の「感覚の問題」です。
足裏をはじめとして、人の皮膚にはメカノレセプター(感覚受容器)と呼ばれるセンサーたくさんあります。
足裏にあるメカノレセプターは圧や肌触りなどから、
「いま体はこっちに傾いている」「真っ直ぐだ」「重心は右だ」「足場はツルツルしている」
などの情報を脳に伝えます。
すると、それに合わせて姿勢をコントロールしようと体幹をはじめとした全身の筋肉でバランスを取ることができます。
つまり、初めの感覚の所に弱さがあると、体幹も上手く機能することが難しくなります。
メカノレセプターは生まれてすぐに完璧なわけではなく、成長と共に様々な経験を積むことで発達していきます。
そのため、足の裏をたくさん刺激できる遊びや生活スタイルが姿勢やバランスのコントロール能力を養います。
スパーク西京極では最近こんな手作りおもちゃを取り入れました!
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様々な刺激を足裏に入れ、かつバランスを取ってあそべるようにしています。
足裏の感覚は刺激をどんどん入れることで発達していくので、子ども達もたくさんチャレンジしてくれると嬉しいです。
上のインスタ投稿にあるように、様々な種類の質感を味わうことが何よりです。
とは言え、なかなか機会がないという場合もあります。
そんな場合は、裸足で過ごす機会を増やしてみてください。
それだけでも刺激がしっかりと足裏に入るので、姿勢維持に役立ちます。
他にも芝生など地面の安全が確保ところで裸足で遊ぶことや、プールに遊びにいくこともなども効果的です。
スパーク西京極では、遊ぶ際に基本的に靴下を脱いでもらっています。
というのも、靴下があるとどうしても地面とワンクッションあり、レセプターに刺激を入れにくいからです。
刺激が入らないと、当然転びやすくもなりますし、足裏の発達にも効果が低くなります。
スパーク西京極を利用してくださるお子様たちは、「感覚特性」を持つ場合があります。
特定の感覚に敏感であったり、感じとりにくかったりします。
感覚の特性と姿勢、運動機能は別のように思えますが、今回の内容を踏まえるとそうとも考えにくいですね。
今後も楽しい遊びのなかで、たくさん感覚を刺激しつつ心身の発達を促していければと思います。
喋れるようになった、口が達者になったと言えど未就学児。
まだまだ大人程には言葉でのコミュニケーションは上手ではありません。
どんな伝え方をしていけば、少しでも伝わりやすくなるのか。
今回はその一例である「具体的な言葉」をテーマに書いていきます。
指示や質問をちゃんと理解しているようなしていないような....なんだか不安だなあ。
そう思われる親御さんに何かヒントになればと思います。
ずっとこの話し方をするわけではなく、ちょっと「ん?」と思うなら一時的に段階を下げてみるのも良いですよというくらいの感じで受け取ってもらえればと思います。
「好きな遊びは何?」と問いかけると「わからない」と答える子、もしくは顔が「?」になっていて質問を上手く理解・処理できていない子がいます。
「好き」という意味が分かっていない場合もありますし、
「好き」の意味が分かっていても好きな遊びが無いから「わからない」と言っているのかもしれません。
後者の場合は今回は一旦置いておきます。
前者の場合、「好き」とか「嫌い」が分かってくるのは3歳ころからなので、まだ年齢的に幼い場合は気長に待ってあげても良いと思います。
実年齢は3歳以上でも発達の年齢が3歳未満の場合もありますので、その場合も急かさず気長に関わっていきます。
とは言え、「〇〇が好き?」「〇〇好きだね」など、「好き」の意味が理解できるように沢山話しかけてあげることは必要です。
「好きな遊びは何?」と言う質問で、もう1つ難しいところが「遊び」です。
遊びには膨大な数があります。
おいかけっこ?縄跳び?粘土?すべり台?おままごと?などなど。
「好きな遊び」を答えるには
そういった無限にある活動のことを「遊び」というひとくくりの抽象的な概念として理解する必要があります。
「食べ物」もそうです。
「色」もそうですね。
「人」もそうです。
食べ物が分かりやすいですね。
具体的な「おにぎり」「カレーライス」「ラーメン」などは存在していますが、「食べ物」という「食べ物」は抽象的で存在していません。
まだこれがはっきりとしていない子にとっては、ある意味答えの自由度が高すぎる質問は難しいようです。
以上のことを踏まえまして、質問の仕方を変えてみます。
「好きな遊びは何?」
↓
「すべり台が好き?」
「粘土が好き?」
といった感じで、具体的に聞いてあげます。
これは他のシーンでも使えます。
何か嫌なことがあって泣いている。
でも自分では何が苦しいか分からない。
「何が嫌だった?」と聞いても本人はピンと来ていない。
↓
「〇〇が痛い?」
「〇〇されたのが嫌だった?」
「〇〇に行くのが嫌?」
考えられる選択肢を提示していってあげると答えやすくなります。
お片付けが苦手で、お子さんが部屋をすぐに散らかしてしまうというお悩みはありませんか?
楽しく遊んでいるうちにごちゃごちゃになってしまった部屋を見て、せっかくさっき片付けたのに・・・とため息をつきたくなること、ありますよね。
とはいえ、片付けや整理整頓は大人でも苦手なもの・・・。
今回は少しでも上手にお片付けが出来る工夫を紹介していきたいと思います。
それは、「わすれっぽい」特性があることが原因の一つとして考えられます。
活動そのものに気を取られて、出したものを片付けることを忘れてしまう・・・
出したものを片付けようとおもっても、どこから出したのかを忘れてしまう・・・
部屋が散らかるとどうなる?
散らかっている部屋では・・・
・気が散りやすくなる
・物が無くなりやすくなる
その結果として
・遊びや作業に集中しにくい
・パニックに繋がる
あらかじめ環境を整えておくことでそういった事態を防げる可能性があります。
一番大切なのは、『散らかる前に片付ける』ということです。部屋が足の踏み場もないほど散らかってしまったあとだと、私たち大人でも片付けをするのが億劫になりますよね・・・
まずは一緒に片付けを行っていきます。
大人の手助けがある中で片付けの経験を積み、慣れてきたら徐々に大人の援助の手を減らしていきます。
あせらず、子どものペースに合わせてゆっくりと取り組んでいきましょう。
初めのころは定期的に声掛けをおこなっていくのがポイントです。
また、お片付けのやり取りの中で、子どもさんが「手伝って」と言えた際には、上手に言えた事をたくさん褒めてあげて下さい。
お子さんの中には、出したものがどこにあったのかわからず片付けられないという場合があります。
それを解消して片付けをするための工夫として、
などが有効だと考えられます。
スパーク西京極でも、療育道具の整理整頓のために引き出しの一つ一つに写真を貼っています!
スタッフの間でも、
「なにがどこにあるのかすぐわかって探す時間の短縮になる」
「自分が出したものでなくてもすぐに片付けられる」
と効果が実感できています。
そして何よりも、できたことをたくさん褒めてあげることが重要です。
「部屋がきれいになってきもちいいね」
「きちんとお片付けまで出来てえらかったね!」
と声をかけてたくさんほめてあげてください。
遊びには物がいらないこともあれば、物が必要あるいは役立つこともあります。
例えば鬼ごっこは相手さえいれば成立するので、道具は不要です。
おままごとはどうでしょうか。
物が無くてもできるかもしれませんが、食器や食べ物のおもちゃがあるとリアリティが生まれて大変役立ちます。
これは先日ブログ担当もお子さんと遊んだのですが、
「紙飛行機とばし」
紙飛行機という物が必要になります。
こういった遊びに必要なものをあらかじめ準備しておくことも良いですが、
時には子ども自身で作ってみること(大人は手伝う)も発達にとって貴重な経験になります。
物をつくることそのものの楽しみを味わうことも、もちろん良いことです。
それに加えて
「作ったものを遊びに取り入れること」「作ったもので遊ぶこと」も良い経験になります。
その理由は「見通しを立てる力」が養われるからです。
「こうすればああなる」という見通しを立てる力は勝手についていくものではありません。
子どもの発達には経験が必須です。
「作ったもので遊ぶ」という経験を積む事で、「作ること」と「遊ぶこと」が繋がってきます。
楽しく遊ぶには何を作れば良いかという見通しを立てることができるようになっていきます。
「どうすればもっと良くなるだろう」と子どもなりに試行錯誤することも、作ったもので遊ぶことで経験することができます。
見通しを立てる力、試行錯誤して取り組む力は大人としても是非子どもに身に着けてもらいたい力ですよね。
子どもは遊びを通じて発達します。
たかだか遊び、されど遊び。
ここで培った見通しを立てる力や試行錯誤する力が将来に繋がってきます。
だからといって強制することや、何でも作らせるなどの厳しすぎることをする必要はありません。
あくまでも楽しいと思える範囲で取り組みます。
スパーク西京極でも、「自分で作りたい」と言うお子様がいらっしゃいます。
状況によりますが、自分で作ってもらったおもちゃで遊ぶこともあります。
多くの場合、子育ての初期の主役はどうしても母親になりがちと言われます。
(夫が協力しないのは、、、などがテーマのお話しでないので、今回はご容赦ください)
女性にしか妊娠、出産、授乳などができないため、子育ての初期に母親は子どもとの一体感が得やすいと言われています。
そんな中、「お父さん」という立場で遊びの中でどのように関わっていくかというのが今回のテーマです。
実は「お父さん」だからこそできる関わり方があるそうですよ。
関わり方は無数にありますが、これもまた1つの方法として参考にしていただければなと思います。
子どもと遊んだりする時に、知らず知らずのうちに声が高くなっていませんか?
これは自然なことで、男女に共通する現象です。
女性の場合は母親語と言われ、男性の場合は育児語とも呼ばれます。
声が普段より高くなることは共通しているのですが、普段から男性の方が声が低い場合がほとんどなので、
女性ほど高い声は出ないと言われています。
ところが、男性の方が女性よりも語り掛けの抑揚が大きいということが知られています。
ここまでまとめると
1.女性の方が男性より高い声になる
2.男性は女性ほど声は高くならないが、抑揚が女性より大きい
では、その語り掛けで子どもの反応はどうなるのでしょうか。
今回のテーマは「お父さん」なので、お父さんはその抑揚をどう活かせば良いのでしょうか。
一緒に考えていこうと思います。
研究では、乳幼児に対してお化けや怪獣の絵本の読み聞かせを行いました。
条件は4つ。
1男性が母親語を使って読む
2男性が母親語を使わないで読む
3女性が母親語を使って読む
4女性が母親語を使わないで読む
すると男性が母親語を使って読んだ時に最も子どもが注視し、感情表出が大きかったそうです。
しかしながら、動物の絵本など楽しい優しい世界を表現する絵本ではこれが逆転するようです。
女性が読んだ方が子どもを引きつけます。
ここから分かる「お父さん」の関わり方のヒントは
「抑揚を活かせる内容で遊ぶこと」です。
・少し怖い、ハラハラドキドキする内容や教訓になるような内容の絵本はお父さんが読んでみる
・お化けごっこなどで遊ぶ
・男の子であれば怪獣とヒーローなどで遊ぶ
・かくれんぼの鬼などにお父さんがなって、ちょっとドキドキする雰囲気を出してみる
生きている以上、危険は付きまといます。
女性の高い声は、緊急を知らせて即効性があります。
一方、男性の低い声は子どもに対しても威厳を感じさせるようです。
よく言って聞かせる為には男性の声の方が効果があるようです。
「危ない!!」とその場で言うのは女性の方が効果的な傾向があり、
「もう危ないことはだめだよ」と落ち着いて後で言い聞かせるには男性の方が効果的な傾向があるそうです。
これは人類の長い歴史の中で獲得してきたものなのでしょうね。
こういった声の男女差を、叱ることばかりに使うのではなく
遊びの中でも使っていくことができるわけですね。
スパーク西京極はほとんど女性スタッフですが男性のスタッフも在籍しています。
語り掛けや声の違いに注目して療育を見ていただくことでも、何かヒントになるかもしれません。
<この記事の参考文献>
・「よくわかる発達心理学」 無藤隆ほか ミネルヴァ書房 2017
スパーク西京極における療育環境の調整やメリットについてご紹介したいと思います。
スパーク西京極では、大きな部屋が一つと小さな部屋が一つあります。
同時に利用していただけるのは、最大3名のお子様です。
3名同時の場合は、大きな部屋を中央で区切って2名で空間を共有して遊んでいます。
残りの1名は小さな部屋で遊びます。
小さい部屋と大きい部屋の扉は閉め切ってしますが、
大きい部屋ではお子様2人が空間を共有することになります。
中央で区切っていますので、交わることは無いのですが
様子が見えたり、声が聞こえたりします。
こういった他の子が見える環境というのは、子どもにとってメリットがあります。
その1つがイメージをつかむきっかけになるということです。
遊びは型にはまったものではなく、イメージが膨らんで展開していくものです。
ところが、そのイメージがまだ未熟な子もいらっしゃいます。
そんな時に、他の子どもが遊んでいる姿というのがイメージをつかむきっかけになります。
実際、「ぼくもあれがしたい」といった言葉を聞いたり、真似て遊び始めたり、ジーっと食い入るように眺めていたりします。
とは言え、デメリットもあります。
視覚的にも聴覚的にも、隣で遊んでいる子どもからくる刺激で集中できないというお子様もいらっしゃいます。
集中できない以外にも、恥ずかしくて動けなくなることもあります。
その場合は、マットなどで衝立を作り、視覚情報を減らしています。
それだけでもかなり集中力が上がります。
それでも聴覚的な刺激で気が散ってしまう場合は、優先的に小さい部屋で療育を行うようにしています。
他の子が同じ空間にいることで良い刺激をもらって欲しい子、
集中して遊び込むことが必要な子、
他者がいる空間でも遊べる様になって欲しい子
パニックをおこしてしまいやすい子など、
1人1人に応じた環境を可能な限り整えて療育にあたっています。
今回は、よくおしゃべりをする子について紹介していこうと思います。
「うちの子はよくしゃべるけれど大丈夫かなあ」という親御さんもいらっしゃると思いますので、
多弁というテーマで何かしら良い情報提供が出来ればと思います。
一般的な人と比べてしゃべりすぎなくらい「よくしゃべる」という人のことを多弁と言ったりします。
とにかく言葉が多く、こちらが入る隙もないくらいのマシンガントークが出ることもあります。
年齢を問わず多弁な人はいて、そもそもの気質であったり、何かしらの精神的な理由があったりと、その理由は様々だそうです。
多弁はADHDの特徴の1つとされています。
とは言え、多弁だけでADHDを疑ってしまって良いわけではないそうです。
なのでADHDについて改めて少しだけ触れておきたいと思います。
ADHDはAttention-deficit hyperactivity disorderの略です。
意外と略語を知らない方も多いかと。
Attention-deficit(注意欠陥)
Hyperactivity(多動)
disorder(不調、変調という意味合いが強い 一般的に想像される「障害」という意味合いではない)
この「多動」が体だけでなく「お口」の多動にも当てはまるとして「多弁」が兆候の1つとして言われます。
とは言え「多弁=ADHD」と決めつけることはできません。
というのも子ども達は4歳頃に「多弁」になる時期が訪れるからです。
子どもたちは生まれた瞬間に話ができるようになるわけでなく、
「うー」とか「あうあう」と言った喃語から始まって、
それが徐々に「ママ」「ブーブー」などの意味のある言葉が出始めて、
2語、3語と話すようになり、
多語文になり、
徐々に言葉が完成していきます。
そして4歳ごろ(個人差がありますので、発達の段階が4歳頃と捉えてください)になると、一応ではありますが、話し言葉が完成する時期になります。
この時期、子どもは話すことへの興味がとっても高まります。
話すことが楽しくて楽しくて、一時的に非常におしゃべりが多くなります。
この時期を「多弁期」と呼ぶこともあります。
ですが、これは一時的なものなので、ある程度満たされれば落ち着きます。
1日の中でゆっくり話を聞いてあげる時間を5分でも10分でも取ってあげることがあっても良いそうです。
ADHD特性による多弁なのか、言葉の完成時期による一時的な多弁なのか
じっくり様子を見てみることが必要になります。