生まれてから大人になるまでの発達には人との関わりが欠かせません。
他者と関係性を築くことで子どもたちは世界観を広げて発達していきます。
生まれたての赤ちゃんは母親や父親をはじめとした身近な大人との関わりが中心。
幼児期からは家族や友達、先生など様々な人との関わりを通じて発達していきます。
発達についての考え方は様々です。
その中に「認識」と「関係」の二軸で発達をとらえるという方法があります。
人間が生きていくためには①世界がどんなものか知る、②世界にはたらきかけていく、という2つの取り組みが必要です。
その取り組みの中で人は発達し、より高度で複雑な社会性を身に付けていきます。
赤ちゃんがいきなり大人の社会で生きていくのは不可能で、そこに至るまでには「認識の発達」と「関係の発達」が必要になります。
認識とは、目や耳から入った情報に意味を見出し概念的に捉えることです。
「目の前に物がある」と知覚することは認知ですが、「それはコップであり、水を飲むものだ」ととらえることが認識です。
「認識の発達」は「関係の発達」を支えています。
人間関係や社会の構造は複雑で多層的です。
人間の社会的な行動に含まれる様々な意味や約束をとらえるには認識の力が必要です。
見たまま、聞こえたままの意味だけではなく、その場の状況や人間関係、声のトーンや表情などさまざまな事を認識して本来の意味をとらえることで、社会との関係性を構築することが出来ます。
一方、「関係の発達」は「認識の発達」を支えています。
人間にとっての世界は、人間同士の社会的な関わりの世界です。
人と関わる中で物事の意味やルールを知り、認識を広げていきます。
認識を発達させるには、単独では不可能で、人と関わる必要があります。
ところが発達に特性のある子どもたちは、何らかの理由で「関係の発達」に困難が生じることがあります。
他者と感覚に違いがあったり、表現が違ったり、発達のスピードに差があったり。
「関係の発達」が進まないと、「認識の発達」も伸ばしにくくなります。
そこでスパーク運動療育西京極スタジオでは、療育士が子どもに積極的に関わることを大切にしています。
子どもたち一人一人のありのままを認め、子どもが楽しいと思える関わり方で、気持ちを引っ張ります。
そうすることで人と関わりたいという気持ちを引出し、人と関わる経験を積むことで「関係の発達」を促しています。
<参考文献>
「子どものための精神医学」 滝川一廣 医学書院 2017
成長段階にある子どもたちは、湧きあがった感情(情動)に対して自分で折り合いをつける事が出来ず、パニック状態になることがあります。
そんな時、大人はどうしても怒ってしまったり、無理やり言うことを聞かせようとしてしまったり。
時間もなければ心の余裕もないのに、気長に丁寧に関わっていられないという方も多いはず。
仕事もあるし、家事もある、兄弟だっている。
なのに言うことを聞いてくれない。
しかし、毎回毎回上手く接することができなくても大丈夫なようです。
子どもがパニックになるような出来事が起こったうち、そのうち30%くらいの頻度で丁寧な関わりが出来ればある程度の効果が期待できるそうです。
30%なので、パニック10回につき3回くらいを最初の目標にされてみてはいかがでしょうか。
今回は自己調整(セルフレギュレーション)という考えに基づいた関わり方を示しておきます。
①パニックになっている(感情が爆発している)子どもに共感する(痛かったね、嫌だったね、やりたかったね、ハグをする など)
→子どもはストレスで脳のキャパがいっぱい。ストレスを減らして理性的なキャパを増やす。
②落ち着きを取り戻したら、理性的な話をする(やりたいけど今は行かないといけないよ 何が嫌だったの? など)
③切り替えを促すような話をする
こういった関わり方は子どもがなかなか遊びをやめない時にも効果的です。
①無理やり遊びをやめさせるのではなく、一緒になって遊び、楽しんでみる
②自分の事を認めてくれた、満足したと子どもが思えば話を聞くモードになりやすい
③一通り楽しんでから「今日はもう帰ろうか」「帰って○○しようか」など切り替えの言葉をかける。
しかしこういった関わりには時間とエネルギーがかかります。
なので毎回のようにできなくても仕方ありません。
先にも述べましたが、まずは30%からだそうです。
パニックの大きさや、その子の発達段階などによっても必要になる時間とエネルギーは変わってきます。
それでも、繰り返すことで獲得していくスキルなので可能な範囲で気長に接することが大事になってきます。
湧きあがる感情に対して自分で折り合いをつける力を育むには、その過程を根気よくサポートする必要があります。
スパーク西京極は基本的に楽しい場でありますが、子ども同士が接する中でストレスが生まれるシーンもあります。
そんな時は逆にチャンスでもあります。
子どもが自分で気持ちを切り替え、適切にその場へ対処していく術を学ぶ機会になるからです。
療育士がサポートをしながらストレスやパニックに対処していきます。
子どもたちの社会性の発達はスキルを獲得するのと似ています。
勝手に身につくわけでも、生まれた時からできるものでもありません。
親との愛着形成をメインとした人間関係の中で育んでいくものと考えられています。
こういった「社会性のスキル」を獲得する根底には自己調整(セルフレギュレーション)と感情の発達があります。
自己調整とは自分の感情に上手く折り合いをつけて、思考や感覚、行動をうまく調整する能力のことを言います。
人生の中で直面する様々な強い情動やストレスに対して、気分を落ち着けたり、注意を適切な方へ向けたりするときに必要になる力です。
*情動=体の動きを伴う急激な感情の動き
自己調整はいきなり身に付く力ではありません。
生まれて成長していく中で少しずつ獲得していきます。
その時に私たち大人ができる関わり方が「共感」です。
共感は嬉しい時や社会的に好ましい行動ができた時だけするものではありません。
ストレスのかかるシーンや感情が爆発してどうしていいか分からない時にも使います。
たとえばビックリして感情が爆発しそうになったシーン。
まずは「嫌だった」「怖かった」という気持ちに寄り添います。
声のトーンや表情、ジェスチャーを最大限使って気を落ち着けます。
少し落ち着いてきたら、「びっくりしたけど、実は怖い物じゃなかったんだ」とか「大丈夫だよ」ということを教えてあげます。
気持ちを落ち着け、理性的に考える過程を一緒に進めてあげることで自己調整をサポートすることが出来ます。
現実的にこういった関わり方を毎回できるわけではありません。
上手くいかないことも多いです。
でもストレスのかかるシーンや感情が爆発するようなシーンは人生で1回きりではありません。
また次以降、気が付いた時だけでもそういった関わり方ができると効果的なようです。
関わる時のポイント
・落ち着いた声のトーンや表情、ジェスチャーをしっかりと使うこと
・子どもを待つこと
・子どもの様子をよく見て、言葉を聞くこと
参考にした記事(英語)
https://www.nichq.org/insight/childrens-social-and-emotional-development-starts-co-regulation
発達に特性のある子たちは「感覚」にも特性を持っている場合があります。
発達に特性のある子たちは、定型発達とされる人たちが何とも思わない感触や音などに対して、ストレスを感じてしまうことがあります。
こういったことを「感覚過敏」と言ったりします。
感覚過敏がなぜ起こるのか、はっきりしたことは研究段階であり、わかっていないことが多いそうです。
ただし、傾向として言えることは、感覚過敏が出やすい状況と出にくい状況があるということです。
感覚過敏が出やすい状況は、脳が「デフォルトモード」にある時だと言われています。
デフォルトモードとは、行動に社会的な意味を持たない状態のことです。
集中力や実行力が低い状況で、頭がぼんやりとしている時です。
特に意味の無い行動をしている時、慣れた動作をしている時がデフォルトモードになりやすいです。
決してデフォルトモードは悪いものではありません。
空想の時間であったり、アイディアが閃く時間でもあります。
アルキメデスの原理で有名なアルキメデス。
原理を発見したのはお風呂に入ってぼんやりとしているときでした。
おそらくデフォルトモードだったと考えられています。
「ユーリカ!(わかったぞ!)」と叫んでお風呂を飛び出したのは有名な話です。
私たちも通勤通学でぼんやり歩いている時に思わぬアイディアが浮かんだりします。
このように、人類の発明や個人のひらめきはある程度デフォルトモードに支えられています。
一方、行動に社会的な意味があって集中力や実行力の高い状態を「タスクモード」と言います。
遊んでいる時、スポーツをしている時、お仕事をしている時などです。
タスクモード時は感覚過敏が出にくいと言われています。
脳が使える資源には限りがあります。
目の前のタスクに資源を割いているから感覚過敏が出にくいのでは?と考えられます。
人間は1日の中でデフォルトモードとタスクモードを切り替えながら生活しています。
ところがデフォルトモードの時間があまりに長いと、行動に社会的な意味がない時間も多くなり、感覚過敏が出る機会も多くなりやすいということになります。
また、脳の機能はタスクモード時の方が発達すると考えられています。
スパーク運動療育では、遊びを通してタスクモードの時間を作り、脳の発達を促しています。
発達していくと、タスクモードとデフォルトモードの切り替えがうまくいくようになっていくとも考えられています。
子どもたちの「やりたい!」「楽しい!」という感情からタスクモードへの切り替えを促します。
スパーク運動療育では子どもたちへの共動・共感を大切にしています。
共感をする理由の一つがストレスを軽減するためです。
発達に特性のある子どもたちは、日常生活において様々なストレスを受けやすい状況にあります。
・表現する方法や反応の違いがあって周囲に理解してもらいにくいストレス
・感覚過敏やアレルギー、身体疾患などのストレス
・園や学校での課題と能力のギャップで生まれるストレス など
特に周囲に理解してもらえないストレスは問題行動として表れることもあります。
ストレスを感じることは精神的にも肉体的にも膨大なエネルギーを使います。
ストレスは様々な疾患、精神疾患の原因となります。
それくらい人間にとって深刻なのがストレスです。
ストレスが強い状態で、自分の気持ちや行動を調整することは発達特性の有無にかかわらず非常に難しいことです。
ストレスがかかる状況では「闘争か逃走か」という反応をつかさどる脳の扁桃体のスイッチが入りやすいです。
扁桃体に行動が支配されると、理性的な行動より本能的な行動が出やすい状況になります。
そこで、スパーク運動療育では、まず共感することでストレスを下げることを大切にしています。
子どもが発した気持ちや言葉、行動に寄り添い、認めることで共感的な関わりをしています。
一見意味のなさそうな何気ない仕草も、療育士達は拾い上げて共感します。
共感はストレスを下げるだけでなく、「じぶんを理解してもらえた」ということで自己肯定感を高めることにもつながります。
自己肯定感は自分の価値をポジティブに認めることが出来る気持ちのことです。
自己肯定感はチャレンジの原動力になります。
このように、まず共感をすることで心を良い状態にします。
そのうえで遊びを通じ様々なやり取りをしていくことで子どもたちの感情を育んでいきます。
ストレスが低い状態であれば、自分の気持ちを整理することや行動を調整することもしやすくなります。
自閉症スペクトラムと言われる子たちは先天的な脳の特性があると言われています。
1つは形質的な違い
もう1つは機能的な違いです。
自閉症スペクトラムのある子たちの脳は「視覚野」につながる脳神経の回線が多いと言われています。
そのため、視覚的な記憶に優れていたり、「物」への興味を持ちやすかったりするそうです。
他にも、左側の側脳室と呼ばれる脳の空間が大きく、頭頂葉が圧迫されることでワーキングメモリが妨害されているという事例も報告されています。
ワーキングメモリが妨害されると、同時に複数の作業や運動をこなすことが苦手になりやすいです。
機能的な特性についても少しずつわかってきたことがあります。
定型発達とされる人たちと比較して、自閉症スペクトラムの人たちは内側前頭前野、後部帯状回といった「社会脳」をつかさどる部分の機能的つながりが弱いということがMRI画像で示唆されました。
これら「社会脳」と言われる脳領域は、自己内省や他者の気持ちを推測するときに使われるとされています。
こういった脳の形質的、機能的な特性は必ずしも悪いものではありません。
ですが現代社会で生きていくときに、苦労や不安があるのは事実です。
そこで必要になるのが療育です。
脳には可塑性(変化する性質)があります。
脳は使うことで変化します。
たとえ先天的な回線が変わらなくても、繰り返し刺激を与えて使うことで迂回路が出来ます。
スパーク運動療育では遊びを通じてたくさん体を動かし、人と関わることで脳をたくさん使います。
特に自閉症スペクトラムの子どもたちにはスパークのような積極的な関わりは効果的です。
その中で少しずつ脳は発達していきます。
少し難しいことを書きましたが、療育での取り組みは明快です。
・遊びの中で体を動かし、人と関わること
・子どもに共感し、ストレスを緩和することで社会脳が発達しやすい状況を作ること
(→ストレスは心身共に膨大なエネルギーを消耗するため)
それを追求したのがスパーク運動療育で提供している「豊かな遊び場」です。
脳科学的なことを踏まえたアプローチは、最終的に子どもの基本である「遊び」に帰結します。
【参考文献】
・Minyoung Jung et al: Default mode network in young male adults with autism spectrum disorder: relationship with autism spectrum traits. Molecular Autism 2014.
子どもたちは、衝動的な行動、問題行動と呼ばれる行動を起こすことがあります。
問題行動は社会的規範などに照らし合わせた時に好ましくない行動を指します。
かつては「問題行動を起こす困った子だ」という認識でしたが、スパークではそのような捉え方をしていません。
問題行動を起こしたくて起こしているのではなく、感情や考えが理解されないストレスとして行動に表れることがあると捉えています。
特に先天的に特性を持っている子どもたちは、そうでない子どもたちとは自身を表現する方法が違ったり、身体的な特徴があったり(感覚過敏等)、与えられる課題と自分の能力のギャップが大きかったりします。
すると様々な面で大きなストレスを受けることになります。
慢性的にストレスや不安を感じることで、衝動的な行動や問題行動といったものが出やすくなってしまいます。
スパークでは遊びを通じて感情を発達させ、情動や行動を自己調整(セルフレギュレーション)できるようアプローチをしています。
子どもたちが遊びの中で表現する動きや表現に共動・共感すること(感情や感覚を共有すること)を第一にしています。
一緒にその遊びや動きをする、褒める、そこからやり取りを広げていくという関わり方をしています。
この関わりを続ける中で子どもたちのストレスの緩和、自己肯定感の高まり、感情の発達を促します。
そして最終的に情動や行動を自己調整する力がついていくことを目指しています。
現代の子たちは一昔前の子たちと比べると、「さんま」が減っていると言われています。
秋刀魚ではありません。
「三間(さんま)」です。
(造語です。)
秋刀魚の漁獲量が減っていることも問題ですが、子どもにとっては三間(さんま)の減少も深刻です。
三間は子どもの遊びに必要な、「空間」・「時間」・「仲間」の3つの「間」のことを言います。
「遊びのさんま」が満たされた環境でたくさん遊ぶことで子どもたちは発達していきます。
ところが、一昔前のような自由に思いっきり遊べる「空間」が減っています。
公園は数が減るし、空き地やガレージで遊ぶと今は厳しく怒られます。
公園があっても、いつの間にかボール遊びが禁止になっていたりして、激しく遊べなくなっています。
時間の減少も進んでいます。
最近の子たちは多忙です。
園や学校が終わると毎日のように習い事がある子たも少なくありません。
もちろんスポーツや芸術を習うことは、身体機能を向上させ、豊かな感性育むことに大きく貢献します。
しかし、ある程度形式が決まった中で先生に教えてもらう「習い事」と、子ども同士が自由に展開する「遊び」では本質的に異なります。
どちらが優れているとかではなく、どちらも大切です。
たとえ子ども自身が習い事をしていなくても、保護者が家事や仕事で忙しければ時間は減ります。
共働きの家庭も多くなってきているため、仕方ない部分も大きいです。
たとえ時間と空間があっても、「仲間」がいなければ「遊びのさんま」を満たすことはできません。
出生数が年々減少傾向にある日本ですので、子どもの絶対数が減っていることは言うまでもありません。
2019年はついに年間90万人を割ってしまい、過去最少となったそうです。
ここまではすべての子どもたちに共通して言えることです。
では特性のある子たちはどうでしょうか。
特性のある子たちの中にはコミュニケーションに不安があったり、他の子たちと比べてできないことが多かったり、発達のスピードが違ったりします。
すると、子ども同士の輪に入ることが難しくなることがあります。
これでは時間と空間が整っていたとしても「仲間」の条件が満たされていないのと同じです。
同じ時間と空間にいても、独りになりがちです。
子どもは遊びを通じて発達します。
子ども同士で遊ぶ中で生まれる様々なやり取り、感情、運動、イメージなどはすべて発達に必要な刺激です。
ところが、特性があって「仲間」に入りたくても入れない状況では、こういった刺激に触れる機会が少なくなりがちです。
スパーク運動療育西京極スタジオでは、思いっきり体を動かせる「空間」と「時間」があります。
(さすがに公園ほどではありませんし1時間だけですが)
その中で、「仲間」である療育士とたくさん遊び、社会性や感情、運動機能等の発達を促します。
また、スタジオで療育士と遊ぶことは将来的に実際の子ども同士で作られる「仲間」に入って行くための練習にもなります。
自閉症スペクトラムの1つ、アスペルガー症候群は、1900年代中ごろにオーストリアで小児科医をしていたハンス・アスペルガー先生の名前から来ています。
現代においてアスペルガーと診断される特性を、世界で初めて詳細に記録、報告したのがアスペルガー先生です。
アスペルガー先生は第一次・二次世界大戦で世界が混沌とする中、そういった特性を持った子たちに対して療育を行っていました。
療育の内容は、当時ではとても先見の明のある内容でした。
それは、身体を沢山動かして遊ぶこと、音楽を楽しむこと、子どもたち一人一人の興味に寄り添って伸ばしてあげることでした。
この療育のスタンスはスパークを含め、現代の療育では主流になりつつありますが、当時ではなかなか思いつかなかった内容でした。
それから数十年、医療現場では自閉症やアスペルガーと呼ばれるような子たちを施設に送り込んで隔離してしまったり、現在では過酷で効果の無いとされている療法を行ってしまいます。
いつの時代も子どもにとっては思いっきり楽しく遊ぶこと、そしてその中で社会性を育み、できることを少しずつ増やしていくことが大切です。
ですが、豊かな遊び場(*)や遊ぶ機会自体が減っていることが現状としてあります。
(*思いっきり体を動かせること、こども同士で自由に遊べることなど)
遊ぶ場はあっても特性のせいでうまく輪に入っていけないこともあります。
スパーク西京極では豊かな遊び場を提供するとともに、療育士がサポートをしながら社会性や運動機能等の発達などを促していきます。
<参考書籍>
自閉症の世界 多様性に満ちた内面の世界 スティーブ・シルバーマン著 正高信男・入口真夕子翻訳 ブルーバックス 2017年
スタジオでの遊び紹介も、もう5回目になりました。
今回はラフタンプレイです。
「ラフタンプレイ」と改めて言うと、多くの方がピンとこないと思います。
簡単に言うと、じゃれつき遊びとか、体遊びの類です。
たとえば
・こちょこちょ こしょばし
・抱っこでぐるぐる回す
・手遊び歌
・ふれあい遊び
などなど、ご家庭でもやったことがあると思います。
ではなぜ療育でラフタンプレイをするかを説明していきます。
まず一つは遊んでいる他者を意識するためです。
「手」や「足」と遊んでいるのではなく、「人」と遊んでいることをしっかり意識してもらうため、何度も何度も繰り返します。
その日すぐに効果が出るわけではありませんが、継続して通所していただいているお子様の中には療育士を意識することが出来るようになってきた方もいます。
発達特性のある子たちの中にはボディーイメージの弱い子たちがいます。
ボディーイメージが弱いと、自分の体がどれくらいの大きさで、どのように動いているかというのが認識しにくいです。
そのため、よく物や人にぶつかりやすいという現象が起こります。
ボディーイメージの形成に必要な感覚は主に3つ。
平衡感覚、固有感覚、触覚です。
ラフタンプレイでは、他者に触れる、触られる、包まれる、ということを通じて触覚に働きかけボディーイメージの形成に寄与しています。
愛情ホルモン、絆ホルモンと呼ばれるオキシトシン。
主にハグをすることで分泌されるということが分かっています。
ラフタンプレイはハグに極めて近い遊びなので、同様の効果を期待しています。
オキシトシンはリラックス、ストレスの緩和、人への共感や信頼感が増すなど、様々な効果があるということが分かってきています。
療育を行う上で、療育士との信頼関係は非常に大切です。
他にも、スパーク西京極では「ストレス無く、リラックスして思いっきり楽しく遊べる!」という気持ちを大切にしています。
これらが整ってからでないと、療育で脳へ良い刺激を入れることはできないと考えています。
そして、スパークでは重要な位置づけにある「他者との共感」にも、オキシトシンは一役買ってくれます。
ラフタンプレイ以外の時にも、何かできた時はハグをしてたくさん褒めます。
この時もオキシトシンの効果、加えてドーパミンの効果が期待できます。
ぜひご家庭でもたくさんハグしてあげて下さい!